2018年11月12日

夕日が2つ

11月に入っても、例年ほど冷え込む日が無くいまだに降雪も無い。最高気温に至っては15〜17℃という日さえある。まあ寒いより暖かい方が良いのだが、なんだかしっくり来ない天候が続いているのである。

そんなある日、軽装でロプノールの散歩へ出かけたのだが、ふと西の空を見ると裏山に夕日が沈むところであった。今日も良い天気だったなと思いながら夕日を眺めていたら、何か不自然な感じがするのである。

えっ?夕日が2つある……、???


山の稜線に沈む2つの夕日?

夕日は左側だけか…
良く見ると夕日自体は当たり前だが一つだけなのだが、その右側には夕日に負けないくらい輝くモノがあったのである。最初は雲に夕日が反射しているのかと思ったが、良く見るとなんと降雨中の空間に夕日が差し込んで反射していたのである。

こんな感じかな
身も蓋もない言い方をすると、これは単なる光散乱による物理現象である。

厳密に言えば(厳密に言う必要があるかどうかは知らんが)、大気中に漂う粒子の直径をdとすれば、それが液状の浮遊体であればその形が球で近似出来るので円周率πをかけて、入射する散乱光の波長λで割れば、α=π・d/λで示されるように、その値αが十分小さければレイリー散乱、ざっと1に近ければミー散乱に分類されるという、学生の頃に習ったことを思い出しながら見物していたのであった。

高校の物理で扱うような説明だとチンダル現象もその一種である(だからどうした…)。

もっと身近なところで言うと、森の中の朝モヤに木漏れ日が射して光の筋のようなものが見えるアレと同じ現象である。さらに、雲間から陽光が差し込んで空から地面まで光の筋が見えるアレとも同じ現象である。

ということで、裏山に降っている雨粒には大きさ数μm程度の霧状の雨粒が含まれていることが判明したのである。あー、すっきり。

ちなみに、雨粒がこれより大きいとこの現象は見られないのである。逆にこれより小さい場合はレイリー散乱となってしまい、また違った見え方になるかと思ったが、雨粒はそんなに小さくなれないのでやっぱり無理か…。

その反対側には虹が出てたよ
結局、このミー散乱による夕日が2つに見える現象は、5分程で消えたのである。けっこう際どいタイミングでこの素敵な現象に遭遇したようである。そしてその光が後方の空で再度反射して、なんと虹まで見せてくれたのである。なんだかとても嬉しくなってしまった。

と感慨深げに見ていたのだが、その雨雲が凄い勢いで私に近付いて来て、あっという間に雨を降らせたのであった。散歩が始まったばかりなのでまだウンコをしていないロプノールと慌てて家に戻ったのだが、結構濡れてしまいました。トホホ。