2012年6月29日

農繁期

天候も回復し、藁塊作成作業も順調に進んでいた。気温は25℃から28℃。湿度は50%前後なので汗をかいてもすぐに乾いてしまうので発汗量が分かりにくい。
こんな時は脱水症状に陥り易いので、定期的な水分補給が欠かせない。と、過去に砂漠を横断している時に学習した私であった。あの時は気温50℃前後、湿度20%程度だったので、ものすごい勢いで身体から水分が抜けて行ったのでとても驚いたことがある。水を飲んでも飲んでも足りません状態だったのである。それなのに排出の方は全くなかったので、飲んだ水の殆どは汗となって出て行ったのであろう。

それに比べれば今回は大したことは無いと思うけど、注意するに越したことは無い。

午前中の作業を終えて、我が家の敷地まで戻ってみると、そこには沢山の巨大農業機械が蠕いていた。

我が家の入口付近に屯する農業機械たち

牧草の収穫
香辛料メーカーのような名前

10トンダンプカーが小さく見える程の巨大機械で、ジャガー製やらベンツやら輸入車ばかりであった。国産品は規格の関係で小さすぎて効率が悪いらしく、一回りも二回りも大きな機械で大量かつ高速に牧草の収穫を行っていた。

例えば、このジャガー製のハーベスタという機械は、ベンツ製V8エンジン搭載、排気量16,000cc、653馬力、車高5.6m、自重12トン。燃料タンクに至っては1,350リットルという、ガソリンスタンドで間違って「満タン!」と言っちゃったら「はい、15万7千円になります」と言われる容量である。

ちなみに、給油はこちらからガソリンスタンドに行くのでは無く、給油車が現場まで補給しに来てくれるそうだ。

大きいとしか言いようがない
こうやって人間と比べるとその大きさが分かる。運転席まで階段を7段も登らないとたどり着けない高さである。そんな機械達が我が家の裏庭で作業していた。もう圧巻である。

一度に6トンの草が入る
6トンの草をかき集めてバスケットに放り込むまで30秒程度。数ヵ月かかって6トンの藁と格闘し続けている誰かと大違いである。

我が家の裏庭(作業前)

我が家の裏庭(作業中)
カゴに満杯の牧草をダンプカーへ
トラクターの油圧で一気に持ち上げる


普段、巨大だと思っていたトラクター(赤色)も、他の機械に比べると特に大きい訳ではないことが分かる。
巨大機械の運転席から見た我が家の森と小屋
この草列を一気に吸い上げる
ダンプカーが眼下に見える
農作業の邪魔にならないようにと大人しく写真を撮っていたつもりだったが「良かったら乗ってみるかい?」と誘われてしまった。邪魔をするつもりは無かったけれど、こんなチャンスは滅多に無いと思い二つ返事で乗せてもらうことにした。そんなに乗りたそうな顔をして見ていたんだろうか?顔に出過ぎ…。

下から見ても面白かったが、乗ってみるとそれはそれで別世界のようであった。

運転席(カタログ写真)
操作パネル(カタログ写真)
視界は広く、エアコンが効いてとても快適な空間でテレビゲームのようなパネルとコントローラーで操作する車内は近未来的でさえあった。殆どがコンピュータコントロールで行われており、簡単な操作で自動的に作業が進んで行く。各機械のオペレータ達は、インカム(無線機)で互いに指示をやり取りしながら作業を進めて行く。見事な連係作業。

上空にはタカ?ワシ?トンビ?がいる
とりあえず猛禽類
牧草の蔭に隠れていたウサギ達が、刈られた牧草の間を必死で逃げ回っている。それを狙う猛禽類が沢山上空で待機しており、出て来たウサギめがけて急降下を繰り返す。

刈り取りの終った農地とシャボン玉
牧草の収穫が終った草地とNIKI TIKIのシャボン玉。

ゲンヤー号の荷台に沈む夕日とサンピラー現象
巨大農業機械に乗ってはしゃいでいたせいで、午後からの藁塊作成作業を放置したまま一日が終ってしまった。まあ、こんな日があっても良いかも。

