再び牛の排泄物エネルギーの話だが、今度は別の施設である。
こちらは前回と比較してやや小規模のプラントである。ただ、この施設の見学は設計施行担当者、運用責任者などが揃っており、色々な質問に答えて頂いたので大変有意義であった。
搬入口 |
10tダンプが小さく見える |
発酵槽の室内側 |
この嫌気性発酵槽は約38℃に保たれており、牛の体温に近い環境で発酵が進む。中では撹拌装置が頑張ってウンコをグルグル回しているのである、20日間も…。
撹拌中のブツ |
発電設備全景 |
発電機 |
熱交換器 |
ガスコントローラー |
熱交換器から送られてきた熱は、発酵槽へ戻して槽の保温に使われている。ひとつは発酵の促進だが、ここのように寒冷地だと凍結防止の保温も兼ねている。ウンコが自らのエネルギーで自分自身を温めているのか…、侮れないウンコ。
この発電機には「故障の際はここへ電話してね +49-2568-9347」と書かれていた。49ってドイツだな、そっかこれはドイツ製なんだ。メーカーの資料によると、出力は150KW(最大160KW)の電力とエネルギー換算で155KWの熱である。変換効率はそれぞれ41.5%と40.2%である。ウンコの持つエネルギーの80%以上が利用可能ということである。さすが最新式のコジェネレーションだ。
発電された電力は、このプラント自身で消費する分を除いて売電されており、ランニングコストの大きな部分を支えているのであろう。さらに、槽でメタンガスを搾り取られた残りは、液肥という畑に撒くための肥料となり各農家へ運搬されるのだそうだ。
これまで堆肥化させて畑に撒いていた糞尿だが、この施設のようなバイオガスプラントに集約することにより、畑への散布時の匂い低減、分解し切れない量の堆肥が地中へ浸透することによる地下水汚染の防止、冬季の糞尿凍結対策など、農家自身や環境に非常に大きなメリットがある。
これまで何となく見ていたバイオガスプラントだが、考えていた以上に高い技術で高度な処理が行われており、大変勉強になりました。