2012年7月18日

藁の恵み

藁の塊を作っている時、やたらと小鳥がやって来るのが不思議だった。作業を始める頃になると、どこからともなくスズメのような小鳥達が飛来し、作業場所の周囲でピーピー鳴くのである。
時折、D型ハウスの中にまで飛んで来て、トラクターの騒音や私の姿に怯むこと無く辺りを飛び回っていた。私に何か用事でもあるかのような近付き方で、あまり警戒心の無い様子だ。家の近所でも至近距離まで鳥が飛んで来る事が度々あるので、ここの鳥達はそんなものだと思っていた。

ところが、その理由が判明したのである。私が鳥に人気がある訳でも無く、ましてや藁塊作成作業を応援している訳でも無かった。その理由とは、

何やら緑色のものが…
発芽
ロールは麦の茎部分(麦稈:ばっかん)をまとめてロール状にしたものだが、その中に混じって麦の穂先が付いたものも含まれている。小麦のハーベスタ(収穫用機械)はこの穂先から中の小麦粒だけを取り去り収穫作業を行っているが、時々収穫し損ねた粒が混じっていることがある。

小麦粒が含まれる割合はかなり低いが、藁の量があまりにも多いので、その結果かなりの量の小麦が地面に落ちているようである。思いがけず種撒き状態となり、作業場所の至る所で小麦が発芽していた。

小鳥達は、この小麦粒を狙って飛び回っていたのであった。私が現れると、地面に小麦粒が撒かれるということを学習していたと言うことだ。なかなか賢い鳥達である。牧草の刈り取り作業場に追いたてられたウサギを狙って猛禽類が集まるのと同じだ。学習効果と言うか適応力の高さと言うか、凄まじい生存競争である。
ゲンヤー号に乗る藁塊
小麦の粒をせっせと漁る小鳥達を後目に、せっせと藁の塊を現場に運び入れる私であった。なんだか似たような行動だな。