2012年4月27日

修理の修理

「壁作りまであと一歩」と書いた謎の機械であるが、一ヶ所を除いて何とか動くようになった。その一ヶ所とは「爪」のような稼働部分のことである。
固着した爪
この爪が奥のバネの力によって押し下げられて、爪の平らな部分と周囲の平面が同一の高さにならなければならない。しかし、ヒンジの部分が錆びついて固着しているのでなかなか動いてくれない。

先日修理に来てくれたプロが「こうやって叩くんだよ」と叩き方を教えてくれたので、錆び取り性能のある潤滑剤をこれでもかというくらいに何度もかけて、色々な道具を駆使して連日叩いていたのである。

言われた通りに叩いていたのであった。

この爪は全部で3ヶ所にあり、そのうち2ヶ所はなんとか叩くことによって動き、あと1ヶ所というところまでこぎ着けた。途中でプロに電話をし、指示をもらいながら作業を続行する。

言われた通りに叩いていたのであった。

残りの1つもなんとか動き始めたようで、もう少しで下がり切るというところまで来た。

言われた通りに叩いていたのであった。

何度か叩いたあと、響く音が変わったなと思った瞬間、ガッシャーン、ガラガラという音と共に何かが地面に落ちた。爪の一部であった。プロが「叩きすぎると折れるから注意して」と言っていたのを思い出す。

言われた通りの注意はせずに叩いたのであった。

が〜ん、まっぷたつに割れてしまった爪。こんな部品なんて入手不可能だよな…。もしどこかにあっても取り寄せに掛かる時間と費用を考えるとめまいがして来る。

折れた爪
それなりに厚みのある金属製
修理をしているはずだったが、新たなトラブルを呼び込んでしまい、さらなる修理の必要性に迫られるというなんとも情けない状態になってしまった。連日の踏ん張りは無意味だったのか…。

ということで、壁作りの開始まであと一歩どころか、二歩も三歩も後退してしまったのであった。

2012年4月25日

タラの谷

先日、レッドブックからレシピブックへの転載を期待していると書いたタラノキだが、絶滅どころか群生地を発見した。
タラノキの群生の始まり
群生の中心部分
森の奥のちょっとした谷間に生えるタラノキは、その数300本を越える大群落だ。どれも背が高く、あまり採取されたような跡が無いものばかり。これは誰も知らない秘密の谷なのか?

でも良く考えてみると、ここは地元の人が「あの奥は熊が出るから行かない方が良いよ」と言っていた場所だ。だから誰も採らないのだろうか?本当に熊が出るのであろうか?

ここは何処かと言うと、

見慣れた小屋が…
丘の上に見える森と小屋と電柱。そう、ここは我が家の裏なのであった。いつも掲載している写真とは逆の方角から撮った写真です。

う〜む、やはりクマがスキップしながらでもやって来れる距離ではないか…。

大丈夫なのか?

壁作り

準備に1年以上かかったが、壁作りまであと一歩というところまでこぎ着けた。謎の機械を手に入れてから修理も出来ずに放置していたのだが、この古い機械をメンテナンスできる人を探し回った挙げ句やっと見付けることが出来た。
この機械は相当古く、もはや誰も使わなくなってから30年近く経過している。殆どは破棄されたり、放置されたまま不動品になって倉庫に眠っているので、一般の人が目にすることは恐らく無いと思われる。そんな状態なので修理をする人もいなくなって久しいらしい。今回、修理依頼を受けてくれた人も「もう二十数年前に見たのが最後だったかなぁ」と言っていた。

修理のプロ
修理に先立ってとりあえず掃除をしたのだが、構造が良く分からないせいであまり綺麗にはならなくて、修理に来た人は掃除から始めてくれた。申し訳ない。

大量のゴミを取って現れた歯車
カバーを外し、複雑な歯車のついた部分を見ると、錆びや埃がすごいことになっていたが、破損そのものが無く無事に動くことが確認されて一安心。トワイン(紐)を取り付け、手で動作させてみると、ものの見事に結び目が出来て適当な長さに切られて出て来た。各部の名前が「ビルクリップ(クチバシ状の留め具)」、「トワイン」、「テンショナー」等のように外来語のままのものが多く、この機械の歴史の浅さを現していて面白かった。

各部がサビサビなので清掃後グリスアップを施そうとしたが、この手の機械のグリスアップ方法が分からない。プロに聞いてみるとグリスポイントという小さなネジのような部分にグリスガンを押し当てて注入するのだと教えてくれた。このグリスポイントというのが小さくて目立たず、ましてやこんな埃まみれの状態だとその存在そのものに気が付かなかった。

