2019年11月25日

ばっさい

ある雪の日、工事車両運搬車に乗って大きな機械がやって来たのであった。

いそいそと森の中へ入って行った
それは、森を伐採するための大型機材であり、この季節に水分の少なくなったカラマツをばっさばっさと切り倒して行くのであろう。運搬車が敷地の真ん前に駐車していたので、運転手に聞いてみると「この道の両側の森を伐採するよ。広さは10ヘクタールだよん」ということであった。

この森は我が家の裏庭に隣接するのだが、恐らく河岸段丘を形成している部分に相当するようで、我が家から標高差にして15m程低いのである。したがって、この森をたとえ全部伐採しても我が家からの景観に変化はほぼ無いと言って良い。

あまり間近に見る機会の無い機械なので、クマ探知嗅覚器官付き哺乳動物を引き連れて森の奥へ入って行く私であった。まだクマは冬眠していないよな…。

大木伐採マシン
ロプノールとの比較、でかい
悪者の形相の機械
もちろん作業中は近寄れないので、作業員が帰ったあとにこっそり見に行ったのだけど、最近の機材は盗難防止用のセキュリティーカメラが付いているよな。マヌケ顔で写真を撮っている所をしっかり撮影されているんだろうな…。

こんな感じで切り刻む(カタログ写真)
この機械は、大きな木の根本をしっかり掴み、この強固な爪で木を固定しながらその隙間からチェーンソーが出て来て一気にスパッと切るのである。根本を切られた木は倒れそうになるが、そこはこの爪のお陰でそのまま立っている。

その後、この爪がういーんと回転すると、切られた木はこのカタログ写真のように宙に浮いた状態になるのである。そこで爪の間に設置されている油圧モーターが木を送り出し、一定の長さ毎に再びチェーンソーでスパスパ切って行くのである。お陰で、木は根本を切られてから一度も地面に接することなく、枝を払われ皮を剥かれる。再び地面に降りたときには、既に丸太の状態になっているという早業である。

すると、もう一台の機械が10本程の丸太を一抱えにして、爪で回転させ地面に当ててトントンとすると全ての丸太が揃うという、なんだか人間の仕草に似た動作をするのである。その後、揃えられた丸太は積み上げられ、搬出を待つばかりという早業が展開されて行ったのである。

揃えられ、積み上げられた丸太
これだけの広さもあっと言う間だ
ものの数日でこの通り、鬱蒼とした森が広大な空き地のような開放的になったのである。早い…。
まあ、あと1〜2週間ほどで森が消え去るんだろうな。

2019年9月23日

林道爆走

今週、ラリー北海道が開催されていた。15年前、東京に住んでいた頃にWRCラリージャパンが十勝で開催されることになり、よせば良いのに仕事が終わってから深夜に東北道と青函フェリーで渡道し、ひたすら帯広まで走ったのを思い出すなぁ…。

ラリー北海道は、SSと呼ばれるスペシャルステージが山間部の林道を高速走行するグラベルコースであり、SSの合計は200Km程もある。ここを100Km/h近い速度で駆け抜けるのである。

これをニュースで知った私は、そんな林道を疾走するような僻地はどこなんだ?と何気なくコース案内を見てみると、なんと我が家の近所だった……。そっか、ここは僻地なのか…。

まあ近所を疾走するならちょいと見物にでも行ってみようと思い、前日にコースの下見をする私。翌朝5時に起きて、6時台スタートのSSまでウキウキしながら車を走らせるのであった。

私の車の横をかすめて走るラリーカー
ランサーか?
爆音だった
とてもおとなしい運転だった
この日は最初は曇っていただけだったが、山間部へ入った途端に霧が出始め、だんだんと濃くなっていった。しばらくすると、前のSSから移動して来た競技車が霧の中から順次現れ、反対側を走る私と間近ですれ違って行くのである。周囲に他の車の姿が見えないので、そのまま車を止めて写真を撮っていた。

SS手前の路上
しばらくしてSSの方へ戻って来ると、先程の競技車達がSSの手前数百mのところで集合していた。

ドライバーはヘルメットを脱いでおり、頭まですっぽりかぶるレーシングスーツ姿である。目鼻だけが出ているフルフェース状態なので、このまま銀行に行っても十分目的を達成出来そうな格好である。

強盗スタイルのドライバー達
まあ面白かったよ!

