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2022年6月10日

冷蔵庫

 これまで使っていた冷蔵庫のサイズは約400リットルで、多少買いだめしても十分な収容サイズであった。機能も問題なく、ずっと故障知らずであまり不満も無く使って来たのである。

 ただ一点だけ不満があると言えば、それは冷凍庫の容積が少ないことであった。

400リットルの旧冷蔵庫
 

ネットや家電量販店などで最近の冷蔵庫を見ると、なにやら使いもしない機能満載であったり、他社との差別化のためだけに搭載された感が満点の機能やデザインばかりであって、あまり購買意欲を駆り立てるようなものでは無い。

とは言いながらも、ここ最近はコロナ禍のせいもあり一度に買う食材の量が増えたので、もう少し大きな冷凍室が欲しくなってしまったのである。ただ前述のように魅力的な冷蔵庫はなかなか見付けられず、買い替えをすべきかどうか考え倦ねていた。

まあ考えてばかりいても何も解決しないので、重い腰を上げて家電量販店へ出向いて片っ端から製品を見比べてみた。どれもこれも大差無かったのだが、私の要求するものと売れ筋と呼ばれる最新の冷蔵庫との求める方向に大きなズレがあることが分かったのは大きな収穫であった。

そのズレとは……。

最近の冷蔵庫は幅が60-65cmのものが主流で、600リットル程度になるとその幅が68-70cmになる。

幅が狭すぎである。

その代わりに容積確保のために奥行きが70cm以上もある。

深すぎである。

私の欲しい冷蔵庫は容積が500〜600リットル、横幅は80cm以上、奥行きは50cm程度、冷凍室が200リットルである。機能としては、野菜室は不要、自動製氷機能は要らない、パーシャルなんとかチルドなんとかは無意味、という最近のトレンドを真っ向から否定するものである。

もはや「ズレ」なんてものでは無い……。

冷蔵庫の奥行きは深過ぎると、奥に食材が隠れがちでありドアを開けた時の視認性に難点がある。さらに食材が迷子になって後日変わり果てた姿で発見される確率が高まるのである。

冷蔵庫の横幅は広くても全然問題無く、まあ広ければ広いほど使い勝手が良い。業務用だと180cm幅の物まで売られていることからも明らかである。

ドアは両開きのいわゆるフレンチドアが良いと思う。しかしながら、このドアは横幅が80cm以上無いと非常に使い難いため、その欠点ばかりが目立つ結果となる。

これらを満たす冷蔵庫は数は少ないものの幾つかは見つけることが出来た。

(1) 全ての要求を満たす冷蔵庫

 
(2) 潔い設計の冷蔵庫


(3) サイズがぴったり   
(3) 中のレイアウトも合格

(1)の冷蔵庫が最有力候補であったが、さすがに大き過ぎた。(2)はデザイン、サイズ共に合格であり、左側全部が冷凍室、右側全てが冷蔵室という潔い設計に心を奪われたが、使い勝手の点で見送ることになった。結局、(3)の冷蔵庫を買ったのである。

全幅830mm、高さ1825mm、庫内の奥行き510mm、全ての点で合格であった。冷凍庫に至っては容量こそ180リットルと少し小さいものの、中が6つの引き出しに分かれていて使いやすく、製氷室も製氷モードをオフにすれば普通に冷凍室として使用出来る。

我が家のキッチンにジャストフィット

実際にキッチンに運び入れ使い始めたが、予想通りに使い勝手はよろしい。奥行きの狭さはかなりポイントが高く、横幅はもう少しあっても良かったと思えるほどである。横幅70cm以下の狭い冷蔵庫を買っていれば間違いなく後悔したであろうと実感出来る大きさである。

まあ見た目が業務用冷蔵庫っぽいのが何とも……。

あと、最近の冷蔵庫だけあって消費電力は以前のものの80%程度なのは流石である。お陰で先月の電気料金は過去最低を記録したよ!

