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2025年8月3日

大収穫祭

 なにげなく庭を見るとそこにはスモモがたわわに実っている。これまでもこの季節になると赤い実が目を楽しませてくれるだけでなく、初夏の味わいをもたらしてくれる。

艶やかさが引き立ちますね
 

頬張ってみるとその甘酸っぱい味は、しばらく前にあの冬の厳しい寒さがここに居座っていたことなどすっかり忘れてしまいそうになるには十分ですね。

たわわも実りすぎて落下……
 

籠いっぱいに採ってはみたものの、もうお腹いっぱいです、はい。

2021年9月12日

過ぎ去りし夏

 連日の真夏日が続いたかと思えば、肌寒い日があったり蒸し暑かったりと、あまり安定しない今年の夏だったが、時折カラッと晴れ爽やかな日が訪れたりした。

そんな時は、すかさずハンモックを片手に敷地内の木陰を探して手際良く吊るすのである。

低い湿度、爽やかなそよ風、小鳥のさえずり、自堕落な人間、と四拍子揃った所でお昼寝タイム……。

木陰とハンモック

そよ風とハンモック

堕落した人間とハンモック

 先日、正確な樹齢が判明したこのスモモの木。

植えた本人から聞いた人の話によると、昭和8年に苗を庭の片隅に植えたのだそうである。従って、今年で88歳ということになる。北海道の開拓地では、自然木を除けば、樹齢が100年を超える樹木はあまり見かけないので、この木はそれなりに古株なのであろう。

 

ピーマンなのか唐辛子なのか不明

豊作だった野いちご

狛犬ごっこに夢中のロプノール

 皆それぞれ好き勝手に伸び伸びしながら過ぎ去る夏を見ていたんだろうな……。

2020年2月29日

天空影絵

ここしばらく快晴が続き、風の無い日は外気温がマイナス5〜6℃程度でも本当に心地が良い。

夕方にかけ、一気に気温が下がっては来るが、やはり風さえ無ければ比較的軽装で散歩に行っても寒さをあまり感じないで済むのである。さらに、穏やかな天候の夕刻などは、しばしば息を飲むような美しい景色が目の前に現れるのである。

夕日が山肌をかすめるように沈んで行く
夕日が沈みかけたと思ったら、丁度右側から湧き出るように雲が現れ、まるで沈む夕日を覆い隠すのが使命とでも言わんがばかりの勢いで漂って来た。

部分的サンピラー?
 写真には綺麗に写らなかったが、ほぼ沈み切った夕日から真上に細く長く雲を突き破るように伸びており、肉眼で見る限り、それはやや幻想的とでも言える光景であった。条件が良ければ、立派なサンピラーになったのにね。

夕日が沈むにつれ、山の向こう側から手前の山を照らし出す格好になった太陽光は、その影をこの雲に映し出している。まるで、天空の幕に光を当てて影絵を楽しんでいるかのようである。

まあ、それを裏側から見てるわけなんだけどね…。

シルエット
 さらに時間が経過すると、太陽はやや右側に向かって沈んでいるため、山のシルエットがちょうど山の真上に移動したかのように見える。

雲の位置、山との距離、太陽の角度からその拡大率は決定されるので計算するのは難しくは無い。しかし、そんなことをするより、ただ単に「大きな影絵だなー!」と感心しておくのが、この景色の正しい楽しみ方かも知れないな。
さらにジェット機雲
わずか10分程の天空影絵ショーだったが、静寂の中で繰り広げられるこの景色を見ている人は私以外にいたんだろうか?独り占めだったのか?なんて贅沢なんだ!

シルエットが最大になったタイミングで、澄み切った青空に飛行機雲を描きながら、まさに山のてっぺんを一機のジェット機が横切って行った。

どこの飛行機だろう?航空機は識別信号を発信しながら飛行しているので、それを受信してみると…

Aircraft type (B77L) Boeing 777-FB5 
Registration HL8044
LAX to ICN Los Angeles to Seoul
Calibrated altitude 35,000 ft
へー、高度10,660メートルか…。

あの飛行機からは、この景色がどのように見えているんだろうか?

2019年6月5日

敷板が無い?

