準備に1年以上かかったが、壁作りまであと一歩というところまでこぎ着けた。謎の機械を手に入れてから修理も出来ずに放置していたのだが、この古い機械をメンテナンスできる人を探し回った挙げ句やっと見付けることが出来た。
この機械は相当古く、もはや誰も使わなくなってから30年近く経過している。殆どは破棄されたり、放置されたまま不動品になって倉庫に眠っているので、一般の人が目にすることは恐らく無いと思われる。そんな状態なので修理をする人もいなくなって久しいらしい。今回、修理依頼を受けてくれた人も「もう二十数年前に見たのが最後だったかなぁ」と言っていた。
|
修理のプロ |
修理に先立ってとりあえず掃除をしたのだが、構造が良く分からないせいであまり綺麗にはならなくて、修理に来た人は掃除から始めてくれた。申し訳ない。
|
大量のゴミを取って現れた歯車 |
カバーを外し、複雑な歯車のついた部分を見ると、錆びや埃がすごいことになっていたが、破損そのものが無く無事に動くことが確認されて一安心。トワイン(紐)を取り付け、手で動作させてみると、ものの見事に結び目が出来て適当な長さに切られて出て来た。各部の名前が「ビルクリップ(クチバシ状の留め具)」、「トワイン」、「テンショナー」等のように外来語のままのものが多く、この機械の歴史の浅さを現していて面白かった。
各部がサビサビなので清掃後グリスアップを施そうとしたが、この手の機械のグリスアップ方法が分からない。プロに聞いてみるとグリスポイントという小さなネジのような部分にグリスガンを押し当てて注入するのだと教えてくれた。このグリスポイントというのが小さくて目立たず、ましてやこんな埃まみれの状態だとその存在そのものに気が付かなかった。
|
グリスを注入するガン |
ホームセンターで適当に購入したグリスガンだったが、幸いなことにポイントの大きさにぴったりでそのまま使うことが出来た。私はこの先端から出て来るグリス(
粘性の高い潤滑油)が出て来るので、歯ブラシに歯磨き粉をつけるようにそのまま歯車になすりつけるだけだと思っていたが、この先端はパッキンがついておりグリスポイントの突出部に押し当てて密着させた上で高い圧力をかけて注入するのだと教えてもらった。ということで、この先端部の大きさは非常に重要だったということだ。適当に買って来た器具がちゃんと使えた数少ない例だな…。
|
清掃後(変化なし?) |
|
固着部に潤滑材を吹き付ける |
とりあえず最小限の動作が確認されたので、ワイヤーブラシを使って細部の老廃物を撤去し、全稼働部へグリスの注入とチェーンや擦れる部分に潤滑材を塗り綺麗に仕上げて、再度調整を依頼することになる。
調整がうまくいけば、後は体力勝負の作業が待ち受けている。全部で6トン、6000キログラム、6000000グラムだ。め、めまいが…。