2012年5月23日

家を捨てる

地味で体力を消耗する解体作業を昨年よりずっと続けていた。壁を壊し、天井を取り去り、床をめくり、柱を切り倒す。発生した残骸をゲンヤー号に乗せて200Kg〜300Kgづつ廃棄物処理場へ運び入れていた。
最初の頃は単にゴミを処分場へ持って行っているだけだと思っていたが、途中から家を細切れにして運んでいるような気になって来た。何回にも分けて家を捨てに8Km離れた場所までせっせと運んでいたのかも知れない。そっか、私は一生懸命に家を捨てていたのか…。

最初に壁に穴を開けたのは2010年の秋だった。突然思い立ってリフォームをすることにしたのだが、解体方法を知っている訳でも無く途方に暮れただけだった。床や天井に至っては、どこからどうやって手をつければ良いのかさえ分からず、家の中の数枚の壁に穴を開けただけで終った2010年であった。解体(と呼べるかどうか…)にかけた時間は全部で1時間程度か?

翌年は解体方法を調べることから始め、小屋を建てて家の構造を勉強した。お蔭で、どうやって家が建っているのかが理解出来たため、解体作業をちゃんと始めることが出来た。ただ、体力の問題もあるが、丁寧な大工仕事による建造物を解体するのは至難の技であった。隠し釘という表面から見えない釘で固定された部分は、解体というより破壊という手法を使わなければ太刀打ち出来ず、組木のように順序良く組み込まれた木材は、その順番を知る術も無い私はこれもまた力任せに破壊するしか無かったのである。結局、6月から始めた解体も9月には諦めてしまった。

いくら解体しても、後から後から出て来る家の部材には閉口してしまった。小屋とは全然違う複雑さであった。断熱、通気、耐久性などを考慮してプロが作ったものであるので、当然と言えば当然なんだけど、先の見えない無限に続く作業のような気がして途方に暮れたのであった。セルフビルドの家造りをしているつもりでも、毎日行っている作業はただの解体作業である。つくるどころか壊す作業である。その創造性の無さといい、ビルドとは逆の方向へ進んで行く毎日は精神的に辛かったのであろう、秋には気力が無くなりそのまま冬を迎えてしまった。解体にかけた時間は、のべ4週間程度しかなかったと思う。

今年は何かふっ切れたような感じで、昨年までのことはすっかり忘れて残りの解体作業を始めた。なんだかんだと言いながら、昨年で大半の解体が終っていたので残された作業は大した量では無かった。妙に入り組んでいて解体を諦めていた部分や、複雑過ぎて構造が分からず手が出せなかった部分も、今年は何故かすんなり作業が進んだ。ひょっとして解体作業の腕が上がったのか?

最後の運搬
本日、2回の運搬を行い合計520Kgを処分場へ運び込み、家を捨てる作業は第一段階を終了した。全部で5トン程の量であった。こうして春の冷涼な季節の内に一応解体作業は終了した。わ〜い!

解体作業も大変だったが、3年越しの苦行になっている草刈りの大変さは続いている。苅っても苅っても生えてくるたくましい生命力としつこさには閉口してしまう。

一週間前に刈ったが

あっと言う間に復活、増殖、開花
一週間も放置すれば、何事もなかったかのように復活している。これが秋まで続くのである。
最初の年は、砂利を購入して庭に撒いたがその砂利の間からも雑草はたくましく生えて来て、最後には残りの砂利の山そのものにすら生えて来たのである。どんな生命力なんだ…。

アスパラ
行者ニンニク
チューリップ
桜?
 雑草も凄いが、有用な植物もたくましいのである。水も肥料もやらず、耕したり雑草取りもしない完全放置状態なんだが、毎年ちゃんと開花し収穫出来るのである。先日、めちゃくちゃにしてしまった庭木も何事もなかったかのようにちゃんと開花していた。

さらに敷地の奥にある、隣の畑と接してい20m四方の雑草エリアであるが、隣の農家のご厚意で耕してもらえた。
境界の地杭と隣家の畑、隣家がはるか向こうに見える
あのしつこい雑草も大型機械の前では全く無力であり、あっと言う間に後片も無く消え去ったのである。このパワーを見ていると、敷地内全てを耕して欲しいと思う程である。

20m四方の土地って400平方メートル、坪数で言えば100坪を越えている。この広さの土地が都会にあれば結構な大きさだな…。ただ、こちらでは周りの土地が極端に広いので、100坪程度は全く大きく見えない。もっとも、こちらでは土地の大きさは「」や「平方メートル」ではなく「ヘクタール」か「町歩」で表す。隣の家も、上記の写真のようにはるか向こうにしか見えないのである。

400平方メートルもの広大な面積を耕してもらうのは申し訳無いと思っていたが、上記のような広大な畑を耕している農家から見れば、たったの400平方メートルを耕すのは小さすぎてとても面倒な作業のようである。そもそもスケールが違うのである。

さて、雑草が生えて来る前に何かを植えよう!