2016年12月29日

家作り再開(8)

つかみ所の無い話。

歪んだ壁も何とか矯正出来て組立て作業を再開出来た。しかし、パネル類が大きく重い、さらにこれを立てかけながら順番通りに組み立てなければならないのである。組立て順序を無視すると、あとで辻褄の合わない箇所が必ず生じる仕組みになっている。

通常、プロは2人で作業を行いとても手際良く組み立てていくのだが、これを素人がそれも一人で行うと困難に直面するのである。パネルは隣のパネルとフレームを介して接合される、つまり次のパネルを準備しながら組立て作業を行わなければならないのである。

もうコントの世界である。パネルを立てて、すかさず次のパネルを立てる。フレームに挟み込んでいる間にパネルが外れて倒れてくる。左手で左のパネルを押さえ、右のパネルを足で押さえ、右手でフレームを持ち、その両方を手際良く接合…、できない。なんとか2枚のパネルを接合し、3枚目のパネルを持っていると後ろから突然1枚目のパネルが倒れかけて私の後頭部を直撃するのである。途方もない脱力感。

周囲の壁や柱にアンカーを打ち込み、パネルを紐で仮止めしながら作業を行うことにした。もうユニットバスを組み立てているのか、ヒモだらけの操り人形を作っているのか分からない状態である。それでも何とかパネルを組み上げ、やれやれと思って出来上がりを見ると…、ヒモをつけたままパネルと一緒に組み立てていた…。再びパネルを外し、ヒモを外し、パネルを組立て、と同じような作業を無駄に繰り返すこと4回…。


2枚のパネルと床の接合
接合用パッキンで漏水対策
4面と床が接合出来れば、あとはそれほど難しい所は無いはずであった。そう、全てが正確に組み立てられていれば、残りの部材は開いている隙間にスッポリとはまるはずである。しかし、素人工法はどうしてもズレが生じほんのちょっとのことで入らないのである。叩いて入るものもあれば、パネルの接合を緩めて調整しなければならないものもある。

それでも何とか壁と天井を組み上げたのである。そして残るはドアユニットである。これはドアと枠、そして取り付けフレームが既に一体となっており、組み上がったユニットバスにはめ込めば、後はネジ止めして完成である。しかし、ここでもギリギリ入らなかったり、力ずくで入れても何だか歪んでいるような感じなのである。うまくいかない最大の理由は、やはり一人で作業しているので、ドアを持ち上げた状態で左右と前後のバランスを取りながら固定するのが容易では無いからである。

ずれてしまっては、お湯がかかったときにドアから外へ水漏れしてしまうので、やはりきっちり組み上げる必要がある。外からしかはめ込むことが出来ないのだが、中からもバランスを確認しながらの作業が必要になるという、ちょっと面倒な作業である。外からはめて、ドアの隙間から中へ入り、ドア枠の縁を持って引っ張るようにすると、何度かトライしたのちやっと正しい位置にはまってくれたのである。半開きのドアから素早く外に出て固定ビスでドアを取り付けることに成功した。これでドアは完成である。

さっそく中へ入って内側から最後の確認を行う。左右良し、上下良し、隙間無し、うまく行ったようである。ドアもぴったり閉まって隙間もガタつきも無い。

非常に満足した私はその次の作業へ移るべく外へ出ようとした。しかし、出られないでのある…。

それは、内側からだと引き戸になるこのドアに取っ手を付けていなかったのである。 また、このドアは出っ張り部分がほとんど無くツルツルしているのである。ドアの小さな段差部分を指の先でつまんでみても、ドアを開けるだけの力が加えられないのである。

凹凸のほとんど無いドア内側
最初は「あれっ?」と思った程度だったが、何度繰り返してもドアを開けられず、次第にあせり始めたのである。一人で作業をしているということは、助けを呼んでも誰もいないということである。何とか自力でここから出ないと永久にユニットバスの住人である。上を見上げると天井には開口部があり、人が出入り出来る大きさではあるが、天井まで2m以上あるので届かないのである。第一、天井には体重を支えるだけの強度は無いので、そもそも無理である。ドアを蹴破ろうかとも考えたが、ここまで苦労して取り付けたドアを破壊するのは嫌だ。

それからしばらく、爪の先でドアの凹部を少しづつ引っ張ったりドアの折部に指を入れたりしながら格闘していた。掴む所さえあれば何の苦労もなくドアを開けられるのに、つかむところが無い、つかみ所が無い…。

脱出後、最優先で取っ手を取り付けた!

それから数分、内側のロック部分を両手の爪の先で掴み、何とかドアを開けることが出来たのである。脱出後、急いで取っ手を取り付け、次の作業へと進んで行ったのである。