最後の点検を終え、いよいよ開栓である。ここは寒冷地なので、水を止めるときに家の外にある水道メーター横の元栓を閉める必要が無く、宅内にある凍結防止栓のレバーを引くだけで水を止めることが出来て便利である。まあ、場所が違うだけで同じ動作だけどね。
元管から架橋ポリエチレン管、架橋ポリエチレン管同士の接続、繋手金具と水栓金具の接続、さらにその先の分岐など、およそ50箇所の接続部分がある。そして、その全てを素人の私が適当に接続したのである。そして、これまでの経緯を鑑みると、このまますんなりと済むはずは無い…。
覚悟を決めて元栓を開けて、耳を澄ます。グボボボボと鈍い音を立てて水が上がって来る音がする。その後間もなく家の中でポタポタポタ、ポトポト、シューシューと音が響いたのである。案の定、水漏れである。
恐る恐る音の出所を見ると、「ポタポタポタ」は蛇口の締め忘れであった。キュッとひねって水は止まった。「ポトポト」はシャワーの接続金具のパッキンの入れ忘れであり、パッキンを入れて組み直せば水は止まった。「シューシュー」はトイレの止水栓からであった。これは管の中の空気が漏れる音で、空気が出切ると当然のように水がポタポタ漏れて来た。しかし、良く見るとここはメーカーが出荷時に接続して来た部品である。そしてそれはテーパー管にも拘らずシール材を使った痕跡が見当たらないのである。欠陥品?
これは直管、つまり真っ直ぐで表面がツルツルのパイプであり、特殊な工具が無ければ締めたり緩めたり出来ないので、おそらくメーカーはこの部分だけは接続した状態で出荷したのだと思われる。でもその部分に不具合があれば何の意味も無いじゃないか…。
さらにこの部分は室内側に取り付ける物なので傷がつくと目立ってしまう。まあそんな細かいことは気にしても始まらないので、武骨なパイプレンチを使ってパイプの表面をガチガチと大きな傷を付けながら外し、シール材を巻いてさらに傷を増やしながら元の位置に締め直したのである。もう表面の化粧メッキは傷だらけであった。
これで全ての水漏れは直った。次は給湯ボイラーである。
ボイラーと消化器 |
とりあえず消化器をそばに置いて、作業を始めることにした。この消化器で延焼を防ぐことが出来るのか不明だが、表面に「あんしん」と書かれているので何とかなるかも知れない、ならないかも知れない…。「あんしん」って「安心」のことだよね?「暗心」や「闇辛」「暗震」だったら嫌だな…。
意を決してボイラーの試運転を始めることにした。ボイラーの工事説明書に従ってまずはボイラーの止水栓を開ける。管の中で水がちょっと動いた音がした。水漏れも無く、とりあえず水道管とボイラーの接続は問題無さそうである。
その次は「お湯の蛇口をひねって水が出ることを確認」である。つまり、水道からボイラー内部への導水テストをすると言うことである。何の問題も無さそうなので気楽にお湯の蛇口をひねってみた。
ドキドキ…。
うむ、何も出ない。うんともすんとも言わない…。試しに他のお湯の蛇口をひねっても結果は同じであった。がーん、何が起こったのか不明である。
中を開けても分からない |
この日の作業はこれで終わることにし、とりあえず続きは明日以降へ持ち越すことにした。しかし、翌日も原因が分からず、何日かを無駄に過ごすことになったのである。そして数日後、驚愕の事実が判明したのである。
つづく。