グリスを注入するガン
ホームセンターで適当に購入したグリスガンだったが、幸いなことにポイントの大きさにぴったりでそのまま使うことが出来た。私はこの先端から出て来るグリス(粘性の高い潤滑油)が出て来るので、歯ブラシに歯磨き粉をつけるようにそのまま歯車になすりつけるだけだと思っていたが、この先端はパッキンがついておりグリスポイントの突出部に押し当てて密着させた上で高い圧力をかけて注入するのだと教えてもらった。ということで、この先端部の大きさは非常に重要だったということだ。適当に買って来た器具がちゃんと使えた数少ない例だな…。

清掃後(変化なし?)
固着部に潤滑材を吹き付ける
とりあえず最小限の動作が確認されたので、ワイヤーブラシを使って細部の老廃物を撤去し、全稼働部へグリスの注入とチェーンや擦れる部分に潤滑材を塗り綺麗に仕上げて、再度調整を依頼することになる。

調整がうまくいけば、後は体力勝負の作業が待ち受けている。全部で6トン、6000キログラム、6000000グラムだ。め、めまいが…。


2012年4月23日

剪定

雪解けも進み、庭先から雪が消えて行こうとしていた。昨年は手入れもせずに放置していたらジャングルのようになったので、今年は雑草が生える前になんとかしなければという気になっていた。
一昨年、庭の中で草刈り機を振り回して草花を大量死させて以来、妻から「庭に入っちゃダメ。絶対に手を出さないこと」と強く言われていたのであるが、雑草も未だ生えていないこの雪解け状態は絶好のチャンスだと思い、禁断の庭の手入れを行ってみた。もちろん、私が手入れの方法等知っている訳は無い。

なかなかの出来栄え
枝が入り組んで成長し見苦しかった名称不明の木を剪定してみると、思いの他綺麗になった。なんとか形になったので気を良くして剪定作業を続行するのであった。

太い枝もばっさりと
 桜(なのか?)の枝も形が変なので思い切って枝を切り落とす。電動ノコギリなので、太い枝でも何の苦も無く切れる。調子に乗った私は、木から木へと移動しながら剪定作業を続けるのであった。

雪の重みで曲がった枝もカット
 完全に「庭師」に目覚めた私は、次のターゲットとしてこの庭の中で一番曲がりくねった木を剪定することにしたのである。

曲がった枝をばっさり

他の枝にまとわりついていた枝も切る

とにかく切る
 パズルのように入り組んだ枝を次々に切って行き、どの枝がどこから生えているのかを見極めながら枝を切り続けた。


大量の枝の残骸が庭先を埋めた頃、このパズルの木は綺麗になるはずであった。

大失敗
が〜ん!最も曲がった枝だけ残っている…。残すべき枝を切り取り、切るべき枝だけを残した結果となった。ダメじゃん。

剪定よりも伐採の方が私には向いているなと、すっかり庭師気分の抜けてしまった私は何か良い言い訳が無いかと考えながら帰路に着いたのであった。 

家に着いたら、言い訳どころか何も言わない内に怒られてしまいました。顔に出過ぎ…。 

離陸せず(3)

このタイトルで3話も続くとは思わなかった。
相変わらず浮いたままの基礎と土台であるが、これ以上離れることも無かったので安心して雪解けを待っていた。気温が上昇すれば凍上(とうじょう:地下の凍結により地面が上昇すること)も解消され、土台の足が元通りに基礎へ着陸(?)する予定だった。

本来基礎の上にあるべき足は、浮いてしまっているために足が基礎石をぶら下げている状態になっている。あまりにも変なので基礎と足を接続しているボルトを緩めて、基礎石だけでも着地させておいた。

浮きっぱなしの基礎と土台の足
ボルトを緩めていると、浮いている足が一本では無いことに気付く。さらに良く見るともっと多くの足が基礎から浮いている。この小屋は全部で6本の足がそれぞれの基礎に乗って地面に接しているという構造なのだが、浮いている足の数を数えてみると…。

南側の全ての足が浮いている
北側も全ての足が浮いている

6本共浮いている!なんということだ、全ての足が基礎から浮いているではないか!

え?

どうやってこの小屋は立っているんだろう?まさか本当に離陸中なのか?

もちろんそんな訳は無く、床の補強のために床下に入れた束が床を持ち上げている状態であった。束は地面に固定されておらず、地面の上に置いただけの状態である。そんな曲芸のような状態でこの小屋はなんとかバランスを取って立っているというのが実情であった。

床下の束群(昨年の工事風景)

大丈夫なのか?

