2014年7月11日

Lop-Nur (3)


雪も無くなって春がやって来た。ようやく周囲の様子が分かって来た。どうやら家の周りは牧草地帯でやけに広い所だ。おまけに小川もあって、探検するにはちょうど良い感じ。

東京ドーム3個分の広さと言われても…

生まれて初めての川

飼い主はここでリードを外して遊んでくれる。僕はまだ小さいので、どれだけ一生懸命に走っても走っても走っても、いつまで走っても飼い主が見えている。この緑色の地面はどこまで続いているんだろう?

走ったり転んだり吠えたりお手をしたりと忙しい僕。そして喉が渇くと小川に下りて行って冷たい水をたっぷり飲むんだ。おいしい。

お手を覚えました

Lop-Nur (2)


この家に来た時には、外気温が低く雪があってとても快適な所だと思った。僕は体中がモコモコの長毛で覆われているので寒さが大好きだからだ。


雪の中を転がるのが大好きさ!
でも、僕の飼い主は寒いと可哀想だと思っているようで、冬の間ずっと家の中で住むようにと言って、玄関全部を僕の部屋にしてくれた。おまけに、辺り一面ワラを敷いてくれたので、僕はまるで牛のような生活になってしまった。

僕は牛なのか?
 ここは何だかともても変な家で、まだ完成していないのではないだろうかと疑問に感じるんだが、可哀想だから気付かないふりをしていた。先日、壁にいたずらをしてみたら、中からワラが飛び出して来てびっくりした。この飼い主はどんだけワラが好きなんだ…。

玄関には人感センサー付の照明があって、僕が走り回ると明るくなるんだ。飼い主が夜に出かけて帰って来る時に、ちょっとしたサービスのつもりで電気を点けてあげるんだ。そうすると飼い主は「あ、Lop-Nurがまだ起きているみたい!」と言って喜んでいる。単純な奴らである。

そういえば、前回壁を壊した時に何か変な機械を取り付けられたんだった。

HDカメラ
 とてもいい加減に取り付けられたその機械は、どうやら僕を撮影しているようだ。なぜそれが分かるかというと、いつもは靴とかスリッパ、箱なんかをボロボロにしても全然気が付いていなかったのに、最近は靴を噛んだだけで飼い主が現れるからだ。ふん、勝手に撮影しないで欲しいな。

監視用コンピュータ

僕はカメラだと気付いているぜ!
僕がこんな感じで機械を睨み付けると、飼い主はそれを見ているようだ。

パソコン画面の左隅に常に表示されている

タブレットでも同時に見られる
飼い主は僕を監視するためにこの機械を取り付けたつもりだろうが、僕が何かをする度に飼い主がやって来るので、僕にとっては飼い主を呼び出す呼び鈴のようなものだな…。

2014年3月19日

Lop-Nur

僕は生後3ヵ月です。良く覚えていないけど、寒い冬の日に6匹の兄弟と共に生まれてしばらく家族で暮らしていました。しかし、大人の事情とやらで僕達兄弟は保健所という所に連れて行かれてしまい、代わりに飼ってくれる人を探すことになりました。

保健所の保護施設

保健所は振興局という北海道独自の行政機関の中にあり、よく分からないけれど僕達はそこの職員に可愛がられながら、引き取り手を探してもらっていたのです。

保健所には里親の事前登録制度というものがあって、僕達のような境遇にいる仲間を引き取ってくれる人が登録されています。今日、保健所から登録者へ連絡が行ったのですが、その中には暇を持て余している夫婦がいました。

その夫婦はここから40Km以上離れた場所に住んでいるのですが、よほど暇だったと見えて、わずか1時間後には保健所へやって来たのでした。そして僕を見るなり、「あ、まゆ毛がある」だの、「モコモコの毛並だ」などと失礼な事を言いながら僕を引き取ることにしたようです。

僕はワクチン接種と駆虫処置を行う必要があったので、2日後に引き取られることに決まりました。

まゆ毛が凛々しい僕
頭は羊のようなモコモコ毛だよん
その夫婦はよほど暇なのか平日の昼間にもかかわらずきっちり48時間後に現れ、幾つかの書類手続きを終えて僕を車に乗せてくれました。

バスタオルをかけてもらった
保健所を出るときに優しく抱っこしてくれたのですが、僕はちょっと不安になってたっぷりオシッコを服にかけてしまいました。ジャケットはオシッコだらけになりました。

車が動き出すと、僕の身体は右や左に揺られてなんだか変な気分になってしまい、口からヨダレがダラダラ出てしまい、車の中はヨダレだらけになってしまいました。

ヨダレを出しながらしばらく走っていると、今度は気分が悪くなってたっぷりゲロを吐いてしまい、車の中はゲロだらけになってしまいました。

なんだか、さっきから出してばかりだなと思わないでもなかったのですが、もうこれ以上出すものも無いので大人しくしようと思いました。あとで、ウンコをまだしていないことに気付きましたが、これ以上車の中を汚してもつまらないので、ウンコは我慢してあげました。

車は1時間程で家に着いて、僕を降ろしてくれました。そして「今日からここが君の家だよ、Lop-Nur」と言って、家の中に連れて行ってくれ美味しいご飯を食べさせてくれました。

僕の名前はLop-Nurというらしいです。とりあえず、明日から呼ばれたら返事をしてやってもいいかなと思っています。

おやすみなさい。