この地方は温泉が豊富で至る所に温泉施設がある。特に
モール温泉という植物由来のお肌がツルツルになるお湯が多いのである。色は薄茶色で、古代の水辺に生えていた植物が石炭になる手前のもので、腐植性温泉などとあまり綺麗な響きの無い名前で呼ばれることもある。
釧路湿原を歩いていると見かけることがあるが、水辺に葦などの草が生えている所でそれらの残骸が幾重にも積み重なってマット状になっている所がある。これらは長い年月をかけて泥炭や亜炭になっていくのであるが、その途中のような状態で熱水にぶつかると、お湯に紅茶のティーバッグを放り込んだように湯の中にその成分が溶け出してモール温泉になるということだ。もちろん葦だけでなく植物プランクトンなどの藻類や他の微生物であることもあるし、熱水に遭遇しなくても有機物の分解時の発熱でお湯になるものもあるが、まあそんな細かいことはどうでもよろしい。
さて、そんな数あるモール温泉の中でひときわ面白いところがある。それは、上空から見るとこんな感じ。
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周囲のお堀と温泉の建物&駐車場 |
なんと堀に囲まれていて、まるでお城である。写真上部の駐車場に車を駐めて、堀にかかった橋を渡って温泉施設に入るのである。
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橋の上からみるお掘 |
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冬でも凍らないお掘 |
そして、その先に見える建物とは…
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まるでお城 |
その怪しいシルエットは、どうやら西洋風のお城のようである。さらにアップで見ると
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わるいやつらがすんでいるかもしれない… |
なかなか迫力のある建物である。結構なお金を投じて作った施設なんだろうな。
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昼間の健全な姿 |
この建物全体が温泉施設となっており、建物の左側には大浴場や露天風呂が並んでいる。建物の一階が受付ロビーと休憩室で二階が男性用・女性用仮眠室やレストランがある。三階には個室があって貸切が出来る。大宴会場もある。さらには女性専用フイットネスルームもあったりするのである。四階は貸切シアターホールになっていて、プライベート上映会も出来てしまう。
さらに五階にはインターネットブースと12、000冊の蔵書を誇るマンガコーナーもある。このマンガコーナーは、たくさんのリクライニングチェアーがあり、それぞれの横に専用の加湿器が備えられてあって必死でマンガを読んでも目が乾かなくて具合が良いのである。それぞれが低いパーティションで区切られているので、他人の目も気にならないし、首がだるくならないための変なクッションも貸してくれるし、至れり尽くせりな所である。ちなみにマンガはこの窓が光っている部屋にある。
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さあ、この光っている部屋でマンガを読むのだ! |
もちろんここは一般的な温泉施設であって誰でも利用出来るのであるが、会員になることも出来る。VIP会員と呼ばれるものになると、利用料金の割引きがあり、さらにバスローブのような館内着を貸してくれるのである。これを着ていれば館内を自由に歩き回れるし、仮眠室でそのまま眠れる。風呂上りにマンガを読むときには必需品かも知れない。もちろん私はこのVIP会員である。入会金は300円と破格である。
肝心の温泉だが、しっかりとしたモール温泉の源泉掛け流しである。湯量が豊富なようで、湯船に澱みが無く、どの湯船からも盛大に溢れ出している。写真は撮れないけれど、露天風呂周囲の床がきれいに水平が取れており、湯船から溢れた湯が床一面を満遍なく覆いながら流れていく様は湯気の出ている鏡のようである。それは一種独特の光景で、湯船に浸かりながらその目線の高さの湯気鏡をみていると不思議な感覚に陥るのである。そしてこの露天風呂自体が森に囲まれているので、非日常感は満点である。
さらに夏になると、この露天風呂にリゾート地のプールサイドに置かれているようなリクライニングチェアーが出現するのである。
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リゾート地のプールには必需品 |
別にこんな物は珍しくとも何ともないやと思っていたけど、プールサイドにあるより露天風呂にある方が解放感満点なのである。そう、お風呂なので何も着ていないからだ、ははは。文字通りすっぽんぽんで森の木漏れ日を眺めながら日光浴が出来てしまうのであった。
ここの利用料金は、貸しタオルと貸しバスタオルがついて平日620円、土日祝が670円と大変お得な料金である。さらにVIP会員は、平日休日を問わず会員料金の515円なのだが、さらに特別割引きキャンペーン時にVIP会員専用の回数券を買うことで、468円になるのである。
と、前回のブログ同様500円未満のお話であった。