2015年6月24日

動物標識

北海道の道は広くて直線が多く、車で結構いい加減な運転をしていても少ない交通量とその道路幅に助けられるせいで運転技術を問われる局面は少ない。鹿やキツネの飛び出しなどはあるものの、歩行者がいる訳でも無く信号すら滅多に現れないので、緊張という言葉の対極にあるような運転でも何とかなってしまう。

しかしながら、林道と呼ばれるいわゆる山道に入ると、道外の道路事情と大差無いような道が現れることがある。未舗装で道幅の狭い、普段お目にかかれないような道路のことである。そんな道路には、対面通行が困難な道幅の所には退避場所が設けられており、その標識がある。

退避場所を示す標準的な標識

運転免許試験にも登場するくらい有名で、速度制限標識などとは異なり至って意味のある標識である。ところが、このような標準化された標識が存在するにも拘らず、何か特別なことを伝えたいのか、何かを狙って失敗してしまったのかは知らないけれど、変な標識が存在する。

標識の形さえ変更している
本来であれば四角いはずの標識が丸くなっており、余分な装飾が標識の肝心の視認性を著しく低下させている。標識の存在意義を根底から覆すような物体である。この標識に最初に出会ったのは約5年前であり、あろうことか見掛けた場所は家の近所の林道であった。北海道ではこんな標識があるのかと驚いたが、あれからずっと探しているにもかかわらず他の場所で見掛けたことが無いという不思議な標識である。

退避所の存在を疑わせるような目線
この目がこの標識の信憑性を著しく損ねている。「この先に退避所が…、あったらいいのにね、うぷぷぷ」と笑いながら人を小馬鹿にしているような表情。

そもそも、この動物は一体何なんだろう?最初は熊だと思ったが、良く見るとタヌキにも見える。退避所の出っぱりをタヌキのお腹とかけているんだろうか?作成者の意図は何なのか?

検索してみても他の場所では設置されていないらしく、全部が我が家の近所の林道のものであった。誰かこの変な標識の秘密を知りませんか?


2015年6月23日

謎の巨大建造物


 普段、何気なく通行している道路だが、時々農道という標識に出会うことがある。「広域農道」「一般農道」「農免農道」などの標記である。さらに、北海道には「開拓地農道」というものもある。一般の道路と何が違うのかあまり考えたことは無いし、通行するのに特に注意が必要という訳では無い。路面もちゃんと舗装されており、道幅は一般道と同等かそれ以上であることが多い。まあ常識的に考えて、農業従事用車両の通行を目的とした道路だろうから、それらに注意して走行すれば良いと思うし、私はそのようにしている。

ちなみに、これは道路を名乗ってはいるが道路法の適応を受けない道路であり、所管も国土交通省ではなく農林水産省だそうだ。北海道には農林水産省独自の空港、道路、鉄道などがあり、調べてみると思白い。

開拓地農道

 先日、その農道を走っている時に思いもかけない場所で巨大建造物を見掛けたのであった。それは特に珍しいものでは無く道路を跨ぐただの高架橋である。ただ、それが意外な場所にあったのでちょっと驚いてしまった。


のどかな風景
その先に何かが見えて
こんな所に高架橋?

こんな所に高速道路の延伸計画やバイパス計画でもあったっけ?でも、ここは交通量が極端に少ない過疎地である。高架にしなくたって普通の交差点にしたって誰も困らない。時々、農地の真中に道路が出来てしまって、その分断された農地を行き来するのに高架橋が架けられることがあるが、それは簡易なものか規模が小さい高架橋である。それなのにこれは結構な規模だし、構造が鉄道用や高速道路用のそれになっている。一体何なんだ?

保守用設備も付いている

耐重量級の構造
ナビにも表示されないし、気になって仕方が無かったので帰宅してから調べてみた。すると驚いたことに、この高架橋を作ってまで通している道路は地図には記載されていなかったのである。さらにGoogleMapで航空写真を見てみると、この高架橋の前後には接続されている道路が無かったのである。

高架橋の両端には何も無い
 農地を繋ぐ専用道路なのかも知れないと思ったけど、この両端の農地には行き来する必然性が感じられないし、農地へ通じる道すら無いのである。ということで後日もう一度この橋を見に行くことにした。どんだけ暇なんだよと言われても仕方が無いが、気になって気になって一日中これの事ばかり考えるようになってしまうよりマシというものだ(そうなのか?)。