6月のカラッと晴れたある日、あまりの気持ち良さに行き先も決めず車を走らせていた。

慣らし運転が終わったばかりの4バルブVVTのDOHCエンジンは、インタークーラー付きターボのブースト圧を上げるでも無しに木漏れ日の山道をプヨプヨと走り抜ける。そう、周りの景色があまりにも綺麗だったのでアクセルを踏み込む気になれず、のんびりと走っていたのであった。

国道に出てしばらく走っていると、道路沿いに線路が見え隠れする場所に出て来た。ここは廃線になってから随分時間が経っているはずなのだが、線路が撤去されていないようである。何か理由があって放置されているのか、それとも何かの目的で維持管理されているんだろうか?もしそうなら、この線路はいったい何処まで繋がっているのだろうか?

疑問に思ってしまった以上、ここはその先端(末端?)を確認せずに通り過ぎる訳には行かないであろう(そうか?)。ということで、線路の終わりを探しにひたすら走り続けたのであった。

そうしてそれから5Km程走ったその先には、まさしくその線路の行き止まり部分があったのである。
ここが突き当たりっぽい
線路終端の標識と車両止
反対側はずっと続いていた
ということで、この線路は約5Kmに渡って途切れることなくずっと続いていたのである。そう言えば、以前のニュースで廃線跡の線路を保守して本物の車両を走らせていると言ってたのを思い出したのである。これがそうだったのか……。道理で線路脇の除草や線路の状態が良い訳だ。なんかすっきりしました。

ここの少し手前にあった踏切らしき所では、ちょっと奇妙な注意書きがあったのである。チラッと見えた時は、どうせ「ここは廃線になっており列車は来ません」とか「線路跡があるので通行注意」などと書かれていると思ったんだが、何だかちょっと様子が違っていたような気がしたので引き返してみた(引き返してまで見るべき物がどうか疑問であったが…)。


普通の踏切に見えるが…
遮遮断機は無いけど注意書きが…
え?
そこには予想を覆す表記があったのである。二度読みしてしまったその標識には「敷板が無い」と書かれていたのである。それも期間限定で外していると言う…。

なぜ外すんだろう?期間を見るとどうやら冬期の積雪もしくは凍結期間だけ敷板を撤去しているようである。外す目的や意味は何だろう?除雪の邪魔になるからなのか?いや敷板が無ければ除雪車自体が通れないから違うであろう。それでは除雪をしないということなのか?もしそうならそもそも通行出来ないのだから敷板を外す必要も無いではないか?

謎が謎を呼ぶ不思議な標識であった。

このあと、ゆうゆへ行ってたっぷり湯を楽しんで来ました。内湯、ぬる湯、露天風呂、壺湯、寝湯…。平日の昼間に行くと、もうそこは老人クラブか貸し切りのどちらかの様相である。この日は天気も良く、露天風呂の目の前にある広大な中庭は草刈りが終わったばかりのようで、爽やかな風と共に草の香りが湯船まで漂って来る。白樺の若葉がそよぎ、山肌は新緑が少し濃くなったものの、まだまだ黄緑色が眩いばかりであった。お陰様で心身ともにリフレッシュしました、と言いたいところだが「敷板の謎」が頭から離れず、モヤっとした風呂上がりであった。

2018年12月25日

好みの数字

先週、ずっとその数字のことを考えていたのである。

その数字とは、それは希望ナンバーと称される自動車のライセンスプレートに自分の好みの数字列を入れるというものである。過去にも車を購入するたびに考えたことはあるが、結果はあまりしっくり来るものでも無く、安直に誕生日にしたり何となく座りの良い数字列にしてお茶を濁していたのである。

随分前の20世紀の終わり頃、スポーツカーを購入した時は希望ナンバー制度は無かったのだが、派手な車であったこともあり変なナンバーが付くのはどうしても避けたかったのでディーラーに相談してみたのである。今から思えばディーラもさっさと断れば良いものを「そうですね、出来ないこともありません」と何を根拠に思ったのか、そう言い放ったのである。