2018年3月4日

エネルギー循環施設(3)

先日、とある…(以下、略)

再び牛の排泄物エネルギーの話だが、今度は別の施設である。

こちらは前回と比較してやや小規模のプラントである。ただ、この施設の見学は設計施行担当者、運用責任者などが揃っており、色々な質問に答えて頂いたので大変有意義であった。

搬入口

10tダンプが小さく見える
 10トンダンプカーでやって来た牛の糞尿は、ここで荷台から下ろされる。この搬入口の床には大きな穴ががあいており、地下すぐのところに巨大撹拌槽があり中でグルグル回されている。外気と触れるところであり、主に好気性バクテリアを用いて最初の発酵が始まるのである。

発酵槽の室内側
 最初ので好気性発酵が終わったのち、ここの嫌気性発酵へポンプで圧送して(中身を考えるとすごいな…)恒温発酵が始まるのである。この手の施設で外から見える巨大な円形タンクがこれである。

この嫌気性発酵槽は約38℃に保たれており、牛の体温に近い環境で発酵が進む。中では撹拌装置が頑張ってウンコをグルグル回しているのである、20日間も…。


撹拌中のブツ
撮影技術が未熟な私が撮影したのでピンボケ写真だが、この場合は腕が悪くて良かったというべきか…(うむ)。



発電設備全景
発電機
熱交換器
ガスコントローラー
発酵槽で生成されたメタンガスが脱硫装置を経てこのガスエンジンへ送り込まれる。ここでガスを燃焼(内燃)させてそのエネルギーで発電機を回して電気を作り、排出された熱を熱交換器で各所に送られるようになっている。


熱交換器から送られてきた熱は、発酵槽へ戻して槽の保温に使われている。ひとつは発酵の促進だが、ここのように寒冷地だと凍結防止の保温も兼ねている。ウンコが自らのエネルギーで自分自身を温めているのか…、侮れないウンコ。

 この発電機には「故障の際はここへ電話してね +49-2568-9347」と書かれていた。49ってドイツだな、そっかこれはドイツ製なんだ。メーカーの資料によると、出力は150KW(最大160KW)の電力とエネルギー換算で155KWの熱である。変換効率はそれぞれ41.5%と40.2%である。ウンコの持つエネルギーの80%以上が利用可能ということである。さすが最新式のコジェネレーションだ。

発電された電力は、このプラント自身で消費する分を除いて売電されており、ランニングコストの大きな部分を支えているのであろう。さらに、槽でメタンガスを搾り取られた残りは、液肥という畑に撒くための肥料となり各農家へ運搬されるのだそうだ。 

これまで堆肥化させて畑に撒いていた糞尿だが、この施設のようなバイオガスプラントに集約することにより、畑への散布時の匂い低減、分解し切れない量の堆肥が地中へ浸透することによる地下水汚染の防止、冬季の糞尿凍結対策など、農家自身や環境に非常に大きなメリットがある。

これまで何となく見ていたバイオガスプラントだが、考えていた以上に高い技術で高度な処理が行われており、大変勉強になりました。

2018年3月2日

不思議な温室

先日、とある農家の…(以下、省略)

この施設は、個人で維持管理されている温室、いわゆるビニールハウスである。ここの持ち主からこの温室の話を聞いて以来、チャンスがあれば是非拝見したいと心待ちにしていたのである。それがとうとう現実のものとなり、ご厚意で見せて頂く機会に恵まれたのである。もうテンション上がりまくりであった。

外観はごく普通の温室
 個人宅の片隅にそれはあった。特に変わった構造でも無く、普通の大きさ・形のビニールハウスである。

中も普通の畑に見える
 中はごく普通の畑(良く知らないけど)のようで、特に変わった所は無い。

屋根もビニール一枚だけ
 寒冷地にあるようなビニールが二重になっていたり、断熱層を持っていたりする訳でも無く、これも普通の温室に見えるのである。入り口もブルーシート外側を覆っているだけで普通のビニールドアであった。

ところがである、この温室はこの真冬の2月にもネギ、キャベツ、小松菜など葉物野菜がたっぷり成長中なのである。いくら晴天率が高いとは言っても、夜の気温はマイナス20℃程度まで下がる土地柄である。どうやって野菜類を夜間の凍れから守っているのだろうか?

