行き先を決めて計画を立てていれば事前に食料を購入するだの、近隣のレストラン情報を仕入れておくだのするのだろうが、全く行き当たりばったりで移動しているとそういう訳にも行かないのである。そんな時は列車の待ち時間を利用して途中下車するのだが、無人駅で周辺に人の姿の見えないような所だとコンビニすら無いこともある。少ないながらも人家が見受けられるので生活している人がおり、その人々の生活を支える商店などがあると思いながら探してみるのだが、それすら全く見当たらない土地もある。まあ駅が無人であることが全てを物語っているんだろうけど。
そのような集落でも場所によってはJA系の小売店が存在することがある。スーパーマーケットと呼べる規模では無いけれど、個人商店程度の大きさであっても菓子類、飲料、お弁当などが売られている。この日訪れた集落にもJA系の店があるだけで、他に選択肢がある訳でも無いので、数種類しか無い中からじっくり弁当を選びお茶を片手に駅へ戻ったのであった。
気温は20℃程度で快晴無風。無人駅のホームには他の乗客の姿は無く、鳥の囀りだけが聞こえてくる長閑な昼下がり、私は厳選うなぎ弁当を食べるのであった。
食べる前に写真を撮り忘れた |
なんだかんだと言いながらも食べ終わって満足した私はゴミを片付けようとしてふと弁当の包装に目をやると、何だか違和感を覚える表記が目に入って来たのである。
原材料名が… |
うなぎ(ちゆごくさん)。へ?ちゆごくさん?
書かれている原材料名の産地表記なんだろうが、ちゆごくさんってどういう意図で書かれたのであろうか?漢字が印刷出来ない訳でも無いし、拗音(小さい「ゆ」)が印字出来ない訳でも無い。同じラベルの中で「調味料」は漢字だし、「しょうゆ」「せいしゅ」は拗音もちゃんと表記されているからである。じゃあ、何故「中国産」や「ちゅうごくさん」では無く、「ちゆごくさん」なんだろうか?
さらに良く見ると、読点の位置も変である。「調味料うなぎ」、「ちゆごくさんしょうゆ」なのか?
そんなどうでも良い事を一生懸命考えている内に時間がどんどん過ぎて行き、ほどなく列車がホームに入って来た。今回は列車の乗り継ぎ時間が長く、どうやって暇つぶしをしようか悩んでいたんだけれど、ちゆごくさんのお陰で退屈することは無かった。
は!これはひょっとして無人駅で時間を持て余している旅人への、地元愛にあふれる新手のサービスだったのか?