当然その提案に乗らない理由も無く、希望するナンバーを伝えて納車の日を待っていたのである。

その後、納車の2週間ほど前に「希望のナンバーが取得出来ました、苦労しましたよ」と連絡が入ったのである。後学のためその裏技のような方法を教えてもらったところ、「陸運局の申請窓口で発行される番号をずっと見ながら、良い番号の順番が回ってきた時にすかさず申請するのです」という、想像の遥か斜め上を行く手法であった。

まあそんな無理なことをした報いなのか、心待ちにしていた納車日の2月10日に私はディーラーでは無く、国際空港のロビーにいたのである。そう、納車日とアメリカ出張が同じ日だったのである。その後帰国してディーラーに行けたのは6月のもはや夏のような暑い日であった。

アメリカに住んでいた時にも同様のことがあったのだが、あちらは希望ナンバーでは無く希望文字列であり、アルファベットと数字の組み合わせなので選択肢も格段に広かったのである。しかし、当初車を共同所有していた同居人と希望する文字列に合意を得ることが出来なかったのである。

妥協案や折衷案も浮かばず、申込み締め切り日だけが近付き、最後は投げやりになり「もういい!いっそのこと『への6番』にでもしてしまえ!」と言ったところ、意外にもそれで合意に至り、私のSAAB900Sは「HENO6」という訳の分からないナンバープレートを付けて走ることになったのであった。黒歴史だ…。

今も燦然と輝く「への6番」と素数時計
 しかも、数字の前のアルファベットのOは数字のゼロに置き換わるという法則により、そのナンバーはHEN 06」になってしまったというおまけ付きである。友人からは「なんでHen(メスの鶏)の06なのか?」「へい!にわとり6番!」などと揶揄される始末であった。

さて、21世紀に入って懲りもせずスポーツカーを購入したときには、日本でも希望ナンバーが取得出来るようになってはいたのだが、大した案も浮かばないまま何のひねりも無いありきたりな番号を選んでしまったのである。その後、北海道に来てからも状況は変わらずであり、これといった希望ナンバーを思い付かずに今日まで来たのであった。

閑話休題。

先日ひょんなことから再び希望数字を考えなきゃならない状況がやって来たのであった。相変わらず名案も浮かばずモヤモヤしていたのだが、友人と雑談をしているときに「素数はどう?」と提案され、そうだよ素数時計を作ったときのようにその手で行こうと決心したのであった。

この家を作っているときにお世話になったモデュロール数列に敬意を表しフィボナッチ数列から選択することにした。それだけだと面白くないので「素数」でありかつ「フィボナッチ数」であるものの中から幾つかの条件を満たすものを抽出していった。

そして、何かを言いたげな「一桁の数字」やパチンコ屋の駐車場に止まっているような「ゾロ目」だったり、何が言いたいのかさっぱり分からない「語呂合わせ」などの恥ずかしい数字列は絶対に避けたかったのである。

さらに、どうせ選ぶなら車の番号なので「安全」にちなんだ数字を選ぶことにしたのであった。

安全な数字とは何か?それは安全素数である。

安全素数は素因数分解の困難さに依拠した数字のことであり暗号理論の教科書に良く登場する人気者である。しかし、それをそのまま持って来てもフィボナッチ素数にはならないという振り出しに戻る結果になってしまう。

そこで登場するのがソフィー・ジェルマン素数列である。それがどうしたと言われてもどうしようもないけど、ここに登場する数字はもちろん素数であるが、これを2倍して1を加えてもまた素数になるという性質があり、さらにそれは安全素数と呼ばれる特殊な数になるのである。

そしてこれが肝なのである。なぜ2倍が肝なのかと言えば、それはナンバープレートというものは車の前後に同じものが2枚あるからである。

つまり、自動車の前に「フィボナッチ素数であり、かつソフィー・ジェルマン素数でもある数字」があり、後ろにも同じものがある。つまり2倍である。そこへ運転手の人数である1を足すと全体で安全素数を形成出来るのである。

ということで、この特殊な数字が記載されたナンバープレートを車の前後に擁し私が運転することによって初めて安全素数が完成するのである。「素数+私+素数=安全」という一体感に包まれた希望ナンバーの完成である。

ちなみに、これらの条件を全て同時に満たす数字は、この世にたった2つしか存在しないのである。

さて、私はそのどちらを選んだのでしょう?



