2014年12月25日

さんたまご

朝から小雪が舞うクリスマスイブ、私達は久しぶりに140Km離れたあの場所へ向かったのであった。

まずは腹ごしらえにジンギスカンを食べる。この店は遠い場所にあり、なかなか行くことが出来なかったのである。そこは大昔、恐竜が跋扈していた時代(うそ)に十勝平野を走っていたとされる十勝鉄道の十勝清川駅跡近くにある。

食べるのに夢中で写真はこれだけ
ここは材料が無くなり次第閉店する繁盛店であり、私達が食べ終ると同時に閉店となった。もちろん私達が食い尽くしたという訳では無く、訪れた時間が遅かったというだけである。

お腹も一杯になりしばらく走っていると、ちょうど鶏の唐揚げで有名な店の近くに出た。せっかく来たんだし、今日はクリスマスイブだからということで鶏一羽の半身をまるまる揚げたものを注文する。とても食べ切れないし余ったら持ち帰りにしようと思っていたが、美味しかったので完食であった。お腹が苦しい…。

目的地までまだ道半ば、pH9.5の湯が湧き出る温泉があるので腹ごなしを兼ねて入ることにする。ここは大昔、ナウマン象跋扈していた地(本当)であり、正式な源泉名も「ナウマン温泉」である。その隣はナウマン公園であり、その奥にナウマン公園パークゴルフ場、ナウマンキャンプ場、さらに行くとナウマン記念館があり、その前の道はナウマン国道である。もう辺り一面「ナウマン」の嵐であり、標識や看板を見ているとナウマンの文字がゲシュタルト崩壊してしまいそうになる。恐るべしナウマン。

お腹も一杯になり温泉に入ってさっぱりした私達は、今度こそ目的地へ向かおうとしたが、途中に謎の販売機があることを思い出したので寄り道をしたのであった。その販売機とは鶏卵の自動販売機である。初めてそれを見たときには割れ易いタマゴをどうやって販売するのか不思議で仕方無かったのである。

「新鮮!」たまごの販売機

扉が開く仕組みだった
色々調べてみるとそれ程珍しいものでは無いらしく、色々な会社(株式会社ウリュウ三友機器株式会社)が工夫をこらした機械を販売している。


たっぷり入って300円
 訳ありのB級品が200円、双子卵が300円、通常品質のものが300円であった。前者の2種は人気商品らしく売り切れであったので、普通の卵を買う。双子の卵ばかり入ったパックってあまり聞いたことが無いけど、ひとつひとつ中を確認して選別しているんだろうか?結構な手間だよな…。それに双子の卵ばかりが必要な人ってどういう理由で買うんだろう?新たな謎を呼ぶたまご販売機であった。

モヤモヤが残ったままではあるが、謎の販売機の構造も分かり卵も買えたことだし、今度こそ本来の目的地へ向かうことにする。


そもそも、なぜその場所へ向かっているのか?それは、残念なことに今年は原野の師匠がクリスマスパーティーをしないそうなので、困った私達はその次にクリスマスイブに相応しい場所へ行くことにしたのである。

その場所とは、ノルウェー・サンタランド公認の国外施設である広尾サンタランドである。本物のサンタランドの親戚のようなところなので、まあクリスマスらしさは十分である。ここには都会の喧騒も無く、渋滞も無く、人混みも無く、煩いクリスマスソングが渦巻くことも無く、小高い山の上の白銀の世界に浮かび上がるクリスマスイルミネーションがとても綺麗なところである。

サンタランドと街の夜景



サンタランド頂上


どこにでもありがちな鐘


雪に埋まる道標
 
素朴で可愛いサンタ・アート展

駐車場もイルミネーション
 ここでクリスマス気分を満喫した私達は、お土産を買って140Km先の我が家へ向けて走り出したのであった。あとは、ライトアップした庭のクリスマスツリーを見ながら、隣家のチーズ工房で作ってもらった特製スモークチーズを食べながらワインを飲んで寝るだけである。

2014年12月15日

飾り犬

外気温は連日氷点下2桁を記録しており、最高気温でさえマイナス5℃程度。でも、風が無いと暑いくらいの日差しがあり上着無しで散歩が出来る。

先日、ツリーの飾り付けをしてなんとなくクリスマス気分が漂っている我が家の庭である。東京や大阪にいた頃はクリスマスツリーを室内でしか鑑賞できなかったが、北海道だと庭に何本でもディスプレイ出来る。おまけに、木を切り出さなくても生きている木そのものに飾り付けられるので大変エコでもある。

