2012年12月26日

エネルギー補給ツアー


日に日に寒くなり、家の建築作業は佳境に入るどころか先の見えない進捗具合にへき易し始め、モチベーションもこれ以上ない程下がっていた。昨日は電気工事を行ったのだが、電線を80cm程配線しただけで一日が終了してしまう始末。

こんな時はリフレッシュするに限るということで、原野の師匠のところへエネルギー補給ツアー(クリスマスパーティーとも言う)に行って来た。

雪道を走り
国道の真中で屯するエゾジカを
蹴散らし
先を急ぐ

到着してすぐに飲み始めたため、ちゃんとした写真が無いのでパーティーの様子はこちらから。

クリスマス色のテーブルには次から次へと料理と酒が

昼間に到着してから深夜まで飲んで食べておしゃべりして、時間はあっと言う間に過ぎて行った。

翌朝は師匠のお気に入りの露天風呂へ連れて行ってもらい、ー20℃近い気温の中を野趣に富む湯舟に浸かって完全にリフレッシュできました。

湖畔の露天風呂
温泉の湯気で出来た霧氷
湯の中には藻がたくさん
湯船の中の岩肌には緑色の藻がたくさん付着していて、マット状になって湯の表面に漂っているものもあった。風呂に入る時は単に邪魔な存在だけど、実はこいつらはすごい能力の持ち主なのである。

それは、DNAパターンを比較するときに試料が少ない場合はこれを増やさなければならないのだが、この温泉に漂っている藻(好熱菌 Thermus aquaticus)由来のTaqポリメレイス(日本語だとポリミラーゼ?)を使えば、爆発的にDNA断片を増やすことが出来るのである。研究所で使うときはさすがに温泉から藻を取ってくる訳では無く、鉛筆のキャップのような半透明のプラスティックの容器の中に入って市販されているものを使っていたけど、入っているDNA合成酵素はこの温泉の藻と同じものだ。

こいつを使えば、不器用な私でもキャップの中に試料を放り込んで高温環境と低温環境の中に交互に浸すだけであっと言う間に6万倍程度まで増幅出来たのである。調子に乗って増やしすぎて収拾が付かなくなったことも数え切れず…。

師匠と一緒に温泉に入ったり出たりしながら、そんなことを思い出していた。身体を熱いお湯と氷点下の外気と交互に晒して、DNAは増えなかったけど元気は爆発的に増幅されたのであった。

さて、明日からまた元気に家を作ろうっと!

2012年12月22日

霧氷


底冷えのする朝、一気に下がった気温のせいで空気中の水蒸気が樹木で凍結したらしく、辺り一面が霧氷だらけであった。前日とは景色が一変し、どこまでも白い世界が続いていた。

一面の霧氷
雪が降ると大きな枝などに積もって樹木の一部が白くなるけれど、霧氷の場合は樹木の全ての部分に氷結した霧がまとわり着くので、細すぎて雪が乗らないような小枝の先、幹や枝葉の裏側まで真っ白になり樹木全体が輝くような白になる。

上から下まで真っ白

雪とは全く異なる雰囲気
この日は快晴だったので、どの写真も空の青と霧氷の白ばかり。

どこまでも続く霧氷の世界

電柱の補強ワイヤーと霧氷
 霧氷は樹木だけでなく電線をも覆ってしまうが、ワイヤーなどの単純な構造のものは氷の成長がはっきり見えるので面白い。このワイヤーは、夏に成長したつる草の残骸に霧氷が着いていてとても生物っぽい様相を呈していた。


2012年12月8日

雪山救助隊


今年も雪の季節がやって来て、我が家の庭も一面の雪化粧である。もっとも日本海側の札幌や旭川に比べると積雪量は全然少なく、せいぜい10cm〜20cm程度である。

12月に入り、そろそろ本格的に根雪(積もった雪が融けない状態)になるかなと思っていたら、季節外れの大雨が降ったのである。おかげで雪が半分融けた状態となり路面がビショビショになってしまったのである。

これが後日の悲劇を招くとは…。

庭の雪の上に降った雨と路面の凍結
敷地の入口付近も半融雪状態
その後、ちょっとまとまった雪が降りその次の日は快晴であったので、元気に現場へ向かったのであった。現場に到着すると、敷地の入口はそれなりの積雪状態であったが、町が私有地にもかかわらず除雪してくれていたので、いつものようにそのまま敷地内に入って行ったのである。

ただ、この日はちょっと状況が異なっていた。先日の雨のせいで路面が完全なアイスバーンになっていた上に雪が積もったのである。おまけに進入路は緩い登り坂である。そう、ツルツルな状態でスタッドレスタイヤもグリップしきれずに、入口から60m進んだところでスタックしてしまったのである。