初めてこの話を聞いた時、にわかには信じられなかった。普通のビニールハウスで野菜類を通年栽培しているのである、それも石油や電力、もちろん温泉熱も使わずにである。 私が想像していたのは、何重にも断熱層を重ねた大掛かりな設備で、巨大な蓄熱体を擁するものであった。しかし、現物を見てみると想像とは全く異なる、ごく普通のビニールハウスだったのである。それも、かなり年季が入って所々補修痕があるものだったのである。

詳しく聞いてみたところ、このハウスは30年前に建てたもので一度も建て直していないそうである。実際、支柱などはサビだけでなく、苔まで生していたのである。ビニールくらいは何度か張り替えたのか聞いてみても、所々補修用のビニールを充てがっているだけで30年間使い続けているそうだ。触れさせてもらったけれど、特に厚いものでも無くどちらかと言えば頼りないビニールシートであった。

結局、色々見せてもらいながら詳細に話を聞いていると、このハウスは科学的な根拠に基づき設計されており、また地表温度だけに止まらず、地中の温度分布やpHなどの計測なども怠りなく行われており、その数値がびっしりと書かれた記録ノートも見せてもらった。そして、それら養分・熱量・水分そして土壌が極めて微妙なバランスの上に成り立っている、他に類を見ないハウスであることが分かり、感心を通り越して感動してしまいました。すごいの一言だ…。

この日は朝の10時だったが、畑の表面温度は24℃であった。

表皮は痛んで見えるが、中は綺麗な緑色のキャベツ
土壌改質に余念が無い
 農業に全く興味の無い私は、この作物の出来具合などは分からなかったが、自家消費以外にも一部は出荷しているらしいので、十分な品質を保っているのだろう。彼はこの30年、年間を通して葉物野菜を買ったことが無いそうだ。つまり気候の影響をあまり受けず安定した品質と収量があると言うことだろう。

 さて、私の最大の関心事であるこのハウスのエネルギー循環だが、要約すると以下の通りである。

熱・光エネルギーは専ら太陽光であり、この地の晴天率をはじめとする変動の少ない日照時間があって初めて成り立つエネルギー収支である。昼間の受光量と夜間の熱損失は、地表の比較的浅い礫層に蓄熱層が形成されており、昼間の熱が夜間に抜け切らないようである。また、水分コントロールが絶妙で、地表部分はほぼ乾燥状態にすることによって凍害を回避出来ている。また、火山灰層を養土下に分布させることによって礫への熱伝導を阻害せず、かつ植物の根の到達範囲に充分な水分を供給出来ている。さらに夜間の保温層としても機能するという、素晴らしいアイデアである。


 この地方には土室(つちむろ)という、これと同じような原理の半地下倉庫のようなガラス張りの室があるが、それより手間がかからず熱効率や熱利用状況も優れているようであった。

その後、土壌改良に関する話が続いたが、農業知識全般が見事に欠落している私にはさっぱり分からなかった、残念…。

2018年3月1日

冬眠芋

先日、とある農家の貯蔵庫を見せてもらう機会があり、なかなか興味深かったのである。それはジャガイモの貯蔵庫であった。

ジャガイモはサツマイモとは違い、貯蔵温度が0℃10℃(適温は2℃4℃)なので温度管理が楽である。つまり、保温構造の倉庫に、雪や氷と一緒にジャガイモを放り込んでおくだけで貯蔵が可能だからである。雪を使えば庫内の湿度は80~90%になるので、これもジャガイモの保管に具合が良い。