帰り道でサンピラー現象に出会った。写真では分かり辛いが肉眼ではかなり綺麗に見えていた。結局、自宅に着くまでの45分間、西の空に太陽柱が立ったまま日没を迎えた。

近所探索

機械の修理も順調に終りこれで一気に作業が進むと思っていたが、思わしく無い天候が続き、湿度の影響を大きく受ける藁塊作成作業は中断せざるを得ない。気温も低く、太陽がなかなか顔を出さない不安定な天気であった。しかたが無いので、普段あまり訪れることが無い近隣の景勝地めぐりをして過ごしていた。
清水町という所で、観光客はまず通ることはないだろうなと思われるようなロケーションに日本離れした公園をみつけた。一見すると、どこにでもありそうな公園だが、木や芝生の様相がアメリカの公共の広場や公園と同じ作りであった。

マディソン市にある公園に似ている

以前住んでいた家の裏にあった公園にそっくりで、なんだかとても懐かしかった。

町民無料還元…。


「持って帰っても良い」という発想は素晴らしいが、細かいルールが列挙されている辺りがいかにも日本的な感じ。

途中で見付けた廃校
講堂か体育館だったのか?
途中で廃校跡をみつけたので立ち寄ってみた。山間の狭間にひっそりと佇む姿は当時の面影を残すんだろうなと一瞬思ったが、良く考えてみると当時の様子なんてこれっぽっちも知らない私には良く分からなかったのであった。残念。

帰って調べてみると、36年前に廃校になった体育館跡だった。
芽室町上芽室
”明治37年創立、昭和51年72年の歴史を閉じ、新設の芽室西小学校に統合した。閉校時の児童は12名、校長は川口幸一氏であった。昭和31年まで御影村、その後一時清水町に所属したが、町村合併の余波を受け、昭和33年芽室町に編入された。昭和48年開校70周年記念式典を行い、記念碑を建立した。揮毫は芽室町長中原孝一氏である。廃校後校舎を解体、地域福祉館とし体育館は残す。

天候に左右される作業を行っている期間は、スケジュールが遅れていても焦らずのんびり天候の回復を待つしか無い。近所を探索したり、飲んで食ってエネルギーを蓄えておかなければならないのである。ということで、今夜は居酒屋っぽい夕食にしよう!

特大ホッケの下半身切断焼死体
近所のスーパーへ行ったら特大ホッケが安かったので買ったのだが、北海道のスーパーの「特大」表記は本当に特大であることを忘れていた。魚焼きグリルにも入らないので後半部分を切って焼いてみたが、それでも皿から溢れそうなサイズであった。脂が乗ってとても美味しかったが量が多すぎた…。これで398円とは恐るべし。

北海道に来るまで、ホッケは開きしか見たことが無かった。水族館で泳いでいるホッケを見た時は爆笑してしまったことを思い出す。縦二等分に切断された焼死体と生きた姿のギャップがこれほど激しい生物も他にいない。一度だまされたと思って水族館に行ってみると良い。絶対に笑えるよ。

2012年6月15日

修理再び

度重なる修理とエネルギー問題を乗り越えて壁作りの軌道に乗ったかに見えた謎の機械であるが、本日新たな問題が露呈したのであった。
今日は労働力を増強して2人で作業を行おうとしたのだが、藁をほぐして大量の藁山を作成し藁山へのダイブを繰り返し楽しんだ後、最初の藁を投入した時点で機械は停止してしまったのである。何やら悪い予感が…。

藁の山を停止した機械
修理を試みる皮下脂肪人
今日の故障は、トラクターとの連結部分である。動力が機械にうまく伝わらないようになってしまい、てんこ盛りの藁山の前で虚しく空回りを続けるだけであった。安全装置であるシアーボルトが折れたのか?ユニバーサルジョイントの接合部が破壊されたのか?ギアボックス内で歯車が破壊されたのか?

何度も修理を繰り返している内に、故障箇所にだけは詳しくなってしまった私は一生懸命その該当箇所を探した。その結果、ユニバーサルジョイント内のラチェット機構が壊れて空回りをしていることを発見した。

早速、その部分を外して修理工場へ持ち込もうとしたが、やはりと言うか何と言うか、このボルトもミリネジでは無く憎たらしいインチサイズであった。14mmのレンチは入らないが15mmのものだと緩くてボルトの頭を痛めそうなサイズ。おそらく9/16インチと思われる、ボルトの頭より先にこちらの頭が痛くなりそうな大きさであった。

14mmと15mm、どちらも合わない
嫌なサイズのボルト
9/16インチであった
こんな変則的なツールは持ち合わせていないし今後も購入する予定が無いので、いつもお世話になっている8Km離れた工場へ工具を借りに行き、無事に外して再度壊れた部品を持って工場へ戻った。

