水道管の規格には非常に複雑なものがあり、その存在理由が分からない限り理解し難いものが多いのである。その中で難しくは無いが、なんとも腑に落ちない規格がある、それはネジである。
日常生活を送る中でも「ネジ」の存在を意識することは少なくない。いや、少ないかも知れないな…、まあ良い、少なくないことにしないと話が終わってしまう…。
一般的にネジはネジ自身とそれと対になる受け手がある。ねじ込んで行く方が外ネジ、ねじ込まれる方が内ネジと呼ばれている。 それぞれ、ネジ山が径の外側に刻まれているか内側かの違いで、ペアで用いられる。
さらに、ネジ山の作り方で平行ネジとテーパーネジに分けられる。前者は日常生活で良く見かけるタイプのネジで、ある一定のところまでほとんど抵抗無く締まって行き、締め付けるものに当たった時点で回す力が必要になるもので、対象物を締め付ける目的で用いられる。ネジが規定の力でこれ以上回らないという所まで回す必要がある。
それに対し、後者はネジ自体が先へ行くに従ってやや細くなっており、ネジが対称物に全部入ることなく、途中で抵抗を感じ始めるポイントがあり、その辺りで締め付けは終了である。そしてその範囲が比較的広いため、ある程度締め付ければ任意の場所で締め付けを終了出来る。
つまり、平行ネジは決められた位置まで回す必要があるのに対し、テーパーネジはある程度締めればその先は任意の角度・位置で回すのを止められるという特徴がある。
日本建設連合会の説明 |
意識をしないで両者を使用していれば、その違いを感じることはあまりないが、 水道管やガス管の配管をしているとその必要性に迫られるのである。水道管も直線状であれば特に問題は生じないが、直角に曲がる部分のネジであれば、その曲げる方向に管が向いたポイントで締め付けを終了出来ないと、管はあらぬ方向を向いてしまう。水道の蛇口を考えれば分かりやすいかも知れない。蛇口も取り付けはネジ構造になっているが、これを水道管にねじ込んで行って吐水口が真下に向いた位置で止めないと甚だ使い難いものになってしまう。
このように、ネジのタイプで「平行」「テーパー」の2種類と、それぞれのペアとなる外ネジと内ネジがある。ここまでは単純明快で何の問題も無い。ところが、水道にはさらに別の種類のネジがあり、分かっている人には何の問題も無いが、私のように何の知識も無い状態で調べると、めまいがしそうになるのである。
平行ネジはGネジと呼ばれ、それぞれ外ネジ(雄ネジ)と内ネジ(雌ネジ)がある。テーパーネジはRネジと呼ばれ、それぞれ外ネジ(雄ネジ)と内ネジ(雌ネジ)があるのは同じだが、それぞれRネジとRcネジと呼ばれている。
前者はどちらもG、後者はRとRc、 なぜ????
G外ネジはG内ネジと組み合わされる。RネジはRとRcがペアであり、R同士やRc同士は接続できない。もちろん、GとRもタイプが異なるため接続が出来ない。ここまでは良い。ところが、水道のネジにはさらに別のタイプのものが存在するのである。
それはRpネジとPjネジという面倒くさい名前のネジ達である。
Rpネジは「テーパ雄ネジ用平行雌ネジ」という定義のネジで、それ自身は平行ネジで内ネジである。しかし、組み合わせる相手はテーパーの外ネジなのである。今、平行ネジとテーパーネジは組み合わせられないと書いたばかりなのにもかかわらずである。
Pjネジは「テーパー雌ネジ用平行雄ネジ」という定義のネジで、それ自身は平行ネジで外ネジである。こいつはテーパー雌ネジにも使えるが、平行雌ネジにも使えるという代物である。しかし、上記のRpネジは平行雄ネジには使用出来ない。
という、全くもって理不尽とも言える規格なのである。
日本建設連合会の資料には、
という具合に、ぴったり適合するものと、使用可、使用不可という組み合わせがあり、可/不可の2択では無いのである。
グダグダと書いているが、要点は「私が必要としているのは何ネジなのでしょうか?途方に暮れています」状態だということである。
全ての接続部分を自分で決められるのであれば何の問題も無い。適当に組み合わせの可能な規格のものを選択すれば完了である。しかし、ユニットバスや給湯ボイラーなどのように「ここには○○ネジが使われています、これに合う金具で接合するように」と、相手から指定されているものはそれに合うものを自力で探し出す必要がある。
ここでプロは幾多の経験から特に悩むことも無く、実に適切な部材を調達し工事を行うのであるが、悲しいかな素人の私は右往左往してしまうのであった。
つづく。