貯蔵庫は発砲ウレタンフォームの吹き付け工法で断熱層を形成している。厚みは100mmだそうで、これがコストと断熱性能のバランスが良いらしい。

その名の通り
雪とジャガイモ、と人々

断熱された倉庫の中に外から持ってきた雪を入れると、倉庫内はやがて0℃程度で落ち着き氷点下にはならない。そこへジャガイモを満載したコンテナを積み上げて保管しておくと、ジャガイモは寒さに耐えるために低温糖化現象を起こして体内のデンプンをショ糖に変化させ、さらにブドウ糖や果糖も生成するのである。

この時に若干ではあるが発熱するので、0℃近辺の雪温と相まって庫内は2℃~4℃と理想的な温度になるという、実にうまい仕組みである。したがって、庫内に運び入れる雪の量、保管するジャガイモの量の調節が重要なカギになるのである。

もし、ジャガイモの数が少なければどうなるのだろうか?

庫内の温度が0℃付近から上昇せず、断熱性能にもよるが庫内が部分的に氷点下になる恐れがある。


広い倉庫に極少のジャガイモ
これは別の施設であるが、なんらかの理由でジャガイモの量が確保出来なかったようで、庫内の片隅に身を寄せ合うように少量のジャガイモコンテナが積まれてあった。外はマイナス20℃の極寒である、このままでは凍害が起こる危険がある。

そこで、コイツの登場である!


強力助っ人、参上!
広い倉庫にいかにも頼り無さそうな超小型の家庭用電気ヒーターがたった1台だけ。

だ、だいじょうぶなのか?と思ったが、これでなんとかしのげるそうだ。  

この雪室による保存でジャガイモがどれだけ甘味が増すかといえば、この通り。
(c)2006 北海道農業研究センター
 サツマイモが嫌いな私は、甘いジャガイモもあまり好きでは無い。どちらかと言えばホクホクしていなくて火を通しても固さが若干残る程度のものが好きである。

2018年2月28日

エネルギー循環施設(2)

さて、ウンコで発電機を回して得た熱でマンゴーが安定して収穫できるようになったが、実はまだエネルギーが少し余っているのである。

余っているとは言っても有り余っている訳では無く、残りを他の事業に効率良く回そうという目論見である。そのひとつが、薩摩芋の貯蔵である。北海道で薩摩芋が出来ること自体驚きだが、実際に根強い需要はあるらしい。事実、薩摩芋が栽培出来なかった90年前に薩摩芋が全く使われていない「サツマイモの味がするお菓子」が開発されて、それは今でも販売されていることからもうかがえるのである。ガンモドキと同じような発想なのか?

この薩摩芋の貯蔵だが、もともとが熱帯性の植物のせいだからか、貯蔵温度が12℃を下回ると寒害(初めて聞く言葉だ…)により腐敗してしまうらしい。かと言って16℃以上だと芽が出てしまうらしい。さらに湿度も重要で適切な温湿度管理が要求されるという、非常に面倒くさいイモである。北海道のような寒冷地で冬の期間に貯蔵しようと思うと、貯蔵庫に費やす熱エネルギーが膨大な量になりコストがかさむことになってしまう。なので、ここの施設のように安定した熱源があればコスト的に有利になる(はず)。

さて、私の嫌いな薩摩芋の話はどうでも良い。この他の熱利用が面白いのである。それは、キャビア製造機である。まあ一般にはチョウザメとも呼ばれているが…。

チョウザメの飼育槽
 
キャビアの元がうじゃうじゃ

浮遊するキャビアの容器
 この水槽群にそれぞれ年齢別にキャビアの元が泳いでいた。ここでは水温と成長の関係、産卵に適した水温管理などが研究されておりなかなか興味深かったのである。

キャビアと言えば、20年ほど前に黒海、カスピ海周辺からユーラシア大陸奥地までキャビア三昧の旅行をしたことを思い出した。あの頃はソ連崩壊後の混乱経済からまだ抜け出せていない国々が多く、恐ろしいほどのインフレが万延していたのである。

