素人が家を作っていると、不手際が多く時間を浪費することが避けられない。それは、工具類が見当たらないとか、買ったはずの部材が行方不明になって、それらを探し回るという全く無駄な時間をかけているからである。基本的には保管場所を決めていたり、まとめて箱に入れて内容物を記入したりして対応しているつもりだが、ふと気を緩めたときに物が無くなってしまうのである。
先日、配管作業中に庭で塩ビパイプを切ったり継げたりしていた時のことである。長さ3m程のパイプを数十cmづつ切り、室内で接続作業をしていた。部屋の中は接着剤の匂いが充満し換気を頻繁に行わなければならないので、出来れば一気に作業を終えてしまいたいのであるが、そこは素人の悲しいところで一日では終わらないのである。その日も時間切れになり、外に出してある工具類を片付けて続きは翌日へ持ち越したのである。
翌日も晴れていたが、秋が深まりつつあり冬が近付いている気配である。さて作業でも再開するかと準備をしていたのだが、塩ビパイプが行方不明である。前日の作業で使った分を差し引いても2m以上残っていたはずである。そんな長尺物が無くなるはずも無く、また人の出入りがある場所でも無いので、パイプは私の手を離れたときにあった場所に留まっているはずである。
でも見当たらない…。
再び捜索を開始する。直径5cm,長さ2m以上、こんなものが隠れる場所は限られている。
でも、見当たらない…。
決して高価なものでは無いので再度購入しようかとも考えたが、買った後にパイプが発見されてもそれはもはや使い道が無いので、そういう無駄は避けたい。さらに探し続けた。
でも、見当たらない…。
いったいどうなっているんだろう?時間ばかりが過ぎて行く。 訳がわからない…。仕方が無いので、パイプ探しは後回しにして他の作業に移ったのであった。
それから10日後、ついにあのパイプが姿を現したのである。それは…、
中央に不審な円形の物体? |
斜めから見てみると… |
と同時に、当時の記憶が鮮明に蘇って来たのである。それは作業中に長いパイプが邪魔になり、横にあった洗濯物干し台がふと目に止まり、そこへ何の気無しに乗っけたのであった。その長さといい、その収まり具合といい、ジャストフィットだなと満足さえしていたのである。そして、そのまま記憶から消え去ると同時に、視界からも忽然と消え去ってしまったのである。
物干し竿と見事に同化している |
う~む、パイプと再会の喜びも無い、ここから得られる教訓も無い、今後の役に立つことも決して無い、再発見と同時に体中から力が抜けてしまっただけであった。