除雪後の道の真中でスタックした車
昨年は隣家のトラクターに助けてもらったが、今年は4WD車が敷地内に置いてあるので特に慌てもせずに自力で引っ張りあげるつもりであった。しかし、この雪onアイスバーンの威力はすざましく、4WD車のタイヤも悲鳴を上げながらスリップしてどうにもならなかったのである。

悪い事は重なるもので、この状態で地吹雪になってしまったのである。もう視界は1m程度で何も見えない。しかし、ここは道の真中ではあるが自分の敷地内なので誰にも迷惑はかけない。そんな安心感から救出を一旦中止して車をこのままにして家に入ったのであった。

敷地内で待機するゲンヤー号と4WD車
その後も風は強くなったり弱くなったりを繰り返しながら、時おり地吹雪が吹いていた。午後になって風が一段落した時に車の様子を見に行ったのだが、そこで驚愕の事実を知ることになる。

家の中からははっきり見えない位置に車があったのだが、その良く見えない部分に吹き溜りができていて、車は半分以上雪に埋もれた状態であった。軽い気持でスコップを片手に様子を見にいった私は、なす術も無く退散したのであった。人力ではどうしようもない何トンという雪が道と車を覆っていたのである。あまりにも驚いたので写真が無い…。

雪の中に埋もれた車は、もう前にも後ろにも進むことができず、ただただ埋もれて行く一方であった。どうしよう?他の車を呼んで巨大な吹き溜りのせいで近づけないし、除雪車を呼んでもこの車が邪魔で除雪ができない。おまけに敷地内の他の車もこの車が行く手を遮っているので出られない。八方塞がりなのか?ここに泊まるしか無いのか?

そんな心配をしている内に、町の除雪車がやって来た。

巨大な除雪車
運転手さんに事情を説明すると、なんとかしてくれるということなので様子を見ていた。しかし、この除雪車は予想通り雪をかき分けながらスタックした車に近付いては来たけれど、車の手前に巨大な雪の壁を作った時点でどうしようもなくなって作業は中断したのである。後は人力でこの雪の壁を崩して除雪車と私の車をロープで結びつけるしか無い。吹雪の中、除雪作業員の人と一緒に必死でスコップで除雪をしたのであった。

救助隊到着
牽引ロープを接続したあとは、びっくりするくらい簡単に車は救出された。まるでチョロQを引っ張っているかのような勢いで、スポッ!と抜けたのであった。

その後、我が家の敷地内をしっかり除雪してくれて去って行った。どうもありがとうございます!

これが地吹雪!(天気は快晴)
この救出劇で膨大なエネルギーを消費した私は、もう何もする気力も無くなっていた。無事に車が助け出された安堵感と冷え切った身体を温めるため、私達は秘境の温泉に行くことにしたのであった。まあいつもながら暢気な夫婦である。

懲りもせず雪道を走る
温泉の廃湯が道路に流れて融雪状態
4種類の湯が湧き出る珍しい温泉
ナトリウム泉、硫黄泉、鉄鉱泉、カルシウム泉の4つの源泉があり、それぞれ自噴しているという大変珍しい温泉である。湯舟は4つ(一つは露天風呂)あり、それぞれのお湯が引き込まれているので、それぞれをじっくり肌で感じながら浸かれる。

結局、この日は温泉に入っただけで自宅建設作業は何も出来なかった…。

天井を作る


10月に天井作り作業に着手してからというもの、来る日も来る日もただひたすら天井を作っていた。

天井の総面積は約60畳、2階部分の無い屋根裏が見えている面積だけでも36畳ある。張り付ける板の大きさがちょうど畳一枚分の大きさ、つまり最低でも36枚もの板を切って持ち上げて張って行かなければならないのであった。

梁の補強工事を行い、必要なところには骨組みを作り、梁や柱を避けるために板に切り欠きを入れ、これを持ち上げて天井となる。その後はその上に二重の断熱構造を作成してやっと1枚分が完成という非常に手間のかかる作業であった。

骨組みを作る
骨組みとその上の屋根裏の様子
天井を張り終えたところ

手間がかかる半面、作業自体は変化に乏しい非常に単純な作業の連続でもあった。何度も測り直したり切り直したり張り直したりと、手直しの回数も多いため一日で1枚から2枚、多くても3枚張るのがやっとというスローペースであった。

屋根裏がむき出しのままの状態で10月が終り、11月末にやっと36枚の板を張り終え、これで室内と外気が遮断された状態になったのである。これまでは、屋根裏の通風口から外気が吹き込み放題であり、また室内が太陽熱で温められてもその温もりはやはり屋根裏通気口を通って逃げ放題の状態であり、室温=外気温という状態だったのである。


気温が氷点下になる前にとりあえず作業が終了して良かった…。