インフレとキャビア、一見何の関係も無さそうであるが、現地の人々には申し訳ないが旅行者にはとても嬉しい状態だったのである。それは、超格安でキャビアが食べられたからである。それも日本に輸入されているような塩分の濃い缶詰キャビアでは無く、生キャビアや瓶詰めの塩の薄いものなどが食べ放題状態だったのである。もちろん混乱経済下では物流も機能不全に陥っていたが、「ある所にはある」という状況であった。

市場やレストランに行っては「キャビアはある?」と聞きながら、観光そっちのけでキャビアを探しながらウロウロしていたなぁ…。漁師に直接聞きに行ったこともあった。国立博物館に行った時も、折角専門員が説明してくれていたのに、私はキャビアのことばかり聞いていた気がする。もうキャビア一色であった。

ある日、市場で生キャビアに出会った時は狂喜乱舞しながら600gも買い込んだことがあった。旅行者なので冷蔵庫に保管することも出来ず、生キャビアなのでそんなに日持ちはしないし、まさかレストランへキャビア持参で行く訳にもいかず途方に暮れたこともあった。結局、後先のことを考えずに買い込んでしまった大量のキャビアと途中で買ったパンとワインを手にホテルへ戻り、黙々と食べ続けたのである。

最初の100gはたいへん美味しい。次の100gもやはり美味しい。その次の100gも美味しいけれど、やや胃がもたれてくる。さらに100gを食べると、ちょっと休憩をはさまないと食べられなくなる。さて、残りの200gをどうしようか?と悩んだのだが、ここで食べておかないと一生後悔するような気がして、頑張って全部食べたのである。もはや最後の方は味がさっぱり分からないばかりか、胃から逆流の気配が…。いじましい私は必死でその胃の反乱に耐え、そのままベッドに倒れ込むように入って寝たのであった。

翌朝は意外とすっきり目が覚めた私は、あろうことかまたキャビアを探しながら街をウロウロしていた。数日後、再びキャビアを発見したので買い込みさらにイクラまで買ったのである。 あの都市にはビザ申請の関係で長く滞在していたが、ひたすらツブツブを食べていたようで、他の記憶がほとんど無い始末である。それにしても、うまかったなぁ。

と、そんなことを思い出しながらこの施設を見学していた。ここでキャビアの大量生産が可能になれば気軽に食べられるようになるのだろうか? 

チョウザメは実は鮫では無く、 硬骨魚類の分類群の一つらしく古代魚とよばれるものの一種らしい、身も鮫のようなアンモニア臭が無く淡白な白身魚である。寿命は驚くことなかれ、30年から50年くらいだそうだ。そう言えば鯉も長寿だよな…。また、現在は絶滅してしまったが北海道でも獲れた時代があるそうだ。アイヌ語にチョウザメを現す「ユベ」があり、チョウザメがいる所という意味の「ユベオツ」が各地の地名に残っている。江別市、網走の湧別、滝川市江部乙など。

ちなみに、キャビアの一番美味しい食べ方は、焼き立てのマフィンにバターをたっぷり塗ってキャビアをこぼれる程乗っけてレモンをちょいと絞ったものが最高だと思う。その次は、やはり「そのまま」スプーンですくって食べることかな、ただし量が少ないと大変虚しい思いをすること間違い無しである。寿司には意外と合わないと思う、イクラは合うのにね。

ということで、牛のウンコを回すと、文字通り回り回ってキャビアになるのであった。

2018年2月27日

エネルギー循環施設(1)

先日、とあるエネルギー循環施設を見学する機会があり、なかなか興味深いものを見せてもらえたのである。

続けざまに「先日、とある…」から始まっているブログだが、いったい「先日」に何が起こったのだ?と思うだろうが、偶然色々な施設を見る機会がまとめてやって来ただけである。いや、それはそれでとても面白かったよ。

さてこの施設だが、 酪農王国の地らしく家畜の糞尿処理と再生エネルギー活用という、ごくありふれたものであった。しかし、その副次エネルギーの活用方法が面白く、また私の今後の計画に大きく役立つものであったのでとても嬉しかったのである。