壊れた部品を外したあと
壊れた部品の一部
壊れた部品の全体像
結局、このラチェット構造(正式にはワンウェイクラッチ)部分のピンを押し込むバネが経年劣化でうまく動作していなかったのが原因であった。さすがの修理工場も、こんな古い機械の細かなバネまでストックしていなかったが、そこはさすがに機械のプロである。頭の中のデータベースを駆使して、その大きさ、固さの似たバネを使用している部品の在庫の中から見当を付けて捜し出してくれたのである。

新品の部品からバネだけ外して使うのはちょっと勿体無いということで、その部品のバネのサイズを計り、さらにそこから似た部品のバネだけを探し出してくれたのである。お蔭で安価で確実に修理が出来、その元通りになったユニバーサルジョイント(15Kg程か?)を抱えてゲンヤー号に乗って壁作成現場に戻ったのであった。

その後、空気中の湿度を気にしながら、1ロール分の藁塊を作成して今日の作業は終了した。結局、作業時間の8割以上を修理に割かれたが、初めて行う2人の作業は格段に効率が良く、あっと言う間に終ったのである。

輸入版のマニュアル!
もうお世話になりっぱなしの修理工場であるが、4月からずっと面倒を見てくれているここの社長は、なんと私の機械のマニュアルを探してきてくれたのであった。びっくりすると同時に感謝の気持で一杯であった。こんなもの、私がいくら探しても入手不可能だよな…。

ご厚意に甘えて、しばらく私の手元にお借りすることになった。もう隅から隅まで読みまくりである。いやー、すごいものを借りられた!


2012年6月12日

エネルギー問題(2)

今直面している問題は投入するワラの量が根本的に不足していることである。そして、その不足が充填不良となり、結果として藁塊に偏り(欠け)が生じるという解決方法が無いのではないかと思える状態になっている。
なけ無しのエネルギーを使って動いている私に、これ以上の体力を要求する作業は無理である。つまりエネルギーの絶対量は変化しそうにない。それなら、少ないエネルギーで効果的に作業するには効率を高めれば良いはずである。ということで、まずはエネルギー消費の内訳を調査してみた。

350Kgのロールを解体するのに約20%、藁の山に気が済むまでジャンプして遊ぶのに35%、藁をほぐして機械前に運ぶのに15%、藁をフォークで機械に投入するのに30%のエネルギーを消費している。

どれも必要不可欠な要素であり、エネルギー配分にも問題無さそうである。さらなる効率化を目指そうにも、これでは改善出来る余地が無い。

次は、問題の藁投入タイミングを改善することを考えてみた。圧縮工程の前の充填工程へ十分な藁が供給されていない、というのが根本的な問題なのである。既に上記で述べたように、充填速度を上げることは不可能に近い。そうなると残る手段はバッファリングである。つまり細々とした藁投入を一度どこかに溜めておき、十分な量が溜った直後に一気に次の工程へ向けて開放するのである。

要求量が20である機械に、5の供給量を続けても無駄である。しかし、5、5、5、5と溜めて、その量が20になった時に一気に供給すれば、「供給量=要求量」が成り立つということだ。もちろん供給の絶対量が増える訳では無いので、必要エネルギーも変わらない(はず)。機械の側から見れば、供給量が0、0、0、20という不連続な状態になるが、単なる圧縮機械であるのでその不連続性が問題になることは無い。強いて言えば、供給量が0の時のトラクターの燃料消費が無駄になるだけだ。

ということで、ここまでかなり浪費してしまった藁ロールであるが、3個目に突入した。

3個目のロールを解体開始

いつものように藁を集める

ここからバッファリングの開始である。機械の投入口付近に藁の山を作る。

150cmの高さの山


もう機械が藁に飲み込まれそうな勢い

後ろから見ると、既に飲み込まれているかのようだ。このタイミングで機械を動かし始め、溜りにたまった藁を一気に投入する。すると、これまで聞いたことが無かったような、機械が苦しんでいるようなうなり声を出して藁塊を作り始めたのである。

一気に投入した後
ものすごい勢いで藁が飲み込まれたかと思うと、あっと言う間に藁の山が消えた。これまでのチマチマした作業とは雲泥の差であった。そっか、この機械はこんなにパワフルだったんだ…。

ちなみに、機械の横に見える板はゲンヤー号を頂いた時についでにもらった板である。これをバッファの仕切り壁として使ったのである。これまでも十分役に立ったが、こんな時にも使える板だったとは。恐るべしゲンヤー号!

