2014年11月28日

壁塗り


7月29日から始まった壁塗りであるが、8月も塗っていた。9月になっても壁を塗り、10月になってもひたすら塗っていた。気温は日に日に下がるが壁塗りは遅々として進まないまま11月に突入したのであった。

このまま行けば今年も壁は完成しないのでは無いかと危惧していたが、そんな予想ははからずも的中するというものだ。11月のとある日、とうとう外気温が氷点下になってしまったのであった。もうこれ以上漆喰を練ったり塗ったりが出来なくなってしまい、今年の作業は終了となったのであった。

漆喰の壁塗りは、ストローベイルという藁の塊を積み上げた側面に、麻ヒモで格子状の下地を作り藁のすき間が大きい所には粘土質の土と藁を混ぜたものを詰める。その後、はみ出た麦藁をトリミングし、ようやく漆喰の下地塗りが始まる。下地が乾いて藁と強固に結合した頃に中塗り、そして仕上げ塗りを行ってようやく完成するという気の遠くなる作業なのである。

極太の麻ヒモで編み上げた壁

左から下地塗り、中塗り、中塗り、仕上げ塗り
この作業をひたすら繰り返していたのであった。漆喰の量は、昨年が75Kgを11回で約800Kg、今年は75Kgを43回塗って約3300Kgであった。水分が重量比で20%あるので、結局壁には3トン強の漆喰が塗られたことになる。藁が6トン程度だったので、相当な重量が床と土台、基礎にかかっているのである。丹念に強度計算を行い綿密に床の補強工事を行った上での壁塗りであるが、所詮素人の作業なので不安が一杯である。

 とても大変な作業ではあったが、実労時間は2人で25日程度であった。それなのに3ヵ月半も費したのは、やはりというか途中で飽きてきたからであった。ただひたすら壁を塗るというのはあまりにも単調で面白味の無い作業だったのである。忍耐、努力、継続などという面倒な単語が頭をよぎらない私達は、あっさり作業を中断し全力で遊びに行ってしまうのであった。結局、約100日間の内、75日は休憩か遊んでいた訳である。家が完成する訳が無い…。

のんびりしていると、人は「日が暮れてしまうよ」とか「年が明けちゃうよ」などと言うが、我が家には新しい格言がある。それは「早くしないと生えちゃうよ」である。


入口横の壁に土を塗り込めた
この壁に土を塗り込めたのは良いが、そのあと遊びに行ってしまい作業の再開が遅れに遅れたのであった。
壁から何かが…
ある日、壁から見慣れぬ緑の物体が出現したのである。それは…。

ズーム
藁の中に残っていた麦粒が土と水分のせいで発芽し、さらに成長して苗になっていたのであった。こんな所で発芽するんじゃない!と思いつつも、せっかく生えて来たんだからと可哀想になってプランターへ移植して育てることにした。

と言うわけで、のんびり家造り作業をしている内に壁から発芽した挙げ句に壁塗りが終らないまま今年の作業は終了しましたとさ。

とりあえず塗り終った