2012年5月29日

修理の修理が終了

謎の大型機械を修理している最中に、頑張りすぎて部品を破壊してしまうという新たな故障を招いて途方に暮れていたが、本日やっと修理の修理が終了した。これで本来の修理作業に入ることが出来る。
思えば4月下旬、錆びついて固着してしまったある可動部分を修理していた。軸を中心に回転するはずの部品がびくともしなかったのである。そこへ錆び取り潤滑スプレーを大量に吹き付け、ハンマーで叩きながら作業していたのだが力余って破壊してしまったのである。
錆びついてドロドロの可動部分
それを叩き割ってしまった

その後、回転さえしなかった部品を分解して外すというさらに難度が高い作業を強いられ、この1ヵ月の間頑張って作業していたのである。
折れる前の状態。錆びだらけ
この部分を分解する羽目に…
毎日、この部分に潤滑剤を振りかけて叩いたり捻ったりしていた。日に日に綺麗になって行く部品であったが、ある日やっと動くようになった。部品が折れていなければこれで修理は完了なのだが、今はこの部品を外す作業をしなければならない。

この軸の端には、ストッパーとしての割りピンが付いていたが、これを抜こうとして根元近くで折ってしまうという新たな災難を呼び込みながら作業は続けられた。もう涙目である。ピンが非常に中途半端な長さで残ってしまい、このままだと例えボルトが緩んでもピンがつかえて穴から出て来ないという状況である。

仕方が無いので、ピンをヤスリで削り取ることにした。写真では分かり辛いが、ボルトの直径は1cm程度、割りピンはバネと下板に挟まれているのでヤスリを動かせる範囲は7mmである。往復7mmの距離を気が遠くなるような回数動かしてやっとピンが削り取れた。

チマチマ削る
ふざけた名前だが役に立つ奴

こんな地道な作業を繰り返しながら3週間が過ぎ、半ば諦め状態であった。原野の師匠と前回の修理のプロが異口同音にアドバイスしてくれたのは、このボルト部分をガスバーナーで焼いて固着を解消するというものであった。確かに理に適っている。

しかし、周りにはワラの塊が6トン、可燃性の潤滑剤、難燃性ではあるがたっぷりのグリス、それに加えて面倒な災難を呼び込む癖のある私が作業するのである。ガスバーナーを買ってから数日間は恐くて実行に移せなかった。

後日、意を決してバーナーで件の箇所を熱してみた。もうびびりまくりである。そんな及び腰では当然うまく行くはずも無く、ボルトが熱くなっただけでびくともしなかった。当然写真も撮れていない。

さらに数日が経過し、本日バーナーで思いっきり炙ってみた。バネを加熱しすぎると弾性が失われてバネでは無くなってしまうので注意しながらピンポイントでボルトと軸受けを加熱した。潤滑油やグリスが焦げ煙がモウモウと立ってかなり恐かったが、十分熱した直後にハンマーで叩くといつもと異なる手応えがあった。

前回のその手応えは部品の破壊される感触であったが、今回は奇跡的に固着部分だけが外れた感触であった。

期待を込めて引っ張る
う、動くぞ!
抜けた
抜けた跡

3週間格闘した固着ボルトであったが、ついに外すことが出来た。

ボルトと軸受けの関係
最初は、この軸受けとボルトが固着しており、爪が動かなかったのである。爪が折れる程叩いても動かなかった固着具合であった。

ボルトと爪の関係
さらに強力に固着していたのが、このボルトと爪の部分であった。これを解消しないとボルトを抜くことは出来ない。軸受けの固着と比較にならないくらいハードルの高い作業であった。

これに加えて、作業姿勢も苦戦を強いられていたのである。この部品がある場所は、手が届き難く足場が非常に悪い。
部品の位置と足場の関係
ここに乗って作業する

滑べりやすい、力が入らない、姿勢が苦しい
強力ガスバーナー
闘ってくれた道具達
こうして長い間闘っていたが、ついに抜けたのである。あまりにも嬉しかったので、そのまま外した部品を持って真っ先に修理のプロの工場へ飛んで行ったのであった。事務所でお茶を頂きながら、プロは機械の説明やらこの部品の説明を丁寧にしてくれた。そしてお茶を飲んでいる間に、そこの従業員が折れた爪を溶接してくれ、割りピンの穴を回復し、叩きすぎて歪んでしまったボルトを削って修正までしてくれた。仕事が早過ぎである。

新品の割りピンを付けてもらい、赤色で塗装までしてくれた。そして彼は私に部品を手渡す時に「まだ熱いですから気を付けて下さい」と言うのである。ピザやタコ焼きを買った時以外で言われたことの無いセリフだな…。


きれいに元通りになった
組み付け
こうして折れた爪が元通りになり、これで修理を再開できると言うものだ。そっか、ここからがスタートなのか…。ちょっと気が遠くなりそうだ。