2014年7月11日

Lop-Nur (5)


僕は時々ゲンヤー号というかっこいい車に乗せられて、遠くへ連れて行かれるんだ。動物病院という所らしいんだが、ここで何をしているかさっぱり分からない。みんな愛想が良くて頭を撫でてくれるんだが、食事をくれる訳でも無いし、僕と遊んでくれる訳でも無い。


ゲンヤー号の指定席

何をするんだ!
背中に何かしているのは、ワクチン接種や狂犬病予防注射とか言うらしいが、痛いだけでつまらん。おまけにお尻の中に体温計とやらを黙って突き刺しやがる。ここは楽しいことなんか何も無いから、あんまり好きな場所ではないぞ。

4月25日に戻って来たペモペモ

この家には僕と飼い主2人以外に、どうやらもうひとり住人がいるみたいだ。飼い主はペモペモと呼んでいるので、きっとそれが名前だと思う。ただ、こいつは空を飛ぶので一緒に遊べない。いつも木の上でピーピー鳴いている。他の鳥は僕が近寄ると逃げるけど、このペモペモだけは木の上で涼しい顔をしている。あいつも「お手」とか「お座り」とかできるんだろうか?



Lop-Nur (4)

夜は家の中に入れられるけど、明るい時間帯は庭で遊ぶのが僕の日課。
クリスマスツリーの下で
この場所が僕のお気に入りで、走り回ったりおもちゃを埋めたり、穴を掘ったりして毎日遊んでいる。日差しの強い日や小雨の時はちょうど良い傘の代わりになるんだ。そしてここからだと正面が家のリビングルームで中の様子が良く分かるんだ。僕は、飼い主がちゃんとご飯を食べているか、遊んでばかりいないかをしっかり監視している。この飼い主は二人とも家を作っていると公言しているようだが、僕が見ている限りただの一度も家作りをしていない。どうなっているんだろう?

きっと、家を作る技術は無いんじゃないかな。だって僕の家も全然作る気配が無いんだもん。まあ、僕にはこのクリスマスツリーがあるし、夜は玄関の中にある家に入って寝るから大丈夫なんだけどね。

早く家を作らんかい!

Lop-Nur (3)


雪も無くなって春がやって来た。ようやく周囲の様子が分かって来た。どうやら家の周りは牧草地帯でやけに広い所だ。おまけに小川もあって、探検するにはちょうど良い感じ。

東京ドーム3個分の広さと言われても…

生まれて初めての川

飼い主はここでリードを外して遊んでくれる。僕はまだ小さいので、どれだけ一生懸命に走っても走っても走っても、いつまで走っても飼い主が見えている。この緑色の地面はどこまで続いているんだろう?

走ったり転んだり吠えたりお手をしたりと忙しい僕。そして喉が渇くと小川に下りて行って冷たい水をたっぷり飲むんだ。おいしい。

お手を覚えました

Lop-Nur (2)


この家に来た時には、外気温が低く雪があってとても快適な所だと思った。僕は体中がモコモコの長毛で覆われているので寒さが大好きだからだ。


雪の中を転がるのが大好きさ!
でも、僕の飼い主は寒いと可哀想だと思っているようで、冬の間ずっと家の中で住むようにと言って、玄関全部を僕の部屋にしてくれた。おまけに、辺り一面ワラを敷いてくれたので、僕はまるで牛のような生活になってしまった。

僕は牛なのか?
 ここは何だかともても変な家で、まだ完成していないのではないだろうかと疑問に感じるんだが、可哀想だから気付かないふりをしていた。先日、壁にいたずらをしてみたら、中からワラが飛び出して来てびっくりした。この飼い主はどんだけワラが好きなんだ…。

玄関には人感センサー付の照明があって、僕が走り回ると明るくなるんだ。飼い主が夜に出かけて帰って来る時に、ちょっとしたサービスのつもりで電気を点けてあげるんだ。そうすると飼い主は「あ、Lop-Nurがまだ起きているみたい!」と言って喜んでいる。単純な奴らである。

そういえば、前回壁を壊した時に何か変な機械を取り付けられたんだった。

HDカメラ
 とてもいい加減に取り付けられたその機械は、どうやら僕を撮影しているようだ。なぜそれが分かるかというと、いつもは靴とかスリッパ、箱なんかをボロボロにしても全然気が付いていなかったのに、最近は靴を噛んだだけで飼い主が現れるからだ。ふん、勝手に撮影しないで欲しいな。

監視用コンピュータ

僕はカメラだと気付いているぜ!
僕がこんな感じで機械を睨み付けると、飼い主はそれを見ているようだ。

パソコン画面の左隅に常に表示されている

タブレットでも同時に見られる
飼い主は僕を監視するためにこの機械を取り付けたつもりだろうが、僕が何かをする度に飼い主がやって来るので、僕にとっては飼い主を呼び出す呼び鈴のようなものだな…。