出来上がり
藁の山が消え、その結果の藁塊はものの見事に綺麗な形状で出来上がった。もちろん偏りの問題もほぼ解決していた。15個作って14個の成功率である。残る1個も使えなくは無いので優秀な結果だ。

ものの見事に成功したバッファリング方法であるが、実はこの方法は前出の農家の方のアイデアである。結局、問題の分析、原因追求、そして解決方法まで教えてもらったことになる。もう感謝の言葉もございません。

ということで、何とか前に進み出しました。

2012年6月9日

エネルギー問題

昨今、話題に上がる事が多くなったエネルギー問題であるが、我が家でも深刻な問題として浮上して来た。なんとか解決しないと、今後の家作りに大きな影響を与えることになる。
もちろん私が問題にしているのは、原発問題や石油資源のことでは無い。

先日の整列藁の欠ける問題の原因が分かったのである。そして、それは驚愕の事実であった。

昨日、この問題を近所の農家の人に相談してみたのである。出て来る藁の塊が時々うまく行くことや、片側に欠けの問題があること、機械に左右のバランスの悪いところが無いことを伝えたところ、ほぼ即答で「藁の充填密度が疎になるのは右側でしょ?」と鋭い指摘を受けた。実際、その通りである。おまけにその欠け具合の様相まで指摘された通りであった。

彼は、この機械の構造、その問題点、実際の使用方法と私の使用方法の相違点、欠けの問題の発生するメカニズムを非常に科学的かつ論理的に説明してくれた。お蔭様で私は大変良く理解出来たのであるが、同時に大きな衝撃を受けたのであった。

原因は、藁の投入速度および量が致命的に遅い/少ないということであった。機械の調子や藁の品質のせいでは無く、ましてや月食も全く関係なかった(そりゃそうだ)。

が〜ん、私の体力が無さ過ぎということではないか…。もっと多くの藁をもっと早く投入し、それを継続的に続けるのが唯一の解決方法なのである。しかし、それを行うだけのエネルギーを持ち合わせている私では無い。

深刻なエネルギー問題である…。

何とか他の方法を考えようとしたが、相手があまりにも大きすぎるのと危険度が非常に高い機械であるので、中途半端な工夫をした所で根本的な解決にもならず、下手をすると危険なだけであるので諦めざるを得ない状況だ。

量が少なくて奥まであまり届かないのが原因だったとは…

作業場所が狭いので、人数を増やしても処理速度が向上する訳ではない。ここは屈強な若者に作業を交替してもらうのが唯一の解決方法なのかも知れない(おい!)。

エネルギー補給イベント
パーティー会場の庭に咲いていた花
パーティー会場の庭に咲いていた花
一昨日、182Km離れた原野の師匠と友人達のBBQパーティーにお誘いを受けて参加して来た。せっかく仕入れて来たエネルギーも、それを作業に生かす「エネルギー変換部」である私の体力がしょぼいので、ただの皮下脂肪として蓄積されただけに終ってしまった。

でもまあ、藁整列作業用エネルギーが不足していようと、補給エネルギーが全部脂肪となろうと、楽しいパーティーに参加出来て家作りのモチベーションが大幅にアップしたのでとても満足。

こうして我が家のエネルギー問題は、その解決を先送りにされて行くのであった。

2012年6月5日

整列藁とルナエクリプス

あれから、連日のように謎の機械を調整しながら藁塊を作っている。固さの調整、大きさの設定、作る速度の向上など、そこそこうまく行っている。この機械の本来の目的である酪農用のベイルであればこれで十分、という所までこぎ着けた。
ただし、均質な充填具合の藁塊を必要とする私にとっては、この出来具合では問題である。何度も調整を続けてみたが、どうしても一部欠けている部分が出来てしまうのである。藁の投入速度を上げたり、機械の動作速度を上げてみてもなかなかうまく行かない。

一人で全ての工程を行っているので、機械の前面から藁を投入してすぐに後方へ回り込んで藁の充填部分を見ようとするんだが、これがなかなか難しい。何度も挑戦したが、何が原因で一部が欠けるのかが特定できなかった。しかし、何かのはずみでほぼ完璧な状態の藁塊が出て来ることもある。う〜む、何が違うんだろう?

