2016年12月23日

家作り再開(6)

逆の逆はダメという話。

その水道管の適合ネジを調べていたのは4年前であり、それに合わせて給湯ボイラーやユニットバスなどの購入を始めていた。そして、それぞれを接続する金具(継手)も購入していたのである。

その後、家作りは遅々として進まず、特にここ1、2年は中断されたままであった。当然のようにあの面倒な水道管の規格など、忘却の彼方であった。購入した部材を久しぶりに見たときは、何がなんだか分からなかった程である。

この9月中旬から突如再開された家作りだが、この水道管作業も当然のように開始されたのである。排水の配管に関しては、数年前に綿密に計算した記録が残っており、記憶が風化しておりまるで他人が作ってくれた設計図のようであったが、数mm単位で経路、接合部、それぞれの長さや取り合いが書かれてあったので順調に進めることが出来た。

水道に関しても、それぞれのネジがどこに接続されるかも記録されていたので、現物を合わせながらこちらも作業は順調に進んだのであった。そして全ての接続が完了し、水が問題なく供給されたのを確認して給湯ボイラーの試運転を開始したのである。ところが、前回書いたように接続に問題が無さそうなのに水は出るけどお湯が出ないというトラブルに見舞われてしまったのであった。

理不尽な接合部
長い調査の結果、この部分に問題があることが分かったのである。この部材は「止水栓付き逆流防止弁」とか「止水栓付き逆止弁」という名前である。この部材も色々種類があったが、嫌な予感がしたのでちょっと高かったがメーカー純正の物を購入したのである、4年前に。

この部材は、上の写真の白いハンドルの付いた銀色の部分である。その上の金色は架橋ポリエチレン管との接合アダプタ、下の銅色部分は給湯ボイラーの接続部である。おお、金銀銅…、さすがオリンピックイヤー。

給湯ボイラーから出ている接合部はRネジである。そう、テーパー型の外ネジである。そして問題の逆止弁は一方がRcネジ、他方がGネジの外ネジである。なぜ両端で規格の異なるネジが使われているのか定かでは無いが、ボイラーの施工説明書を読んでもここに接続するように書かれているし、私がここで異議を唱えても何の意味も無い。そして、それに合わせるため、逆止弁の後端に合うGネジの内ネジタイプの架橋ポリエチレン管アダプタを購入していた。

そして、この逆止弁を上図のように接続すると、何の問題も違和感も無くぴったり接続することが出来たのである。この接続に問題があるとは全く予期していなかったのである。

そう、お湯が出なかった原因は、この逆止弁の取り付け方が間違っていたのである。

え?

平行とテーパーが混在する中、内ネジ外ネジを見事に組み合わせて接続出来たこの取り付け方が間違っていたなど想像もしなかったのである。しかし、見落としていた問題がひとつあったのである。それは水流である。

上部の青いパイプから水がやって来る。逆止弁を通り、ボイラーへ供給されるというのが水の流れである。この写真だと上から下へである。ところが、逆止弁の側面に矢印が書かれてあって、それは下から上へ「↑」と示されてあった。

逆じゃん。

矢印にあわせて取り付けようとするとGネジとRネジが逆になって、そもそも取り付けが出来ない。かと言ってそのままでは矢印が逆である。試しに逆止弁を外して空気を送ってみると、見事に矢印の方向だけの一方通行であった。

?????

考えた末に出した結論は、「逆止弁には2つのタイプがあって、矢印の方向だけが逆になっているものがある」であった。メーカー純正の物を買ったと信じていたが、良く見るとこの部材には型番の刻印が無く、購入したのが4年前ということもあって、きっと純正品を買おうとして違うものを買ったのだと結論したのであった。

早速、40Km離れた大型ホームセンターに出向いて逆止弁を探したが、何件か回ってやっと一つ見つけることが出来ただけであった。それも矢印が手持ちの物と同じ向きのものであり、何の解決にもならないものであった。係の人に説明し、取引業者にも問い合わせてもらったが、水流だけが逆の逆止弁は無いということであった。

仕方が無いので、今渡こそメーカー純正品を買うことにしたのである。ところが、取扱いが無いだの、取り寄せに数週間かかるだの、一筋縄では行かなかったのである。細かい事は省略するが、そんな紆余曲折を経て、思いっきり時間を浪費したのち、やっと入手したその純正部品は…、

手元にある部品と全く同一のものであった…。

が~ん!同じじゃん。矢印もきっちり逆のままだ。まったく時間を浪費した上に、使えない逆止弁が1つ増えただけという結果…。

そこで色々な施工業者に問い合わせをしてもらって調べた結果、得られた結論は2つ、ひとつは逆止弁をつけない施工をする業者が「無くても大丈夫」というもので、ふたつ目は「それぞれ変換アダプタをつけて何とか取り付ける」というものであった。

なんかしっくり来ない解決方法だなと納得行かない私だったが、既に架橋ポリエチレン管とG外ネジの継手を接続してしまっているのでもう変更は出来ない。両端にアダプタを挟んで取り付けるしか無かったのである。

冗長さ満点のアダプタ
変換の変換の変換を変換するもの達
 左がRc外ネジをG内ネジに変換するアダプタ、右がR内ネジをG外ネジに変換するアダプタ。もう書いてるだけで何がなんだか分からなくなって来るが、なんとか目的を達成出来そうな物体を入手したのである。


G内ネジ(金色)をR外ネジ(銀色)に変換したところ

Rネジなのでシール材(白い物体)が必要になった

反対向きにつけた逆止弁
ボイラーのR外ネジをG内ネジに変換
完成?

結局、「給湯ボイラー」→「R外ネジ」→「R外ネジ・G内ネジ変換アダプタ」→「G外ネジ側逆止弁」→「Rc内ネジ側逆止弁」→「R外ネジ・G外ネジ変換アダプタ」→「G内ネジ継手」→「架橋ポリエチレン管」という、お前はピタゴラスイッチかよと思うような、ぶっさいく極まりない辻褄合わせと大人の事情をダブルで体現したような物体に仕上がったのである。

こっちの方が自然に見えるけどな…
 何かが間違っているような気がするが、とにかく止水栓付き逆流防止弁は当初の反対向きに付けることが出来たのである。

エア抜きモードで試運転中

結局、逆止弁を取り付けるのに要した時間は30分程度、対してそこに辿り着くまで浪費した時間は20日間、10月も終わりに近付き冬の到来前にようやくボイラーからもお湯がたっぷり出て来たのであった。

それにしても、逆流防止装置を逆に付けるという、逆の逆はダメという貴重でも何でも無い経験であった。