飾り付け完了!
飾り付けはテキトーだけど、庭の中央にあるので眺めはとても良い。今日も何気なく庭に目をやると、ツリーの様子がいつもと違っていたのであった。

ツリーに異変が…
何か大きなモノが…
ロ、ロプノール、お前かい!
どうやって登ったのか知らないけれど、器用にツリーの枝に足をかけてしっかりクリスマスの飾りになりきっていた。何が彼にそうさせたのか、登ってみてどうだったのかはさっぱり分からないけれど、とても満足そうだったのでしばらく観察をしていた。

もう飽きたから…。

ひっかかって出られないんですけど…。
そのうち彼も飽きたようで、枝の上から下りて来た。と思ったら、リードがひっかかって半分逆立ち状態になっていた。慌てて助けに行ったけれど、ロプノールは満足そうに尻尾を振って喜んでいた。変な犬。

どうやら彼はツリーの飾りがキラキラ光っているのが気になったらしく、いくつかの装飾を噛んでボロボロにしていた。

2014年12月1日

薪・薪・薪

今年の春先、近所の人から「お宅のペチカ(薪ストーブ)用にうちの森の木をあげよう」と言われていた。薪が手に入るのは嬉しいのだが、木を切ることもその木を運ぶ手段も技術も体力も道具も何も無い私はどうすれば良いのか分からないまま時間が過ぎて行った。その後も何度かそんな話が出て来たんだが、やはり何の解決策も思い浮かばないまま夏になり、秋になった。

11月も終りに近付いたある日、突然我が家の庭に薪が出現したのである。

大量の木!
ダンプカーで10杯分!
もう辺り一面大量の木で埋め尽くされていた。
切った木をトラクターで持ち上げて

ダンプカーに載せて

運んでくれた
木を切って、積んで、運んで、庭に降ろすところまで全て森の持ち主がやってくれたのである。私がモタモタしている内に、話だけでなく作業も進んでいたのであった。

当初の話では、森から木を切って畑の横に置いてもらった後は、自分で小さく切ってゲンヤー号で少しずつ運ぶという段取りであった。しかし、いつまで経っても何も出来ない私を見兼ねて運搬までしてくれたと言う訳であった。どうもありがとうございます!

結局、他の人達にも声をかけてくれて、私を含めて4人で残りの木をもらうことになったのである。その中には林業経験者もいるし、何より森から木を切って運び出す技術と体力と道具を持った人ばかりだったので大変助かりました。

1人目:4WD車にチェーンソーを載せて来た
2人目:4WD車にチェーンソーとウインチを載せて来た
3人目:4WD車にチェーンソーと斧、ロープを載せて来た
私:2WDのゲンヤー号で森の入口にすらたどり着けなかった

そう、チェーンソーすら持っていないのは私だけでであった。おまけに道路から森まで1Km程あるんだが、当然未舗装(と言うより畑の中)なので4WD車以外は走れない。何の道具も持たず、入口付近で途方に暮れている私であった。

この森の木を全部もらった
少しずつ切り出している
これから週に2回程みんなで集まって木を切り出す作業を続ける予定である。4人でこのペースで切ってもかなりの時間がかかるであろう。しかし、伐採期限は3年間なので何とかなるかも知れない。

それにしても、自分の必要なものが何の努力もせずに向こうからどんどんやって来るこの環境は素晴らし過ぎる。なんてラッキーなんだ!

問題は一つだけある。それは、まだ薪を燃やすストーブが完成していないということだ。完成どころか、まだ何も作っていない。材料だけが昨年から放置されたままである。一体いつになったら完成することやら…。ペチカが完成する頃には薪もきれいに乾燥しているだろう、と負け惜しみを言っておこう。

Lop-Nur (6)

夜は家の中で寝ていたボクだったが、身体の成長も一段落したということで夏用の家を作ってもらったのが7月頃だった。

こんな小さな設計図で

とてもテキトーに作っている

ウッドデッキ付きの家
身体の小さなボクには少し大きな家だったけど、文句を言っても作り直してくれる気配が微塵も無いので何も言わなかったよ。この家が完成した日から、ボクはずっと外で暮らすことになった。初日は寂しくて一晩中鳴いていたけど、次の日から普通にこの家で機嫌良く暮らしていた。

夏用の家って言っていたけど、冬になったら冬用の家が出来るのか?自分の家も完成していない飼い主がボクの2軒目の家を作るなんて信じられない…。案の定、9月になっても10月になっても、一向に冬用の家を作る気配が無い。11月になり、外気温が氷点下になりそうなある日、壁ばかり塗っていた奴等が突然何かを作り出したんだ。

