2018年8月26日

√5

普段何気なく眺めている山々も、地形図に照らし合わせて見てみると意外な事実が浮かび上がって来るのである。

庭から望む裏山
庭から山の方角を見ると、そこにはこれと言った特徴の無い山がある。

この山
この山の特徴を強いて上げるとすれば、頂上が二峰になっていることくらいである。ツインピークスか…。

しかし、地形図を眺めているとこの山を囲むように川が流れており、等高線の間隔がそれなりに面白いのである。それは、山体がすり鉢状になっているのである。何気なく見ている限り気が付かないのだが、いや、ちゃんと見ても気が付かないのだが、その後ろにある山が隠れるとうまく浮かび上がり、その姿が見えるかも知れない。

国土地理院の地図、赤い矢印は眺めている方角

GoogleMapの地形表示モード

この山だけが浮かび上がる方法、それはこの山の奥から濃い霧が吹き下ろして来て、この山の手前に来ないようにそこで停滞すれば良いのでは無いか?そして、その左右の山だけ隠れれば良いのでは無いか?

そんなうまい気象条件が揃うことはあるのか?そもそも本当にそうなのか?

それから5年の歳月が流れ、ついに今日その姿が見えたのであった。それは……、

想像通りの姿
この勇姿を見るために5年も待っていたような書き方をしているが、実はすっかり忘れていたのである。そして今日、この山の姿を見て思い出したという訳である。

でも、想像していた通りの姿が見えて、想定した通りの霧のかかり方だったので本当はちょっとビックリしたのであった。

頂上付近が霧で隠れて、なんとなく富士山のようである。

山麓でオウムは鳴いていないけど……。

2018年8月20日

宇宙名札

先週の8月12日(現地時間12日午前3時31分)にNASAのロケットが発射された。 かの有名なParker Solar Probeプロジェクトである。(日本語の説明

宇宙モノには何かと興味があって手を出している私であるが、今回も例に漏れず自分の名前を名札にしてもらってロケットに搭載されて飛び立ったのであった。わ〜い!

こんなチケットは手元に、名前自体はこの探査機に搭載

過去にも小惑星イトカワに置いてきてもらった私の名前が刻まれた金属プレートも、今日も静寂かつ漆黒の宇宙を漂っているのである。

これで宇宙を漂う私の名札はこれで3つ目となる予定である。ふふふ。




2018年8月16日

エゾパンダヌキ

ここしばらくスッキリしない天気が続いており、全く夏らしさが無い。このまま夏が終わってしまうのだろうか?昨年は涼を求めてオホーツク海へ行ったり、遠くルークシュポールを訪れていたのが今となっては懐かしい限りである。

夏らしくはないものの、近隣のデントコーン(牛のご飯用のトウモロコシ)畑ではニョキニョキぐんぐんと凄い勢いで成長しているのである。散歩コース脇にもこのコーン畑があり毎日見ているのだが日に日に大きくなっているのが分かるのである。それは私の目線の先にある農場風景が変化するからである。

前日には見えていた背の低い柵が今日は見えなくなっていたり、翌日にはその柵より少し高い農機具倉庫がトウモロコシの穂先に遮られて見えなくなっているといった具合なのである。今日はとうとう農場全体が見えなくなっていた。これだけ成長が早いと、伸びている様子が目視できるのじゃないかと思える程である。

さすがにリアルタイムで伸びを見るのは難しいだろうが、音では可能なのである。それは、風の無い夜中にトウモロコシ畑で耳を澄ませば「ギュギュ」「キュー」「ムモモモ」と茎が伸びている音を聞くことが出来るのである。ただ、この季節に夜中の畑で佇むのは相当の勇気が必要だろうな…。

もちろん夜中だけでなく朝や昼間であってもクマの出没の可能性が高いので細心の注意が必要である。先日、散歩の途中で昨年のクマ出没現場を通ったとき、前方に不審な形跡を発見したのである。

大きな足跡
トウモロコシが道端に…
ロプノールに臭いを確かめてもらうと、これは鹿の足跡ということであったので一安心であった。こいつの嗅覚があてになるかどうかは別問題ではあるが…。

そんなスリル満点の散歩道であるが、今朝はとうとうアイツに遭遇したのである。びっくりである。

アイツは道の向こうからこっちを見ていた。
アイツを発見して立ち上がるロプノール

アイツはこちらを見たままやって来る

お座りポーズで迎え撃つ気か?