形の良いものと悪いものが出て来る
形の悪いもの、一部が欠けたものは再度ほぐして藁山に戻し、それを再び機械の前面から投入する作業を続けた。

2つ目のロールを解体
効率の悪い状態ながらも、昨日で1つ目のロールが姿を消し、今日は2つ目のロールをほぐして作業を続ける。もちろん、ほぐした後に気が済むまで藁山にダイブを繰り返してからだけどね。

大量の藁山
その藁山も姿を消した

ロールを崩すのに約30分、ダイビングを楽しむのに15分、藁山を機械に投入するのに1時間というペースで進められるようになった。ただ、この作業は私の体力のほぼ全てを使い切るので、繰り返すことは出来ない。一日一回だけの作業である。体力無さ過ぎ。

もう日が傾いて夕暮れどき
藁山が姿を消し、失敗作が大量に出来た時点で日が傾いて来た。昼間あれだけ暑かったのに、今はもう肌寒い。風邪を引かないように早めに着替えて帰路に着く。

車を運転しながら、藁塊の一部が欠ける原因を考えていた。藁がまっすぐ入って行かないのか、圧縮工程で歪みが生じるのか、結束機構の左右にアンバランスなところがあるのか?

月食(ルナエクリプス lunar eclipse)

ふと空を見上げると、なんと言うことだ、月まで一部が欠けているではないか…。そっか、今日は全てが「欠ける」日なんだ…。

明日になれば月も藁も欠けずにその姿を現してくれるのかも知れない。本当か?

2012年6月2日

藁入式

今日も良い天気で、裏の森にある白樺の新緑が眩しいくらいに輝いていた。
手前から、裏庭、裏森、奥の山
「シャノンの最終機械」状態からの脱却を計るため、お世話になり続けている修理の方に再度来てもらった。トゥワイン(Twine、紐、ロープ)を引っかける機構がうまく動作しておらず、これが空回り状態であったので何も結束せずに出口へ藁を運んでいたというのが原因だった。ちょうどミシンの下糸が上部のミシン糸とうまくセットされていない状態と同じであったということ(余計に分からない…?)

軽トラ一杯の工具等を積んで駆けつけてくれた
この歯車の奥で問題が起きていた
ものの10分程でその原因の特定、修理、調整を行ってくれた。手際が良いというか仕事が早いと言うか、さすがはプロの仕事である。私がこれを行った時は3日かかって、おまけに直らなかったのである。比較にすらならない。

ちなみに、この機械はNew Holland製であり、例に洩れずインチ規格のネジやボルトだらけである。イギリス、アメリカ以外では殆ど使われていない規格なんだから、いい加減世界標準規格のメートル法に則った運用をして欲しいものである。アメリカに住んでいた時は、Standard or Metricと書かれていて唖然としたことがある。メートル法準拠(Metric)が標準(Standard)だと信じていた私には意味の分からない選択であった。アメリカ人にとってはインチ規格が標準だからそういう選択肢があるんだなと妙に感心したことがある。

インチサイズのレンチで各部を調整した後、藁を投入開始。順調に藁はブロック状になって後方へ排出され続けた。これで長かった修理の修理が終り、本来の修理も終り、本格的に稼働する直前までこぎ着けたということである。長かった…。

順調にブロック状に作り続ける

じゃーん、完成!
あれほど巨大だった麦稈ロールも、こつこつと人力で崩して行った結果、とうとうその姿を消した。人力で崩すコツのようなものも分かったので、今後は30分程度で1ロールを藁山にすることが出来そうだ。

昨日同様、崩した藁の山へダイブすると気持が良い。あまりにも気持が良かったので何度も何度も飛び降りて山がペッチャンコになってしまった。この気持良さは他の人も是非体験すべきであろう。麦稈ロールを買って来て、崩してそこへ飛び込むだけである。簡単、安全、安上がりの3拍子だ。

左上奥のロールが消えて、周囲は藁だらけ
まだまだ調整が必要だが、とりあえず大きな難局を乗り越えたことで家作りが先に進むことになった。

普通の家を新築する時はその基本構造が完成した時点で、上棟式(じょうとうしき:関東?)、棟上式(むねあげしき:関西)や建前(たてまえ、たてまい、全国?)、Topping out(英国、米国)という儀式を行う。ところが、私が作っている家は既に基本構造が完成している。それじゃあ、代わりにと言うことで壁の基本構造を作り始めるという儀式を急遽でっちあげて藁入式を行ったのである。

ベイル第一号をゲンヤー号で運んで来て
建屋の中に運び入れる--藁入式
車を運転して帰らないといけないので酒は飲めない。突然の思い付きで行っているので私以外の参加者はいない。何も準備していない。何を準備するかも知らない。ということで、藁を中に入れただけで終ってしまった。まあ気が済んだよ。