最初は、この地区の沢から湧水を引き簡単にろ過して水道水として供給する「簡易水道」というシステムを利用していたらしい。塩素消毒をしていなかったようで、いわゆるカルキ臭が全くしない美味しい水だったらしい。また、そのせいかどうかは不明だが、この家には水道の凍結防止装置が設置されておらず、前の家主がこの家を売りに出した時に急遽取り付けたようである。そのせいで、家の中と外の水道管は古く、その中間の部分だけがポリブデン管という最近流行りのプラスティック製になっていた。
私がこの家を購入した2010年7月、その2ヶ月後にこの水道は廃止されたのである。もちろん、売買契約時に告知されていた事項であり予定通りではあった。まだ改築中で居住していないとは言え、水道が無い訳にもいかず、町営の水道システムと接続することにしたのである。町の指定業者に依頼して家からせっせと地面を掘り進み、113m先の最寄りの水道管まで深さ2mの溝が完成し、この部分の水道管も新しいポリブデン管に置き換わったのである。
残るは家の中の配管であり、これは古い金属管のままである。この部分を新しい物に替えれば、我が家の水道管は全て21世紀製になるはずである。ここは水道メーターより後方にあるため、工事を行うための資格や許可は必要無い。意を決して(単なる思いつきで…)自力で工事を進めることにしたのである。
それから幾年月が過ぎ去り、2016年9月、やっと重い腰を持ち上げて工事を始めたのである。
どれだけ重い腰なんだ…。
この工事が遅れた理由はいくつかあるが、やはり最大の理由は私には水道に纏わるトラウマとも言うべき恐ろしい経験があるためである。その話はまたいずれ。
水道工事に限らず、我が家の工事は例外、想定外、果ては問題外という、一筋縄では行かないことが多い。しかし、水道は公営システムに接続されているものなので、何かあれば影響は外部に及んだり、影響が内部に向かった場合は家が水没する危険性すらある。
さて、この工事を行うに先立って水道管の規格や仕様、工法などを調べてみたが、め、めまいが…。
一番多く目にするサイズの水道管は外径が21.7mmであり、管種によって13Aもしくは15Aと呼ばれ、、B呼称だと1/2と呼ばれ、通称は四分(よんぶ)である。もちろん、どれも呼び名が異なるだけで同じサイズの管である。う~む、意味がわからん。
我が家の水道管は外径27.2mm、20A、3/4、通称「六分(ろくぶ)」であり、業者は「しぶさん」と呼んでいる。「通称」の立場が台無しである。
一応、蛇口から伝って行って全ての管のサイズを計り、それに合わせて新しい管の部品を購入して準備をしていた。そしていよいよ古い水道管を撤去し始めたのであった。
床上の古い管は全て20Aだった |
床を貫く管も20A |
深さ142cmの床下 |
そして、最後の古い管を外してみると…。
そこに見えたのは、なんと20Aと13Aを接続出来る変換アダプタの存在であった。えっ?
そう、ここまで全て20Aだったのだが、最後の最後に13Aに変換されてしまっていたのである。今、目の前にある地面から生えている水道管は13A、撤去した水道管は20A、そして準備していた新しい水道管の繋手金具はもちろん20A…。
床下の暗闇で途方に暮れていた…。
急遽購入した13Aエルボ |
まあ考えていても仕方が無いので手持ちを確認してみると、13Aのオスアダプタならある。接続すべき水道管は13Aのオス。急遽ホームセンターへ走り、13Aのオスとメスを変換するエルボという金具を買って来て、無事に13Aの架橋ポリエチレン管と我が家の水道管が接続されたのである。
なぜ、最後の水道管のサイズが分からなかったのかと言うと、下の写真のように巨大な断熱素材で包まれており、その姿が見えなかったからである。そして、その直前まで同じサイズで管がつながっていたので、この隠れている部分も同じサイズであろうと油断して確認しなかったのである。
巨大断熱素材に包まれていた13A水道管 |
ヒーターとセンサー類を接続 |
ちなみに、このセンサー類はコンピュータに接続されており、27秒毎に管の温度を計測して水道管が凍結しそうになると自動的にヒーターのスイッチを入れて、凍結の心配の無い温度になると電源を切ってくれるのである。これで水道管凍結を回避できる…、はずである。