2018年2月27日

除雪壁

ここは札幌や旭川に比べると降雪量は大したことが無いが、極寒地なので降った雪がそのまま地面に残っており、また雪質はサラサラの所謂パウダースノーである。そして我が家の周囲は360度牧草地に囲まれている。

この状態で風が吹くと、畑の上に乗っかっているだけのパウダースノー達がすごい勢いで畑を駆け抜け、そして我が家の敷地に吹き溜まるのである。 


敷地内、途中から先が見えない
我が家の玄関は、町道から入って敷地内を124m進んだ所にある。私有地なので本来であれば自力でこの距離を除雪しなければならないのだが、この町は何故か敷地に入って来て玄関前まで除雪してくれるのである。おかげで我が家の除雪は、ものの数分あればスコップひとつで完了する。もう感謝感謝です。

しかしである、その除雪してくれるのはとても大きい除雪車なのである。


6輪駆動
玄関前まで除雪してくれる

ぐおんグオンと音を立ててすごい勢いで除雪してくれるのである。もはや人力の及ぶ所では無い。

人力で除雪を試みると遭難する

 この巨大除雪車は街中では滅多に見かけないけど、国道の峠や幹線道路で見かける大型車である。

そっか、我が家は山間部の国道並みなのか…。

 毎冬お目にかかるし、私には馴染みの除雪車であるがその名前が分からなかったのである。その後、調べてみると、全長11m86cm、全幅3m10cmという巨大な除雪車で、その名を「クオン」というらしい。そっか、名は体を表していたのか…。

 先日、夕方まで結構吹雪いていたのでロプノールの散歩をどうしようか迷っていたら、薄暗くなりかけた頃に除雪車が来てくれた。しかしである、何か様子がいつもと違ったのである。普段なら町道からグオングオンと頼もしい音を立てて、124mを除雪しながらそのまま一気に玄関先まで進んで来るのだが、この日は違った。敷地の入り口から60m程の所まで何度も往復していたのであった。

家の中から外の様子をうかがうと、すごい勢いで盛り上がる雪の山と、姿は見えないけど除雪車の作業音だけが鳴り響いていた。

もちろん、私には何も出来ずただ単に眺めていたのであった。その作業は20分程続いたあと、突然音が聞こえなくなった。そして暫くして見えたのは、町へ引き返して行く除雪車の姿であった。

ええっ???

一体どうしたんだろうと思いながら外に出て見えたものは、巨大な雪山で塞がれた我が家の敷地であった。
道が塞がれている?
我が家の敷地内の道路に標高2mの大きな雪山が出現していた。
え?完全に道が塞がれているではないか?

道が塞がっているよね?

ロプノール、飛び越えろ!
ボ、ボクには無理です
 高さが2m、幅が7m、何とかなるかなと思って雪山の奥を見ると、この壁面から向こう側に奥行き20m程もある雪山だったのである。おまけに除雪車で押しやって来た雪なので非常に柔らかく、乗り越えるのは無理であった。流石の大型除雪車も、この雪の量では除雪しきれなかったようである。 

 さて困った、車どころか徒歩でも抜けられそうに無い。地味に軟禁状態である。

万一、何かが起こっても救急車もパトカーもやって来れないよな…。今のうちに避難しておくしか無いのか?でも、どこへ?そもそも、どうやって?

そうこうしている内に、別のタイプの除雪車がこちらに向かって来るのが見えた。 どうやら先の除雪車のオペレータが町へ引き返して別の除雪車に乗り換えて戻って来てくれたようであった。今度の除雪車は大きさは先程のとあまり変わらないが、先端部分が雪を押すタイプでは無く、いわゆるブルドーザーのような巨大ショベルをつけた除雪車であった。


玄関モニタの向こうで頑張る除雪車
この除雪車もすんなりとは行かなかったが、それでも徐々に雪山を崩して行った。既に外は暗くなっており、その暗闇の中を除雪車は黙々と作業をしていた。そして25分後、あの巨大雪山はついにその姿を消していた。どうもありがとうございます!

そして除雪車は黙って来た道を静かに帰って行った。

なんかかっこ良いな!