糞尿槽

研究棟
糞尿処理施設へは近隣農家から専用のダンプカーや糞尿運搬車などで運び入れられる。その糞尿は好気性バクテリアが活動するタンクで数日撹拌され、その後嫌気性バクテリアが活躍する密閉タンクへ送られる。ここでは38℃程度の恒温槽(って言うのかな?)で20日前後撹拌されるのである。

牛のお尻からお別れしたウンコは、ここで1ヶ月近くもグルグルぐるぐる回りっ放しである。もうドロドロのぐっちゃぐっちゃである。さらに発酵しているものだからガスもブクぶくブクぶくと出っ放しである。ぐるぐるぐちゃぐちゃぶくぶく。

今後、乳製品や牛肉料理を食べるときは、このシーンが頭に浮かんでしまうんだろうな…😱。

さて、ここで絞り出されたガスはメタンガスが主であり、これを脱硫(硫黄成分を除去すること)したのち、ガスタービンもしくはガスエンジンに送られ、今度はウンコじゃ無く発電機を回すのである。

この時、大量の廃熱がエンジンと発電機から放出されるが、これを熱交換器を通して隣接する農業施設へ送るのである。


温室と農作物
ここは温室なので晴れている日中はそれだけで十分暖かいのだが、夜間などは先程の回収した廃熱を用いて温室内の温度を一定に保つのである。その温度とは、

なんと37℃であった。

ここまではどこの処理施設にもあるようなありふれた光景なのだが、この施設のすごい所は、冬の暖房だけでなく夏の冷房にも同じ熱交換器を使っているのである。つまり、冬は温室内を真夏の温度に保ち、夏は真冬の温度に保つのである。

その結果、北半球と真逆の気候が人工的に作り出せるということである。それも廃熱という通常ならその名のとおり廃棄される熱を使ってである。ちなみに冷房は、この寒冷地の特徴を生かして冬の間に貯蔵した雪と氷を用いるのである。冷房、暖房その両方を廃用エネルギーを使って農作物を栽培している。

なぜ夏冬を逆転させているかと言えば、それは「オフシーズンに最盛期を迎える作物は高値で売れるから」である。

では、ここでは何を作っているのかというと、それはマンゴーである。そしてその売値は高いものでひとつ3万円だそうである。すっげー!

ちなみに、冷静な目でここの発熱量、熱交換器の効率(型番からメーカー公表値が得られる)、温室の熱損失などを計算してみると、エネルギー収支は微妙にマイナスな結果になる。私の計算が間違っているのかも知れないけど、大きくは外れていないと思う。

さて、この施設を見学して得られたものは、これも私の今後に大いに役立つものであったが、言うまでも無く、私は農業には全く興味が無いので、これと同じようなものを作ろうとしている訳では無い。うむ。

2015年10月19日

謎の巨大建造物(2)

前回発見した謎の巨大建造物だが、その目的と構造が分かったのでさらに詳しく調べてみたのである。その全容を白日の元に晒すためいろいろな所から資料を手に入れ、一生懸命読んだのであった。

それには何か目的があるのか? もちろん無い、あるはずが無い。

さて、この謎の巨大建造物が水路橋であることは前回の調査(何の?)で判明した。しかし、それは長大な水路の途中でしか無いはずだ。問題は、その水路がどこから来てどこへ行っているのかである。と、勝手に問題を大きくして次へ進むのであった。

集めた資料の中に五万分の一地形図をもとに作成されたものがあり、謎の建造物を含む全ての経路が詳細に記述されている。普通の地図には記載されていない建造物などが詳しく描かれているので探検ツアーには恰好の道具である、と作成された意図とは大きく異なる方法でこの地図を読んでいたのであった。