結局、何だかんだと言いながら行って来たのであるが、この高架橋へ通じる道を丹念に探したにもかかわらず小さな未舗装の林道のような枝道しか無かったのである。念のためにその全てに入って行ったが、行き止まりであったり全然関係の無い場所へ通じる道ばかりであった。通行する車は一台も無かったので行ったり来たり何度もしたが、ついに高架橋へ通じる道は発見出来なかったのであった。

枝道
 高架橋の近くには、JPOWERの立ち入り禁止表示があった。あの電源開発がこの高架橋を建設したのか?管理をしているだけなのか?何か隠しているんじゃないか?上流に秘密の設備を建設中なのではないか?Googleと手を組んで航空写真に細工をして見えなくしているだけでは無いのか?

高架橋の近くの看板
謎が謎を呼ぶ結果になってしまったが、とりあえず気が済んだので帰ろうかと思い車を走らせていると、前方に歩行者を発見したのである。こんな山奥の農道に人が歩いていることにとても驚いたんだが、近所に住む人だとひょっとしたらこの高架橋の正体を知っているのでは無いかと期待に胸を踊らせながら聞いてみた。聞かれた方もびっくりしたと思うが、このおばさんは快く説明してくれた。彼女によると、これは水道橋だということだった。

へ?水道橋?あんな重量級の高架橋が水道管のためだけに作られたのか…。

丘陵地間を結んでいるようだ
でもに落ちないなぁ。水道橋であればローマ時代の開放型水路じゃあるまいし、気密性の高いパイプ構造で作ることが出来るはずだ。実際、殆んどの都市ではパイプを埋設している。それならわざわざ高架橋を作らなくても、多少の高低差を吸収して地下埋設すれば済むはずである。何らかの理由で道路下へ埋設できなくても、この道路の上だけ数メートル上空にパイプを渡す長さ10m程度の簡易な橋を作れば良いだけだ。第一、そこまでして送る水の需要があるのか?人家も農地もあまり無いところだし、周囲には採石場や産業廃棄物処理場くらいしか存在していない。また、この地図より上の部分は国立公園と山岳地帯で何も無い。地図の下部には集落があるが、それは遥か遠くである。それにそこは豊かな水系の地域なので水源には事欠かない。

結局、この日はこれ以上のことは分からないまま帰宅した。

ところが、後日さらに調べて行くと意外な事実に行き当たったのであった。そうか、そんな目的で作られていたのか…。よし、今度はそっちへ行ってみよう。

つづく(のか?)。

2015年6月22日

恐怖の温泉

夏至を明日に控えた夜、日が長くなったと言えどもこの時間だと真暗である。夜道を飛び出すエゾ鹿に注意しながら車を走らせ山奥の温泉へたどり着いたのは営業時間終了間際であった。週末だが客は私一人であり、のんびり温泉に浸かって今日の疲れを癒そうとしていた。

長い廊下を歩き湯殿へ向かう。ドアを開け脱衣所へ入ると、そこには脱衣カゴが床に放り出されたように置かれたままであった。「ああ、マナーの悪い客が来ていたんだな」と半ば呆れ顔で浴室へ向かうと、中は湯気で霞んではいるが何だか音がして人のいる気配がする。音のする方を見てみると、シャワーが勢い良く出放しのまま放置されていただけで誰もいなかった。マナーが悪いにも程があるよな、とやや憤慨気味の私であったが、脱衣所には服がなかったので誰かがシャワーを出したまま帰って行ったということだろう。

いや、流石にそこまでマナーの悪い奴はいないだろうと、ふとシャワーの下を見ると、そこにはシャンプーやら石鹸などが入った明らかに個人の所有物のお風呂セットが置かれたままである。ひょっとして露天風呂へでも入っているのかとも思ったが、脱衣所に服が無いということは、素裸のまま温泉に来たのか?それとも服を来たまま露天風呂に入っているのか?まあ、どっちに転んでも嫌な思いしかしないな…。

嫌々ながらも露天風呂へ通じるドアを開け、薄暗い石の階段を下りて行く。ぶら下がっている照明がLEDの裸電球という新しいんだか古いんだか分からない灯りを頼りに湯舟への階段を登って行く。裸で歩いて来たおっさんがいるのか?服を着たまま入浴している奴がいるのか?と思っていたけれど、大きな露天風呂には誰も居なかったのである。

周囲を見渡すと、湯舟の縁に洗面器が無造作に置かれており、中に何か赤い液体が入っているのが見えた。血?人間の血なのか?もう私の頭の中では、サスペンスドラマの主題歌が凄い勢いで大きな音を奏でている。先週から暇潰しに再放送のドラマを10本連続で見たのがいけなかったのかも知れない。そのうち3本は温泉で殺されるシナリオであった。

ははは!まさか現実にそんなことが起こるはずないじゃないか、ははは。と、相変わらず「ちゃちゃちゃちゃーん♪パーパーパ、パーン♪」とドラマのテーマ曲が頭の中でオーケストラ状態のまま、近付いてもう一度その洗面器を見てみた。

ぎゃー!本物の血じゃないか!

