2015年9月13日

窓から見える景色

いつか北海道で暮らしたいと漠然と考えていた頃、その将来実現するであろう「北海道の暮らし」の中で描いていた情景はといえば、地平線が見える窓から外を見ると牛がブラブラ歩いているというものであった。

 私は大人になるまで牛という生物のことも良く知らなかったし実物を見たことさえなかったのである。テレビの中に映し出される牛や、バターの商品パッケージに描かれた牧場にいる牛が知識の全てであったかも知れない。

その後も日本各地で牛の実物を見かけることはあったが、間近で見たり触れたりする機会がある訳でも無く、何も知らない状況に変わりは無かったのである。本格的に牛について勉強したのはアメリカに住んでいた時で、それは想像していたより遥かに大きく、とてつも無い量の餌を食べ、びっくりするくらいの糞尿を排出する動物だったのである。もう驚きの連続の日々であった。

北海道で土地を探しているときも、購入条件のひとつは周囲が酪農地であることであった。酪農王国北海道でその条件を満たすのは至って簡単であるが、放牧つまり牛を草原に放して飼っている所というのは実は非常に少ないのである。幸いなことに、この土地は隣家が放牧タイプの酪農家だったので、もう牛が見放題である。ラッキー!

ところが確かに隣家は放牧をしているのだが、真平らに見える周囲の土地も微妙な起伏があったり牧場の境界線の辺りに草木が生い茂っているので、家の窓から直接は見えなかったのである。


我が家と牛を隔てている草木の壁
邪魔な木だなとは思っていても勝手に切れないし、第一切れる大きさでは無いのである。写真では小さく見えるが高さ2m幅20m長さ540mの小山の上に草木が生い茂っているのである。人間の力では断ち打ち出来ない。

と思っていたら、ある日突然この障害物を取り除く工事が始まったのである。

わ〜い!
重機の力は凄まじく、すごい勢いで木をなぎ倒し小山を崩し、壁のように立ちはだかっていた障害物(廃根線という)を綺麗に消し去ってしまった。と言っても、この大型重機2台が昨年から今年の8月までかかった程大きかったのだが。

近くで見ると凄い量である

この幅、高さで端まで540m進む


綺麗さっぱり
牛の群れ
私の願い通りに障害物は綺麗さっぱり無くなり、牛と我が家を隔てるものが無くなったのであるが、隣家と我が家は1Km離れているのである。そう、窓から見える牛の群れははあまりにも小さかったのであった。

でも、家の中から牛が見える景色が手に入って、もう大喜びである、わ〜い!