2018年6月22日

眺望トイレ

昨年、ブラッと東端の方へ行ったとき、国道を走っていると小奇麗なトイレが目に入ったのである。周囲には何も無く、特に目を引くような景観も無いようなところにトイレが突然現れたのである。別に用事があった訳では無いが、何となく入ってみることにしたのである。

忽然と現れたトイレの建物
 建物自体が新しいせいもあって、中も清掃の行き届いた清潔なトイレである。男性トイレの方へ行ってみると便器の前に不釣り合いな大きさの窓があった。ちょうど用を足していると真正面に来る高さである。

目線の高さにある大きな窓
 女性用がどうなっているか知る術も無いが、おそらくこのような窓は無いのであろう。

窓から見える景色
 ここから見えている海景色は、根室海峡を東方向に望む水平線である。そう、この日は思いっきり曇っていたが、晴れていると真正面に国後島が一望出来るのである。

根室海峡越しの国後島を眺めながら用を足すのか…。うむ、何と言えば良いのか……。

2017年7月19日

走古丹

ルークシュポールを後にして(って、通り過ぎただけだが…)、車を根室方面に進めるのであった。


途中、厚床で線路の分岐跡を見学し、その駅前より眼前に広がる原野までずっと一直線に伸びる道路を眺めていた。ここは1933年に開業した標津線と根室本線との分岐であるが、その前の1925年に敷設された「殖民軌道根室線」があったところなのである。
厚床駅のホームに設置されている
JR標津線と植民軌道の説明
JR、それ以前は国営鉄道だから「国鉄」、その前は鉄道省が作ったから「省線」、さらにその前は鉄道院が作ったから「院線」と呼ばれていた。これらの線路は幅が1067mm(新幹線は1435mm)の日本標準サイズであったが、殖民軌道は線路幅がたったの762mmしか無い簡易軌道と呼ばれる鉄道だったのである。


JRの現行線や廃線跡、蒸気機関車、秘境駅にはあまり興味は沸かないが、この殖民軌道には心を鷲掴みにされるのである。かつては標津、弟子屈、鶴居、標茶など多くの地域に敷設され独自の発展を遂げていた。また、これらとは目的も運営も異なるが、美留和原野を走っていた安田財閥が所有していた釧路鉄道や、中標津空港と中標津駅を結ぶ謎の軍用軌道などもあった。


途中、この植民軌道跡地らしき所を経由して風連湖へ向かった。風連湖はサロマ湖と同じく、海へ開口部を持つ汽水湖である。この開口部は、その両端から陸地がせり出していて、北端の方は今回の目的地である「端っこ」まで行けるのである。


まずはネイチャーセンターへ寄ってから南端の春国岱付近の湿地を歩く。入り口付近に大きな鷲が柱状のものの上に陣取っていた。



鷲?
湿地は木道が整備されており、軽装でも問題なくその景観を楽しめるようになっている。しかし今日はあまりにも暑く、それ程景色を楽しむ余裕が無い。さらに高潮被害があったらしく、木道の後半は崩落していて先には進めなかった。

湿地に延びる木道
それでもなんとか景色を楽しんだあと入り口まで戻ってみたら、なんとあの鷲がまだ同じ場所にいたのである。え?置物なのか?と思って近付いてみると、それは生きている本物の大きな鷲であった。さらに近付いても逃げる様子は無いので、調子に乗って接近しながら写真を撮ってみた。
1mの至近距離でも逃げない鷲
生きてるからちゃんと首も動く
近付き過ぎて下から見上げるような恰好で写真を撮っても、こちらをチラッと見るだけで全く動じない鷲であった。なんか格好良いな。

さて、いよいよ目的地の突端へ向けて出発!