なんか変な形
二重の底らしい
やっぱりワラを使うのか…
どうやらボクの家らしいんだが、形が変だし自信満々に作っているあたりが何だかボクには不安で仕方が無い。

こ、これがボクの家?
全体は12mmの板で囲まれており、床は二重構造になっている。天井と底にはアルミ蒸着シートが一面に貼られていて、ボクの身体から出る熱が外に逃げないようになっているらしい。おまけに床の中には大量のワラがギューギュー詰めに入っていて、断熱効果があるらしい。入口がとても狭く、上部に空間が広く取られているのは、家の中で発生したボクの熱が上部に溜り易いようになっいて、入口から逃げ難いようになっているらしい。また、入口の前には風避けの変な空間が開いていて、入口付近にやって来た風が、空気の運動エネルギーを静的な圧力に換えるラムエアー効果によって家の中に冷風が入り込まない構造になっているらしい。そのため、空間が奥に行くに従って狭まっているらしい。

なんだかんだと理屈をこねて作ったようだが、その効果はあまり期待しないでおこう。それに、入口付近に壁を作るのは原野の師匠にもらったアドバイスそのまま実行したに過ぎないことは内緒にしておいてあげよう。

で、肝心の家の出来栄えなんだが、はっきり言ってボクには暑過ぎる。ボクは寒さが大好きだし、身体中がフサフサの毛で覆われているので、こんな家は必要ないかも。それで夏用の家の方で寝ていたら、「せっかく作った家を使わないのは悔しい」と言う身勝手な理由で夏用の家は撤去されていしまったんだ。仕方が無いので暑さを我慢して冬用の家を使っているボクです。

2014年11月28日

壁塗り


7月29日から始まった壁塗りであるが、8月も塗っていた。9月になっても壁を塗り、10月になってもひたすら塗っていた。気温は日に日に下がるが壁塗りは遅々として進まないまま11月に突入したのであった。

このまま行けば今年も壁は完成しないのでは無いかと危惧していたが、そんな予想ははからずも的中するというものだ。11月のとある日、とうとう外気温が氷点下になってしまったのであった。もうこれ以上漆喰を練ったり塗ったりが出来なくなってしまい、今年の作業は終了となったのであった。

漆喰の壁塗りは、ストローベイルという藁の塊を積み上げた側面に、麻ヒモで格子状の下地を作り藁のすき間が大きい所には粘土質の土と藁を混ぜたものを詰める。その後、はみ出た麦藁をトリミングし、ようやく漆喰の下地塗りが始まる。下地が乾いて藁と強固に結合した頃に中塗り、そして仕上げ塗りを行ってようやく完成するという気の遠くなる作業なのである。

極太の麻ヒモで編み上げた壁

左から下地塗り、中塗り、中塗り、仕上げ塗り
この作業をひたすら繰り返していたのであった。漆喰の量は、昨年が75Kgを11回で約800Kg、今年は75Kgを43回塗って約3300Kgであった。水分が重量比で20%あるので、結局壁には3トン強の漆喰が塗られたことになる。藁が6トン程度だったので、相当な重量が床と土台、基礎にかかっているのである。丹念に強度計算を行い綿密に床の補強工事を行った上での壁塗りであるが、所詮素人の作業なので不安が一杯である。

 とても大変な作業ではあったが、実労時間は2人で25日程度であった。それなのに3ヵ月半も費したのは、やはりというか途中で飽きてきたからであった。ただひたすら壁を塗るというのはあまりにも単調で面白味の無い作業だったのである。忍耐、努力、継続などという面倒な単語が頭をよぎらない私達は、あっさり作業を中断し全力で遊びに行ってしまうのであった。結局、約100日間の内、75日は休憩か遊んでいた訳である。家が完成する訳が無い…。

のんびりしていると、人は「日が暮れてしまうよ」とか「年が明けちゃうよ」などと言うが、我が家には新しい格言がある。それは「早くしないと生えちゃうよ」である。


入口横の壁に土を塗り込めた
この壁に土を塗り込めたのは良いが、そのあと遊びに行ってしまい作業の再開が遅れに遅れたのであった。
壁から何かが…
ある日、壁から見慣れぬ緑の物体が出現したのである。それは…。

ズーム
藁の中に残っていた麦粒が土と水分のせいで発芽し、さらに成長して苗になっていたのであった。こんな所で発芽するんじゃない!と思いつつも、せっかく生えて来たんだからと可哀想になってプランターへ移植して育てることにした。

と言うわけで、のんびり家造り作業をしている内に壁から発芽した挙げ句に壁塗りが終らないまま今年の作業は終了しましたとさ。

とりあえず塗り終った

2014年9月29日

壁塗り


我が家の壁は漆喰と呼ばれる塗り壁である。なぜ塗り壁なのかと言うと、それは壁がワラで出来ているからである。一般的にはストローベイルハウス等と呼ばれているものであり、ワラを圧縮したブロックのようなものを積み上げて壁構造としているのである。

ワラでできた壁

そこに漆喰を塗っていくのだが、これが一筋縄ではいかないやっかいな代物なのである。外気温が低いと水とうまく反応しないし、ましてや氷点下ともなれば全く手も足も出ない。そんな訳で冬の間は建設作業が全く停止しており、全力で冬眠生活を満喫していたのであった。