なぜ本物の血だと断定出来たのかと言えば、そのすぐ横に血で染まったガーゼが放置されており、いくつかの鮮血色の凝血が付着しており、そのひとつは凝固しきっていない状態でガーゼの端から周辺へ流れていたのである。辺りの暗さに目が慣れて来たので、さらにその周囲の血痕がいくつも見えたのであった。

ここで何が起こったんだろう?頭をドラマモードから冷静モードに切替え、その血が散乱する状況を考え始めたのであった。

血は鮮血色、つまり凝固して黒ずんでいない。温泉の湯気のせいで凝固が遅くなっている可能性もあるが、どちらにしろそれ程時間は経過していないはずだ。傷から出た血なのか?傷にしては出血量が多くないのに凝血塊があるのは不自然だ。じゃあ、吐血性のものなのか?褐色凝血塊だと胃酸の影響を受けた吐血だが、大量出血だと鮮血色だけどこれは大量じゃないしな…。下血の場合だと、血以外にも何かが出ていることがある(まぁ、通常はウンコだな)。よくわからん。

ガーゼをもう一度良く見ると、20cmx15cm程度の大きさに畳まれており、濡れた状態で血が付着している。さらにガーゼの裏には透明のテープが貼られているのである。風呂で突然出血すれば、普通はタオルか何かで血を拭くであろう。なぜガーゼなんだろう?透明のテープは絆創膏なのか?すると、風呂の中で救急セットを用いて応急処置をしたのか?そこまで用意周到であれば、後片付けくらいして行くよな…。でも風呂の中でガーゼと絆創膏がある理由がわからん。

ひょっとして、入浴客同士が喧嘩でもして誰かが怪我をしたのか?もしそうであっても、手当てだけして血で汚れた現状を放置するのはやはり不自然だ。治療道具を持参でもして来ない限り、温泉宿の人に救急道具を借りたはずだから、宿の人がそのあとすぐに掃除はするであろう。第一、私が宿に着いた時点で何らかの説明があったはずだ。ますます分からない…。

いや、実は怪我をさせた人間がとても悪い奴で、宿の人には「大した事はありませんでしたよ」と言いながら、救急道具を返却し自分だけ帰路についたのでは無いのか?だから一人分のお風呂セットが浴室に放置されたままなんだろうか?だからシャワーが出し放しだったんだろうか?

それなら怪我をした人はどこへ行ったのか?広い露天風呂の浴槽の中に沈んでいるんだろうかと思って手と足で湯舟の底を探ったが何も無い。数メートル下の川に落されているんだろうか?と、下を見ると、暗くて良く分からないが「く」の字に曲がった白い大きなものが川の真中辺りに見えたのであった。

つづく…。
















いや、ここでやめると遠くの原野から苦情が来そうなので、やっぱり一気に書いてしまおう。



川の中の白いものは、風呂の照明が暗く光が届かないので良く見えない。何度も目を見開いて確かめようとしたんだが、やはり分からないままである。はたして死体なのか?流木か何かなのか?

良く見えないものは仕方が無い、他の場所も探してみるかと思いながら少し離れた所にある打たせ湯の場所を覗き込んだり階段の付近を見たりしていた。私の行動は、もうその辺に死体が転がっていると確信しているかのようだ…。

結局、階段の登り口の辺りに血痕を発見し、それを追って行くと内湯の方まで続いていたのであった。つまり、少なくとも出血した人は、何らかの方法で露天風呂から内湯へ戻ったということだけは判明したのである。ということは、出血現場から血を流しながら露天風呂の湯舟の中を横切り、階段を登って内湯を通り、脱衣所まで戻って服を着て帰ったということなんだろう。

そうすると、今私が気持良く浸かっていたお湯は血入り?ぎゃー、気持悪いじゃないか。服を着たまま入浴しているおっさんがいるかも知れないとまでは思ったが、まさか血の混入した湯があるとは思わなかった。早々に露天風呂を後にし、内湯でしっかり体を洗い流したのは言うまでも無い。