グルッとほぼ一周して北端へ
この端っこは走古丹という集落がある。
走古丹
総務省統計局の2010年の国勢調査によると、51世帯で人口は202人の小さな漁村である。しかし、ここは全戸が上下水道完備のインフラがしっかりした場所なのである。集落の端には立派な下水処理場がある。そしてその理由は…、またいずれ。
ちなみに、この集落の名前は走古丹と書いて「はしりこたん」と読む。

この集落からさらに先まで行くと、やっと端っこへ辿り着くのである。


左に根室海峡、右に風連湖を見ながら進む
この先が端っこ
野付半島を小さくしたような、同時に両側の水面を眺められる細い道が続いている。先端に着くと、そこには綺麗な景色がどこまでも続いていた。来て良かったなぁ。 

帰りは遅くなってしまったので、東武サウスヒルズで買い物を済ませて帰路に着いたのであった。

2017年7月11日

連日の真夏日

暑い。暑い。暑い。 連日の30℃越えに身体が弱ってしまいそう…。さらに追い討ちをかけるように周囲の畑で農薬散布と堆肥撒きが重なり、窓が開けられないのである。室内にいても暑いだけである、かと言ってどこかへ出掛ける気もしないが、そろそろ食料とワインの買い置きが乏しくなって来たので重い腰を持ち上げて出掛けることにしたのである。

 どこか涼しい所は無いかと道内の天気予報を見ていた。どうやら近隣はどこも30℃を越えており、買い物へ行くのは大変そうである。そこからふと北部の方に目をやると、オホーツク海沿岸地方が25℃前後であった。

 涼しいところへ行きたい、でも買い物もしたい。よしオホーツク海沿岸で買い物しよう。

裏山を越えて204Km走ると、そこは輝くブルーに染まったオホーツク海であった。


誰もいない涼しいオホーツク海
心地良い風が吹いており、気温も25℃を下回っていて快適である。久しぶりだなオホーツク海に来るのは。

さらなる涼を求めて沿岸の国道を北上し、どこか適当なところで買い物をしようと思っていた。しかしである、ここには大都市はもちろん中都市も小都市も無いのである。小さなスーパーさえ無い町村もあった。このまま稚内まで行かなきゃならないのか?それとも南下して網走まで行くのか?

そんなことを漠然と考えながら走っていると、前方の丘の上にちょっと風変わりな建物が見えてきた。

お城?
 「モーモー城」

それがこの建造物の名前である。一体何なんだ、これは?まさか、また温泉?

今日は日曜日で天気も良い、なのに観光客どころか人っ子一人いないのである。広大な駐車場に私の車だけがポツンと止まっているだけである。

ひょっとして廃墟なのか?

バルコニーへ続く階段
この建物はお城の名に恥じず大きなバルコニーがある。外階段から直接昇れるようになっており、ここはいっちょう下々の生活を眺める王様気分で見てみようと階段を上がって行った。


夜間ライトアップ用の投光器がある
眼下にはオホーツク海と小じんまりした街並みが見える。そして、ここも涼しくて気分爽快ではあるが、スーパーマーケットや酒屋は一軒も無い町であった。

ちなみにこのモーモー城というのは通称であり、正式名称は「オホーツク農業科学研究センター」と言い、観光地では無いのである。そして今日は日曜日でお休みなのであった。どうりで人影が無いはずである。

この後、暫く北上を続けてはみたが、観光客相手の土産物屋や目的の物は何も売られていない道の駅ばかりしか無く、諦めてオホーツク海沿岸を南下することにしたのであった。

途中で景勝地らしきものがあったので立ち寄ってみると、ここも人影がまばらではあったが、涼しくて景色は抜群であった。


岬の展望台
オホーツクブルー

近付いても逃げないセグロセキレイ
 
透明度が高いので海中の昆布が良く見える

岬の下の岩場に釣り人が数人いるだけで観光客らしき姿は無い。そよ風、小鳥、咲き誇る花々、なんとも気持ちの良い景色であった。

ここに限らず北海道の景勝地にある施設というものは、冬の備えは万全だが夏の対策が疎かというか全く考えられていないものが多いのである。例えばこの岬にある展望台である。入り口には防風防雪用の重い扉と中の自動ドアと二重になっていて寒風吹きすさぶ天候でも施設の中は冷気が入ってこないようになっている。しかしである、


全面ガラス張り
太陽がどの位置にあっても強烈な日差しが内部に入り込み、熱気が篭もってしまう構造になっている。この日も内部は40℃を軽く越えていたように思うぞ。おかげで中を全然見る気になれず、早々に退散した。ここに来る途中の道の駅にあった展望台も同様であった。景色は良かったんだけどねぇ。