やがて春になったのであるが、外気温がまだまだ低い。多少暖かい日もあったが、この地域では油断出来ない季節が続いていたのであった。グダグダと言い訳をしながら遊んでいる内に、春が終り夏がやって来た。日に日に気温が上がり、とうとう天気予報が今年の最高気温を記録しそうだという7月下旬、やっと重い腰を上げて壁塗り作業を再開したの であった。

漆喰を練る
漆喰の作り方を思い出しながら炎天下で漆喰を練る。砂と粘土、消石灰、水、秘密の混ぜ物を混合し、程良い粘り具合になったところで壁に塗るのである。この練り作業が35分間、出来上がった総重量75Kgの漆喰をワラに塗り込めるのに約2時間かかる。

ひたすら塗る
 これが下地塗りであり、漆喰の厚みは3〜5cmもある厚い下地になる。お蔭様で75Kgの漆喰を塗っても畳1枚から2枚程度しか塗れない。ひたすら練って塗ってを繰り返す作業が続くのである。それも今年一番の暑い日にである。こんなことならグダグダ言わずに春からやれば良かったと昨年と同じ失敗を繰り返す私であった。

仕上げ塗りと照明
1週間から10日経過し、ワラに密着した下地が十分乾いた頃に中塗り、そして仕上げ塗りを行う。ワラのデコボコ面に石灰岩から出来た漆喰を塗ると、照明の光が複雑に反射し、まるで鍾乳洞の内壁のような趣のある壁面に仕上るのである。

まあ、このためだけに面倒なワラ積みや漆喰塗りをしていると言っても過言では無い。乾燥が進むにつれ、色味もグレーから白に変化し照明の反射もより美しくなる。

という訳で、今年は7月29日が仕事始めとなり遅々として家作りは進んでいないのであった。

2014年7月11日

Lop-Nur (5)


僕は時々ゲンヤー号というかっこいい車に乗せられて、遠くへ連れて行かれるんだ。動物病院という所らしいんだが、ここで何をしているかさっぱり分からない。みんな愛想が良くて頭を撫でてくれるんだが、食事をくれる訳でも無いし、僕と遊んでくれる訳でも無い。


ゲンヤー号の指定席

何をするんだ!
背中に何かしているのは、ワクチン接種や狂犬病予防注射とか言うらしいが、痛いだけでつまらん。おまけにお尻の中に体温計とやらを黙って突き刺しやがる。ここは楽しいことなんか何も無いから、あんまり好きな場所ではないぞ。

4月25日に戻って来たペモペモ

この家には僕と飼い主2人以外に、どうやらもうひとり住人がいるみたいだ。飼い主はペモペモと呼んでいるので、きっとそれが名前だと思う。ただ、こいつは空を飛ぶので一緒に遊べない。いつも木の上でピーピー鳴いている。他の鳥は僕が近寄ると逃げるけど、このペモペモだけは木の上で涼しい顔をしている。あいつも「お手」とか「お座り」とかできるんだろうか?



Lop-Nur (4)

夜は家の中に入れられるけど、明るい時間帯は庭で遊ぶのが僕の日課。
クリスマスツリーの下で
この場所が僕のお気に入りで、走り回ったりおもちゃを埋めたり、穴を掘ったりして毎日遊んでいる。日差しの強い日や小雨の時はちょうど良い傘の代わりになるんだ。そしてここからだと正面が家のリビングルームで中の様子が良く分かるんだ。僕は、飼い主がちゃんとご飯を食べているか、遊んでばかりいないかをしっかり監視している。この飼い主は二人とも家を作っていると公言しているようだが、僕が見ている限りただの一度も家作りをしていない。どうなっているんだろう?

きっと、家を作る技術は無いんじゃないかな。だって僕の家も全然作る気配が無いんだもん。まあ、僕にはこのクリスマスツリーがあるし、夜は玄関の中にある家に入って寝るから大丈夫なんだけどね。

早く家を作らんかい!

Lop-Nur (3)


雪も無くなって春がやって来た。ようやく周囲の様子が分かって来た。どうやら家の周りは牧草地帯でやけに広い所だ。おまけに小川もあって、探検するにはちょうど良い感じ。

東京ドーム3個分の広さと言われても…

生まれて初めての川

飼い主はここでリードを外して遊んでくれる。僕はまだ小さいので、どれだけ一生懸命に走っても走っても走っても、いつまで走っても飼い主が見えている。この緑色の地面はどこまで続いているんだろう?

走ったり転んだり吠えたりお手をしたりと忙しい僕。そして喉が渇くと小川に下りて行って冷たい水をたっぷり飲むんだ。おいしい。

お手を覚えました