概要が判明したので、早速GPSと高度計、カーナビと小回りのきく車、ヒマ人のセットで探検を開始するのである。


探検地図(?)
例の巨大建造物も載っている
前回の航空写真と同じ

探検地図のスタート地点を見ると、そこは標高640mの国立公園内の川である。ここに取水ダムと呼ばれる川を堰き止め水を貯える設備があり、取水口(小規模)または取水塔(大規模)という大きな口を開けた漏斗の親玉のようなところから水が取り込まれる。この水が今回の探検ルートの要である導水路と呼ばれる巨大パイプを通って次の探検場所へ運ばれるというものである。

近畿地方の某所で、湖水表面からこの取水口を間近に見たことがあるが、吸い込まれるととても嫌な思いをするだろうことは想像に難くない仕組みである。一応、防護フェンスやフロートが周囲に張り巡らされているが、魚や小動物は吸い込まれて行くんだろうな…。

こんな堰堤で川を堰き止める

この建物の中に取水口がある

堰き止められた川面
 下流で放水があった直後なので、川面は低く先日の爆弾低気圧のせいで折れた木や枝葉が大量に浮いている。これが今回の探検のスタート地点である第一ポイントである。

ちなみに、なぜ放水直後であることが分かったかと言えば、ちょうどそこを通ったときに放流開始のアナウンスが拡声器を通して山々に響き渡っていたからである。「これから放水を始めます。危ないので決して河口に近づかないでください」といった内容のアナウンスでここまでは普通だったが、最後に「これで放送は終わりです」と小学校の放送部の練習のような台詞だったので笑ってしまいそうになったぞ。

そして、そのアナウンスを流していた所が、今回の第二ポイントである。

近付けない
この橋脚の下にある第二ポイント
入り口の所で立入禁止になっており、施設の外観すら見ることが出来ない。次回の楽しみに取っておいて次へ進もう。

第三ポイントの入り口側
第三ポイントは、第一ポイントの水を第二ポイントで発電し、残りをここに放水している。そしてここはダム湖と称される人造湖であり、昭和28年から工事を始め、3年の歳月をかけて完成した巨大ダム湖である。

ダムに沈んだ鉄道橋
 このダムが出来たため、それまで川沿いを走っていた鉄道は水没し、コンクリート製の鉄道橋の一部が見え隠れしている。この橋は全長130mのアーチ橋で、水面の高さによってはローマ時代の眼鏡橋のような美観を見せる。タウシュベツ川橋梁という名前である。

ダムを上空から見る
 このダムの右側辺りに再び取水設備があり、今回の探検ルートは続いて行くのである。

つづく(のか?




2015年9月23日

小回り

あんな所やこんな場所にも気楽に行ける車は、こんな車。

どこにでも現れる自転車のような自動車
普通車の平均的な大きさは、全長が4mから5mのものが多い。軽自動車は規格で3.4m未満という制約があり一般的な軽自動車は規格一杯ギリギリを使ってどの軽乗用車も軽トラックも同じ長さなである。駐車場で並んでいると綺麗に前後が揃っていて、まるで展示場みたいである。

ところが、この車は全長が3mにも満たない2.7mである。ドアの前後にタイヤが付いただけというミニマムコンセプトの車なのである。ホイールベース、つまり前後のタイヤが地面についている所の距離が1.8mしか無い。先日のパンクマ道でさえ道幅が2m程あったので、がんばって何度も切り返しをすればUターン出来てしまうという優れものである。他の車ではこうはいかない。

この車の最小回転半径は約3.5m。つまり一般道であれば道幅が4mあるので、この車は切り返しを行うことなくUターン出来る。北海道で道幅が4m未満の道路はあまり無いので、ハンドルをグイッと切りさえすれば、どんなところでもUターンが出来る。バックギアがついていることさえ忘れてしまいそうだ。

のんびりドライブしていても「あっ、今通り過ぎた所に見えたのは何だろう?」と思った瞬間にブレーキを踏みハンドルを回すだけで、あっと言う間にそこへ戻ることが出来る。これに落ち着きの無いドライバーが乗っているものだから、あっちへフラフラこっちへチョロチョロと、まるで自転車感覚で気の向くままに走っている。

