2014年7月11日

Lop-Nur (2)


この家に来た時には、外気温が低く雪があってとても快適な所だと思った。僕は体中がモコモコの長毛で覆われているので寒さが大好きだからだ。


雪の中を転がるのが大好きさ!
でも、僕の飼い主は寒いと可哀想だと思っているようで、冬の間ずっと家の中で住むようにと言って、玄関全部を僕の部屋にしてくれた。おまけに、辺り一面ワラを敷いてくれたので、僕はまるで牛のような生活になってしまった。

僕は牛なのか?
 ここは何だかともても変な家で、まだ完成していないのではないだろうかと疑問に感じるんだが、可哀想だから気付かないふりをしていた。先日、壁にいたずらをしてみたら、中からワラが飛び出して来てびっくりした。この飼い主はどんだけワラが好きなんだ…。

玄関には人感センサー付の照明があって、僕が走り回ると明るくなるんだ。飼い主が夜に出かけて帰って来る時に、ちょっとしたサービスのつもりで電気を点けてあげるんだ。そうすると飼い主は「あ、Lop-Nurがまだ起きているみたい!」と言って喜んでいる。単純な奴らである。

そういえば、前回壁を壊した時に何か変な機械を取り付けられたんだった。

HDカメラ
 とてもいい加減に取り付けられたその機械は、どうやら僕を撮影しているようだ。なぜそれが分かるかというと、いつもは靴とかスリッパ、箱なんかをボロボロにしても全然気が付いていなかったのに、最近は靴を噛んだだけで飼い主が現れるからだ。ふん、勝手に撮影しないで欲しいな。

監視用コンピュータ

僕はカメラだと気付いているぜ!
僕がこんな感じで機械を睨み付けると、飼い主はそれを見ているようだ。

パソコン画面の左隅に常に表示されている

タブレットでも同時に見られる
飼い主は僕を監視するためにこの機械を取り付けたつもりだろうが、僕が何かをする度に飼い主がやって来るので、僕にとっては飼い主を呼び出す呼び鈴のようなものだな…。

2014年3月19日

Lop-Nur

僕は生後3ヵ月です。良く覚えていないけど、寒い冬の日に6匹の兄弟と共に生まれてしばらく家族で暮らしていました。しかし、大人の事情とやらで僕達兄弟は保健所という所に連れて行かれてしまい、代わりに飼ってくれる人を探すことになりました。

保健所の保護施設

保健所は振興局という北海道独自の行政機関の中にあり、よく分からないけれど僕達はそこの職員に可愛がられながら、引き取り手を探してもらっていたのです。

保健所には里親の事前登録制度というものがあって、僕達のような境遇にいる仲間を引き取ってくれる人が登録されています。今日、保健所から登録者へ連絡が行ったのですが、その中には暇を持て余している夫婦がいました。

その夫婦はここから40Km以上離れた場所に住んでいるのですが、よほど暇だったと見えて、わずか1時間後には保健所へやって来たのでした。そして僕を見るなり、「あ、まゆ毛がある」だの、「モコモコの毛並だ」などと失礼な事を言いながら僕を引き取ることにしたようです。

僕はワクチン接種と駆虫処置を行う必要があったので、2日後に引き取られることに決まりました。

まゆ毛が凛々しい僕
頭は羊のようなモコモコ毛だよん
その夫婦はよほど暇なのか平日の昼間にもかかわらずきっちり48時間後に現れ、幾つかの書類手続きを終えて僕を車に乗せてくれました。

バスタオルをかけてもらった
保健所を出るときに優しく抱っこしてくれたのですが、僕はちょっと不安になってたっぷりオシッコを服にかけてしまいました。ジャケットはオシッコだらけになりました。

車が動き出すと、僕の身体は右や左に揺られてなんだか変な気分になってしまい、口からヨダレがダラダラ出てしまい、車の中はヨダレだらけになってしまいました。

ヨダレを出しながらしばらく走っていると、今度は気分が悪くなってたっぷりゲロを吐いてしまい、車の中はゲロだらけになってしまいました。

なんだか、さっきから出してばかりだなと思わないでもなかったのですが、もうこれ以上出すものも無いので大人しくしようと思いました。あとで、ウンコをまだしていないことに気付きましたが、これ以上車の中を汚してもつまらないので、ウンコは我慢してあげました。

車は1時間程で家に着いて、僕を降ろしてくれました。そして「今日からここが君の家だよ、Lop-Nur」と言って、家の中に連れて行ってくれ美味しいご飯を食べさせてくれました。

僕の名前はLop-Nurというらしいです。とりあえず、明日から呼ばれたら返事をしてやってもいいかなと思っています。

おやすみなさい。


2014年2月28日

地産地消

2011年の秋、町内の牧場で仔牛が生まれた。ブランド物の和牛種である。

2011年10月10日生まれ

牡牛だったため、生後50日の2011年11月30日に売りに出され、その日の内に隣の牧場に買われて行った。

ちょっぴり大きくなりました

そこで半年余り育てられ、男の子では無い身体にされてしまった後、2012年6月13日に33Km離れた売買市場へ出品されたのである。


行って来ま〜す!(2012年6月13日)

即日落札されたのであるが、落札者が出発地点付近で育てることにしたため、そのまま再び同じ道を通って戻って来たのである。そこは我が家の近くの牧場であった。出発地点と到着地点が近接していたので、牛に取っては日帰りの遠足のようなものだ。

ただいま〜!(2012年6月13日)

搬入された所は広大な牧場であり、公営牧場としては日本最大の規模を誇る。東京ドームの378倍の広さらしいが、今一つ実感の湧かない大きさだが、まあとてつも無い広さではある。


また大きくなるよん (2012年6月13日)
この大きな牧場で1年半程肥育された後、2014年1月17日に40Km程離れた場所へ搬送された。

再び行って来ま〜す!(2014年1月17日)
生まれた時には男の子だったはずだが、途中であれをカットされてしまいニューハーフになり、今日はついに身体自体をハーフカットされてしまったのであった。

さようなら

ハーフカット(2014年1月17日)
ただいま〜!
その後、1ヵ月程冷蔵施設で熟成され、半分になった身体はさらにバラバラにされ、そしてパック詰めされてスーパーの店頭に並べられた。

陳列されてしまいました…。

言うのが、先日近所のスーパーですき焼き用の和牛を3パック買って帰った時に、パックに記されていた個体識別番号から得られる情報を元に再現したストーリーである。

恐らくこんな感じで生まれてこのように肉になったんだなと想像しながら、その情報を元に適当な写真を貼り付けて書いてみたということである。

買って来たパックのラベル
何故こんなことが分かるのかと言えば、いわゆる肉のトレーサビリティーの必要性から、国産牛肉(和牛、廃用乳牛、肉牛など)の情報がデータベース化されており、それぞれのパックに個体識別番号が記されているからである。

これは、独立行政法人家畜改良センターが運営する「個体識別番号データベース」に出生日付、保有場所、保有者、移動年月日、売買市場等の詳細情報が記録されており、必要があればいつでもこれらの情報を参照することが出来る(ただし、内容の転載などに制限があるためここには掲載出来ない)。


こんなことを考えながら、すき焼きを食べていました。大変美味しゅうございました。

町内生まれ、町内育ちの牛を町内の食卓で頂く、正真正銘の地産地消。