普段なら1時間以上ゆっくり入っているのだが、今日は入浴5分、現場の推理15分、死体捜索5分、血痕追跡5分の合計30分で出て来たのであった。全然温泉気分じゃない。

で、結局この騒動の真相を宿の人から聞いたところによると、
  1. 怪我をして間も無いおっさんが風呂に来た
  2. 傷口にはガーゼを貼って止血していた
  3. 足場の良くない暗い露天風呂へ入ろうとした
  4. 露天風呂の縁で転んで更に怪我をした
  5. 出血がひどかったので、元の傷口のテープを剥して止血しようとした
  6. 止血出来ず慌てて風呂から出た

まず、上記1番の時点で既に大間違いである。普通の人間であればそんな状態で風呂に入るのは躊躇するし、誰かに制止されるはずである。まあ一歩譲って風呂に入るところまで良いとしても、決して3番の行動は取らないはずだ。したがって、4番の結果は起こるべくして起こったということであろう。自業自得。

その後の信じられない行動は5番であろう。このせいで、元の傷口と新しい傷口の両方から出血し、辺り一面血だらけにしてしまった。本人はよほど慌てたんだろう、シャワーは出し放し、お風呂セットも放置、脱衣所にサンダルまで脱ぎ放しにして帰って行ったようだ。

まあ死体が転がっていなくて良かった良かった。暗闇の露天風呂でひとり血を吹き出しながら大慌てで逃げ去るおっさんの姿を想像して、可哀想やらおかしいやら、複雑な心境で帰路に着いた私であった。

2015年6月19日

チキンカツ

今朝、庭の方を見ると何かいた。

木の上の方?
その木は、我が家の警備隊長のすぐ目の前である。

職務怠慢中の隊長
何かいる
何か茶色い物体が枝にしがみついているような感じであった。でも、動かないし、顔(?)が見えないので何か分からなかった。

おお、この顔は…
お、お前は確か…、えっと、何だっけ?どこかで見たような、見てないような…。ら、ら、らすかる?
凶暴な奴でないことを祈りながら、ちょっとだけ接近して撮影してみると、

無愛想な奴

ちょっとは動け!
タヌキ(狸)かアライグマ(洗い熊)か?たしか、タヌキは大人しい在来種、アライグマは凶暴性の高い外来種である。それぞれの特徴は…、見分け方は…、う、覚えていないな…。


オレは、洗い熊じゃなくて、荒い熊だぜ!
とりあえず、凶暴なアライグマだと嫌なので、これ以上は近付かずに撮影は終了。

ネットで検索すると、士別市が有益な情報を掲載していた。その「アライグマ捕獲情報」によると、こいつは明らかにアライグマであった。よかったー、近付かなくて。

こいつは、今週のNo.2の出来事であった。ちなみにNo.1は、チキンカツ(謎)。

2015年6月1日

裏庭の空が

夕方、空を見上げると奇妙な雲が現れていたのでずっと眺めていた。庭のスモモの木に上の方に怪しく光るドラゴンのような雲が段々と形を変えながら動いている。

なんだか不思議な雲
しばらくすると円盤型の雲(たぶん傘雲とかレンズ雲と呼ばれるもの)がやって来た。

傘雲
あっちにもこっちにも

ほんの数十分の間であったが、刻一刻と変化する様は見ていて飽きない。


傘雲の軍団
最後は幻想的な傘雲がたくさん現れて、我が家の裏庭で天体ショーを繰り広げていたのであった。のんびりと暮らしているだけなんだが、自然現象は毎日毎日素晴らしい姿を見せてくれる。今日だけ裏庭がSF映画のようであった。

届く

ボクはヨーグルトが大好きなんだ。自家製、隣家のチーズ工場製、市販のものなど何でも大好きで、底に残ったヨーグルトをなめるのが至福の時なのさ。

おあずけ




だんだんヨーグルトが減ってくると、顔を少しずつ奥の方まで入れて舌を一生懸命伸ばして食べるのさ。

いただきます!
こ、これが限界か…
夢中でなめていると、もうパックの内壁は綺麗さっぱりでまるで新品の容器のようになったよ。

ぶはっ、ごちそうさん!
イソップ寓話の「狐とのご馳走」のように、ヨーグルトが壷に入って出て来たって、ボクは顔を突っ込んで食べてしまうんだろうな…。