平均燃費は30.5Km/L。燃料タンクは20リットルしか無いけど、600Km程度走れるのでやはりどんな所へも気楽に行ってしまうのであった。

ただ残念なことに、2005年に製造が中止されており、新車はおろか程度の良い中古車さえもはや手に入らないのである。このまま大事に乗りつづけるしか方法は無いのである。どこかのメーカーが同じコンセプトで作ってくれないかな…。



2015年3月29日

電気エネルギー

冬眠気分でのんびり生活している内に、気が付けば既に年は明けていた。外は眩しい日差しであり、3月も終ろうとしている。この冬の間、家作りは全く進んでおらずブログに書くことは全く無かったのである。はっはっはー。

そう言えば、昨年は電気エネルギーへの依存をいかに低く抑えることが出来るかということを一生懸命考えていた。北海道電力では毎月の使用量を視覚化できるWEBサービスを提供しているので、引越してからの記録をグラフ化してみた。

電気使用量変化

そもそも電気使用量を低減する目的はと言うと、料金の節約では無く生活の電気エネルギーに依存する割合を極力下げたかったのである。なぜ依存率を低減しなければならないかは話が長くなるので書かないが、とにかくそういうことなので実験を開始したのであった。

電力料金は、最初の120kWh以下は1kWhあたり23円54銭、121kWhから280kWhまで29円72銭、281kWh以上は33円37銭になる。引越した頃の使用量は平均で150kWhであったので、当面の目標を120kWh以下としていたが、翌年の夏頃になると暖房器具を使わなくなったため、余裕で目標が達成出来たのである。

 これ以上の節電を達成するためには、所持する電気器具毎の正確な消費電力量を把握する必要があったので、検電器を購入してみた。これまでにも同様のメーターは持っていたが、「力率」を計測できるものが欲しかったのである。

 その結果、我が家の電気の無駄食いチャンピオンはテレビとビデオ、冷蔵庫であった。テレビは液晶の追従性の悪さを嫌ってKV-36DZ950という重さが99Kgもある巨大ブラウン管テレビを使っていたのだが、さすがに古さが目立って来たことと、液晶画質が次の世代へと移ったお蔭でなんとか鑑賞に耐えるものが出て来たので買い替えることにした。せっかくなので、消費電力の小さいものを選んでみた。

ビデオデッキは、番組表取得やネットワークアクセス、予約番組の放送時間の変更追従機能のせいで電源がONの状態が思いの他多かったのである。仕方が無いのでテレビに直結するUSB-HDDに買い替えた。その結果、月間電気使用量は100kWhを切るようになってきた。

オーブントースターは普通の1300Wのものから庫内の狭い900Wのものに変更したら、パンの焼き上がり時間が70%になった。900÷1300×70=48%となり、消費電力は半分以下になった上に焼き時間が短い分だけカリッとした食感に出来上がり美味しくなった。これは意外であった。

 パソコンやルーター、ハブ等は一日中付けっぱなしなので、これも省電力型のものに替え、力率の良い電源ユニットと低消費電力型のクワッドコアCPUなどに変更したら16W程度にまで下がった。ノートPCの半分くらいか?

こんな感じで消費電力を抑えて行ったら、先月はとうとう80kWhを切るまでになったのであった。

我が家には部屋の仕切りが無いため、照明は家中を照らす必要があるのでLED電球が30個あり、3系統に分けてはいるものの殆んど点けっぱなし。夜間外出時にも1系統は点けて行く。大型ファンヒーターは冬の間は切ることが無く24時間スイッチが入っている。他にはこまめにスイッチを切るようなものも無く、適当に生活しているので特に不便さを感じている訳でも無い。あとは消費電力の半分を占める冷蔵庫をどうにか工夫すれば、依存率はかなり下がると思う。

とりあえず、消費電力低減作戦は成功したようだ。