2012年4月11日

部品作り

CADの助けを借りて設計が完了した家の部品であるが、飛んで行きそうになっていた小屋の心配をしながらも先週から作り始め今週完成した。
前回、その武骨なデザインに文句をたれていた私であるが、このように役立つ機械であるのは疑いようの無い事実である。

斜めにセットされた板に穴を開ける
この角度で正確に穴を開ける作業だが、この機械が無ければ不可能だと思う。

斜めの角度で板へ一直線

この線通りに、下部の角に向かって掘削

正確無比
こうして開けられた穴を使って、ネジ釘を打ち込むと



ぴったり狙った位置に顔を出してくれる。穴の角度と位置が正確である証拠だ。こんな穴を斜め38.5度で正確に開けるなんてのは、私には逆立ちしても無理だ。まぁ逆立ちして開けられたら、それはそれで別の職業に就けそうだが…。


ターゲットの中心に下穴を開けて、先程の部品を取り付けると


こんな状態で取り付けられる。穴の位置の正確さもさることながら、実はこの組み付けの精度も先程の武骨な機械のお蔭なのである。その正確さとは、

前後方向

左右方向
まずまずの精度で組み上がっている。作った本人が一番びっくりであった。このブッサイクな機械は値段も驚きなのである。これだけ役に立つ立派な機械なのに、送料込み、税込みでたったの8,400円。おまけに5段変速で固定バイスも付属する優れものである。いやー、買って良かったよ。

上から見た図

横から見た図

これを何度か繰り返すと、


なんと言うことでしょう、階段が出現したではありませんか。それも部屋のド真中に…。空間の魔術師、動線の匠が見たら腰を抜かして飽きれるような設計である。ははは。

まあそんな細かいことは気にしないので、このまま作業を続ける。

2階の床を切る
次に2階の床をばっさりと切り取る。床を切っているときは半信半疑であったが、うまい具合に階段の最上段の位置に開口部が出来た。これで階段の完成である。2階の部屋も中途半端な位置に階段の開口部が出来たので非常に邪魔で危険である。

何もしなければ有効に使えていた空間が、私の手に掛かるとあっと言う間に無くなっていく。「空間の浪費家」の真骨頂である(うそ)。

まあ確かに邪魔な階段になってしまったので、前回予告した機械を取り付けて解決を計ることにした。それは、跳ね上げ式階段。

謎のロープと浮き上がる階段

前回登場した謎の機械(位置は仮設)
グイーーーン!

385Kgまで耐えられるそうだ

このウインチを巻き上げると、階段が天井に向かって上昇するのである。普段は部屋の真中で非常に邪魔な存在の階段も、ウインチを回せばあっと言う間に目の前から消える。忍者屋敷もびっくりである。

自分達だけさっさと2階にあがり階段を上げてしまえば、2階へ移動する手段を封じ込めるのでいざと言うときに役に立つであろう。国税局に家宅捜索された時とか…。

離陸せず(2)

その後、この小屋は台風並の悪天候に見舞われた。基礎が浮き上がった状態ではとても耐えられなかっただろうと覚悟しながら翌日現場に行ってみた。意外(?)なことに小屋はビクともせずに以前と同じ状態であった。
今度も離陸せずに済んだようだが、逆になぜ無事だったのかが気になって仕方無かったのである。気温も上昇して雪解けが進み、小屋の基礎部分が良く見えるようになっていたのでしばらく観察していると、驚愕の事実が判明したのである。

小屋の下に走る大きなヒビとクレータ状の壁

なんと、小屋が浮いていたのではなく牛舎跡の基礎そのものが割れて変形していたのである。つまり、この足の部分は通常より上に移動したのではなく、下のコンクリート基礎全面が地盤沈下のように下がってしまったのである。その結果、この足部分が浮いているように見えただけだったようだ。

したがって(?)、小屋そのものにはダメージが無く先日の嵐にもビクともせずに立っていたという訳であった。私が設計施工したにもかかわらず、変に頑丈な小屋であった。規模が小さいので大きな建物に対し相対的に強いのは分かるが、素人設計&不器用施工の割には丈夫な奴である。

昨年、小屋を建てて暫くの間は「倒れていませんように」と祈るような気持で現場に向かっていたが、この冬の積雪に耐えた時点で安心していた矢先の嵐だったので、久しぶりに覚悟を決めていたのであった。

ところが、今度は逆に大丈夫だと思っていた壁が剥がれていた。どうやら下地の壁と上塗りの漆喰いの間に水分が入り込み凍結して浮き上がってしまったようである。同じ塗り方をした部分は全滅であった。この工法は不採用にしよう。やはり雨風よりも低温の方が予測が難しい。