今朝、散歩へ行こうとしたらロプノールが急に庭の西端の方へ向かって吠えだしたのである。
以前も猫やキツネが来たり、大きな物だとエゾジカが来たりした時も同様に吠えていたので、きっと何かの動物でも来たのだろうと呑気に構えていた。あまりにも執拗に吠えるので、なんか嫌な予感がしながらも庭の端へ行ってみると、そこに見えたものは大きな動く物体であった。
十数頭の大きな動物が一斉にこちらを見ながらゆっくり近付いてくるではないか!
一瞬、何だか良くわからなかったが、良く見るとそれは100m先からこちらを見ている牛達であった。
牛そのものは見慣れてはいるが、そこは普通の畑であり放牧地では無いのである。そんなところに牛がいる訳がないので驚いたのである。ひょっとして急遽放牧地にでも変更したのかとも思ったが、周囲に柵らしきものは見当たらないし、少なくとも昨日の時点では工事などは行われていなかったのである。
謎の牛たちは我が家の手前で進路を南に変えて、群れでゆっくり畑から畑へと移動して行ったのである。
周囲には人の姿も、運搬車らしきものも見当たらない……。どこから来た牛なんだろう?何故そこにいるのだろう?何をしているんだろう?
そのまま私とロプノールは牛達と平行する道路を歩いて散歩へ出かけ、同じ方向に動いている牛達と200m程距離を保ったまま、1Kmほど一緒に移動していた。
面白そうなので、十字路を右折して牛のいる方へと進んでいると、前方から慌てた様子で2台の4WDバギー車に乗った作業員らしき人が前方から血相を変えてやって来た。どうやらこの牛達はどこかから脱走してこの畑に入り込んだというのが真相みたい。
結局、ものの10分程で2台のバギー車が牛をまとめて畑から追い出し、車道へと追いやったのである。その後、どうやって連れて帰るんだろうかと心配になっていたが、牛も慣れたもので路上で待機していた軽トラに先導され、後方から追うバギーに挟まれるようにして車道をゆっくり歩いていた。ハーメルン…?
この牛達は、この先にある公共肥育牧場からやって来たようで、ここまで3Km近くもの道のりを観光客の車と接触することも無く、のんびり脱走劇を楽しんで来たみたいである。そこで道路脇の牧草畑を見つけて侵入して道草を食っていたということだな。モグモグ食ってたぞ。
ちなみにこのバギー車は4WDで悪路もへっちゃらな大排気量車で広大な牧場では大活躍なのだが、実は公道走行が認められていない車両である。ウインカーも無いし、もちろんナンバープレートも無い。当然、保険も未加入だし安全装置もついていない。こんな車で3Km先から堂々と公道を通ってやって来たのか…。