さらに近づくアイツ

トコトコ

至近距離までやって来た
 人や犬を怖がらないのか、かなりの距離まで向こうから近付いて来たのである。そいつの正体は…

目がパンダ

子供のタヌキであった。びっくりさせやがって!


北海道に生息するパンダ目のタヌキだから、エゾパンダタヌキ、リエゾンを効かせてエゾパンダヌキ……。

トウキョウトガリネズミよりマシなネーミングだな(そうか?)。

2018年8月2日

出自偽装

トウキョウトガリネズミ、これが奴の正式な名前である。こいつとの初めての出会いは、私が学生時代にブラックなバイトをしているとき、大雪山の忠別岳近辺で見かけたのである。死体だったが…。

そのとき同行していた人に「これは世界最小の哺乳類である」と教わり、いたく感動した記憶がある。体長わずか4cmほど、体重は2g程度という、哺乳類という単語から想像し難い大きさだったのである。

(c)札幌市円山動物園
しかし、こいつはその大きさ以外にも驚きの事実を持っており、それは「トウキョウ」という名を冠しているくせに東京原産でも東京で繁殖している訳でも無く、ましてや東京で幅を効かせているあのネズミとも何ら関係ないのである(あいつは浦安だから千葉か…)。

 さらに驚くことに、こいつは「ネズミ」を名乗っているものの、実はモグラなのである。東京のネズミという名の北海道のモグラ、出自の全てを偽装している…。この事実を聞いた当時19才だった私は、世の中には色々複雑な事情を抱えている存在があるものだなと、妙な感動を覚えたのであった。

この名の由来は、出版物やネット上の資料にも書かれているとおり、北海道の旧名である蝦夷(えぞ:Yezo)と東京の旧名の江戸(えど:Yedo)を取り違えたのが元になっている。 命名者の悪筆が原因なのか?

 さて、このトウキョウトガリネズミだが、資料によるとどうやら絶滅危惧種らしい。またあまり見かけない動物らしいとも書かれている。しかしである、我が家周辺には割と普通に生息しているのである。

散歩の途中で
雨の日の死体
今日も見た
割と良く見かける
猫にやられたようだ
 と言うのも朝晩の散歩の途中で見かけることが多いのである。毎日出会う訳ではないけれど、一ヶ月に一度か二度程度であり、多いときは毎週見かけることがある。死因だが、ごく稀に傷を負った死体があって、これは捕食されていないことから猫に弄ばれたのではないかと思う。ほとんどの場合は無傷で道の真ん中にコロンと転がっている。この場合の死因は病死か餓死と思われる。

ネズミは貯食が出来るし食い溜めも出来る、一方モグラの仲間は皮下脂肪が乏しくエネルギーを体内に蓄え難い構造をしているのである。つまり食い続けていなければ死んでしまうのである。空腹のままだと2~5時間という非常に短い時間しか耐えられないそうだ。

ということで、恐らく縄張り争いか餌不足などで地上に出てきてそのまま絶命したと思われる。

死因は想像出来たが、不思議なのはトウキョウトガリネズミの死体がいつまで経っても路上に放置されている理由である。キツネなどはネズミや小動物を捕食するし、このトウキョウトガリネズミも小さいながらも栄養源にはなると思われるのにである。もちろんキツネやカラス、猛禽類までこの辺りにはたくさん生息しているのに、誰もこいつを食べようと思わないらしい。

で、気になって調べてみたら、どうやらトウキョウトガリネズミには哺乳類では珍しく唾液腺から毒を出すらしい。神経毒の一種らしく、ひょっとするとこいつの死体を食べると大変なことになるかも知れないと捕食者達は知っているのかもしれないな…。