その後、黙っている子も泣くモンベモンの生まれ故郷で買い物を済ませ、ものはついでなのでサロマ湖にも立ち寄ることにしたのである。


夕日に輝くサロマ湖
サロマ湖に寄った理由は、過去に世界第4位の大きさを誇っていたあの湖を思い出したからである。サロマ湖とは特に共通点がある訳ではないのだが、そこから持ち帰った資料を先月より整理している最中だったので、ただ広大な閉水域を見てみたかったからである。

燃費の良い車で良かった
このあと、夕日に染まる山々を越えて帰宅し、全走行距離505.2Km、ガソリン16.23L、平均燃費31.1Km/Lであった。避暑を兼ねたちょっと遠回りの買い物であった、…のか?

2016年11月28日

ちゆごく

今年は鉄道を使う機会が多く、各地を巡って旅情に浸っていた。特に気候の良い時期にJRで過疎地を訪れると、人の姿はまばらというより全く見ることも無いような地域もある。都会の喧騒に辟易している私にはこのような情景が好きなのだが、ただひとつ困ることがある。それは食事である。

行き先を決めて計画を立てていれば事前に食料を購入するだの、近隣のレストラン情報を仕入れておくだのするのだろうが、全く行き当たりばったりで移動しているとそういう訳にも行かないのである。そんな時は列車の待ち時間を利用して途中下車するのだが、無人駅で周辺に人の姿の見えないような所だとコンビニすら無いこともある。少ないながらも人家が見受けられるので生活している人がおり、その人々の生活を支える商店などがあると思いながら探してみるのだが、それすら全く見当たらない土地もある。まあ駅が無人であることが全てを物語っているんだろうけど。

そのような集落でも場所によってはJA系の小売店が存在することがある。スーパーマーケットと呼べる規模では無いけれど、個人商店程度の大きさであっても菓子類、飲料、お弁当などが売られている。この日訪れた集落にもJA系の店があるだけで、他に選択肢がある訳でも無いので、数種類しか無い中からじっくり弁当を選びお茶を片手に駅へ戻ったのであった。

気温は20℃程度で快晴無風。無人駅のホームには他の乗客の姿は無く、鳥の囀りだけが聞こえてくる長閑な昼下がり、私は厳選うなぎ弁当を食べるのであった。

食べる前に写真を撮り忘れた
特に美味しくも無く不味くも無く、記憶に残らないような味であったが、無人のホームから見える景色は最高であったので、とても満足できる食事ではあった。

なんだかんだと言いながらも食べ終わって満足した私はゴミを片付けようとしてふと弁当の包装に目をやると、何だか違和感を覚える表記が目に入って来たのである。

原材料名が…

うなぎ(ちゆごくさん)。へ?ちゆごくさん?

書かれている原材料名の産地表記なんだろうが、ちゆごくさんってどういう意図で書かれたのであろうか?漢字が印刷出来ない訳でも無いし、拗音(小さい「ゆ」)が印字出来ない訳でも無い。同じラベルの中で「調味料」は漢字だし、「しょうゆ」「せいしゅ」は拗音もちゃんと表記されているからである。じゃあ、何故「中国産」や「ちゅうごくさん」では無く、「ちゆごくさん」なんだろうか?

さらに良く見ると、読点の位置も変である。「調味料うなぎ」、「ちゆごくさんしょうゆ」なのか?

そんなどうでも良い事を一生懸命考えている内に時間がどんどん過ぎて行き、ほどなく列車がホームに入って来た。今回は列車の乗り継ぎ時間が長く、どうやって暇つぶしをしようか悩んでいたんだけれど、ちゆごくさんのお陰で退屈することは無かった。

は!これはひょっとして無人駅で時間を持て余している旅人への、地元愛にあふれる新手のサービスだったのか?



