川の水が凍らないのは色々な理由があるが、山間部など川の上流部分だと川に流れ込む湧水や支流の温度が結構高い(井戸水の温度相当)ため、気温が相当低くても凍る前に下流へと流されて行き、凍る暇が無いという状態である。中流域になると、水量が増え川も深くなり流れも速く、水同士のぶつかり合いが上流に比べて激しくなるので水温自体がなかなか0℃以下にならず凍らないのである。では下流はと言うと、水温は0℃以下になっている部分もあるが流れの運動エネルギーの総和が増大しているのでやはり凍り難い。そんなに運動エネルギーが大きいのかと疑問に思うかも知れないが、ダムなどで川をせき止めて発電機を回せば相当な電力を生むことを考えれば分かり易い。
もちろん全く凍らない訳では無く、時々川縁で水しぶきが凍って流されて来たり、中洲付近や浅瀬が凍ってしまい、川の流れに対する抵抗が増大したタイミングで全体がめくれるようにはがされて流されて来ることがある。他には、雪が大量に降ると川の表面が雪を融かしきれなくて水自体が徐々に凍ってしまい、流氷のような形の蓮氷のようなものが流されて来ることもある。
では、最下流つまり河口付近だとどうなっているのかと言うと、冷され続けた河の水もそろそろ全体が0℃以下になっており、流れも緩やかになる。そう、凍るのである。河口付近で河が凍るとどうなるか?河が途中でせき止められてしまい上流で大洪水が発生して毎年大変な騒ぎになり全国ニュースで連日報道される。
河口に架かる大きな橋 |
大きな橋の上から見た海と凍りつく河口 |
と言うのはもちろん嘘だけど、河口が凍っているのは本当だよん。ちなみに、シベリアにある大河で北極海に注ぐもの(つまり南から北へ流れる河)は、春になると緯度の低い温暖な上流から順に氷が融けて行くので、そのタイミングによっては結氷中の中流域で上流からの水が行き場を失い大洪水が起きることがある。レンスクという町はその洪水で2001年に壊滅状態になったらしい。河の規模が大きくなれば想像を絶する現象が起きるのである。日本にはこの条件が揃う河川が無いと思う。
このように河口付近では、風による冷却、降雪による水面温度低下、水の運動エネルギーの減少、放射冷却効果の増大など、様々な要因によって凍ってしまうのである。ただし、凍っているように見える河も凍っているのはその表面だけであり、氷の下では膨大な量の水が静かに流れているのである。表面が氷で覆われてしまうと、外気と水の接触が無くなり冷却が進まず通常はこれ以上凍ることは無い。
さて、ここで問題です、この先の海は凍っていません、河口は全体が氷で覆われています、ではその境目はどうなっているのでしょうか?
つづく…。