2016年9月13日

温泉城

この地方は温泉が豊富で至る所に温泉施設がある。特にモール温泉という植物由来のお肌がツルツルになるお湯が多いのである。色は薄茶色で、古代の水辺に生えていた植物が石炭になる手前のもので、腐植性温泉などとあまり綺麗な響きの無い名前で呼ばれることもある。

釧路湿原を歩いていると見かけることがあるが、水辺に葦などの草が生えている所でそれらの残骸が幾重にも積み重なってマット状になっている所がある。これらは長い年月をかけて泥炭や亜炭になっていくのであるが、その途中のような状態で熱水にぶつかると、お湯に紅茶のティーバッグを放り込んだように湯の中にその成分が溶け出してモール温泉になるということだ。もちろん葦だけでなく植物プランクトンなどの藻類や他の微生物であることもあるし、熱水に遭遇しなくても有機物の分解時の発熱でお湯になるものもあるが、まあそんな細かいことはどうでもよろしい。

 さて、そんな数あるモール温泉の中でひときわ面白いところがある。それは、上空から見るとこんな感じ。

周囲のお堀と温泉の建物&駐車場
なんと堀に囲まれていて、まるでお城である。写真上部の駐車場に車を駐めて、堀にかかった橋を渡って温泉施設に入るのである。

橋の上からみるお掘


冬でも凍らないお掘
そして、その先に見える建物とは…

まるでお城
 その怪しいシルエットは、どうやら西洋風のお城のようである。さらにアップで見ると

わるいやつらがすんでいるかもしれない…
 なかなか迫力のある建物である。結構なお金を投じて作った施設なんだろうな。

昼間の健全な姿
 この建物全体が温泉施設となっており、建物の左側には大浴場や露天風呂が並んでいる。建物の一階が受付ロビーと休憩室で二階が男性用・女性用仮眠室やレストランがある。三階には個室があって貸切が出来る。大宴会場もある。さらには女性専用フイットネスルームもあったりするのである。四階は貸切シアターホールになっていて、プライベート上映会も出来てしまう。

さらに五階にはインターネットブースと12、000冊の蔵書を誇るマンガコーナーもある。このマンガコーナーは、たくさんのリクライニングチェアーがあり、それぞれの横に専用の加湿器が備えられてあって必死でマンガを読んでも目が乾かなくて具合が良いのである。それぞれが低いパーティションで区切られているので、他人の目も気にならないし、首がだるくならないための変なクッションも貸してくれるし、至れり尽くせりな所である。ちなみにマンガはこの窓が光っている部屋にある。

さあ、この光っている部屋でマンガを読むのだ!
 もちろんここは一般的な温泉施設であって誰でも利用出来るのであるが、会員になることも出来る。VIP会員と呼ばれるものになると、利用料金の割引きがあり、さらにバスローブのような館内着を貸してくれるのである。これを着ていれば館内を自由に歩き回れるし、仮眠室でそのまま眠れる。風呂上りにマンガを読むときには必需品かも知れない。もちろん私はこのVIP会員である。入会金は300円と破格である。

肝心の温泉だが、しっかりとしたモール温泉の源泉掛け流しである。湯量が豊富なようで、湯船に澱みが無く、どの湯船からも盛大に溢れ出している。写真は撮れないけれど、露天風呂周囲の床がきれいに水平が取れており、湯船から溢れた湯が床一面を満遍なく覆いながら流れていく様は湯気の出ている鏡のようである。それは一種独特の光景で、湯船に浸かりながらその目線の高さの湯気鏡をみていると不思議な感覚に陥るのである。そしてこの露天風呂自体が森に囲まれているので、非日常感は満点である。

さらに夏になると、この露天風呂にリゾート地のプールサイドに置かれているようなリクライニングチェアーが出現するのである。

リゾート地のプールには必需品

別にこんな物は珍しくとも何ともないやと思っていたけど、プールサイドにあるより露天風呂にある方が解放感満点なのである。そう、お風呂なので何も着ていないからだ、ははは。文字通りすっぽんぽんで森の木漏れ日を眺めながら日光浴が出来てしまうのであった。

 ここの利用料金は、貸しタオルと貸しバスタオルがついて平日620円、土日祝が670円と大変お得な料金である。さらにVIP会員は、平日休日を問わず会員料金の515円なのだが、さらに特別割引きキャンペーン時にVIP会員専用の回数券を買うことで、468円になるのである。

と、前回のブログ同様500円未満のお話であった。