2019年9月6日

豊作 (4)

庭の豊作も一段落したと思ったら、もう秋のかほりが…。

ロプノールの散歩道も秋の実りが盛んである。昨年から気になっていて調べた結果、「オオウバユリ」という植物が今年もツヤツヤのその姿を現していた。初めて見た時は、なんでこんなところにピーマンがなっているんだろうと思っていた、それも実もたわわな状態で。
道端のピーマン
実もたわわ
そっくりさん
その他、名前も分からないような何かの植物の実がなっていたりするが、その中で特に目を引くアイツがいるのを発見したのであった。

それは、


標識に纏わりつく植物
さらに上へ上へと伸びる
てっぺんはこんな感じ
こんな感じでグングン成長していた。こいつの正体は、

ビール缶に描かれている…
アイツである
そう、野生のホップである。それも群生している…。こんなにたくさんあるのだが、つい先日まで全く気が付かなかったのである。

この写真のホップは幸いなことにスノーポールと呼ばれる積雪時に道路幅を示す道路標識の一種が身近にあって、これに纏わりついてグングン成長しているのだが、他のヤツはというとさらに他の植物に絡みついたり、果ては牧草のような「こんなものに掴まってどうする?」というのもいる。

さらに掴まるものが無かった残念な奴等は、そのままなす術もなく道路の表面をズズッズとだらしなく伸びているのである。

さて、このホップをどうしようか……?

2019年8月9日

秘密の滑走路

その謎の道路は、唐突に現れたのである。

パッと見た感じではどこにでもありそうな普通の道路だったのだが、その入り口には謎の注意書きが掲げられていたのである。
何やら注意書きが…、通行止め?
通っても良いらしい
一瞬、通行止めだとか進入禁止かと思ったのだが、良く読むと「この道路は一般道ではありません。一般車両の通行は自分の責任で十分に注意して運転しましょう」と書かれていた。

そっか、通っても良いのか…。

でも一般道路では無いという記述が気になるのである。通っても良いが普通の道路では無い?道路では無いのなら一体何なんだろう?

よし、がんばって走ってみよう!

一般道路でないだけあって、道路標識が無く制限速度も無い、交差点も無ければ勿論信号も無い。ここはいっちょう速度を上げて、40Km/h, 60Km/h, 90Km/h, 140Km/h, 190Km/h, 230Km/h……と徐々にスピードを上げて行こうと思ったが、普通に40Km/h程でのんびりと走行したのであった。

 途中の景色はというと、

真っ直ぐ
ただただ、直線
標識も無い
いい加減飽きてくる
最後まで真っ直ぐな道路だった

端から端まで走ってみると全長25.7Kmであった。信号や標識など何も無いのはすぐに分かったが、良く見ると電柱やガードレールのような路面に突き出た構造物が一切無いのである。これが何を意味するかと言えば、それは有事の際に飛行機の離発着に転用出来る道路だということである。障害物が無いので、車輪幅さえ道路幅を超えなければ、主翼がいくら長くったって離着陸が出来るというものである。

よし、これを覚えておいて、今後緊急事態になったその時は、頑張ってこの道路のようなものへ不時着を試みよう……、と思ったけど私は航空免許を持って無かった orz

2019年7月31日

豊作 (3)

スモモ、グリーンピースの豊作が続き、いよいよその次の豊作物である。

それは…、あの植物が豊作なのである。アレとは何か?こんなところに書いても良いのか?どこからか誰かがやって来ないだろうか?

そんなことを気にしていては先へ進まないので、ここはみんなで一致団結してアレを収穫しに行くのであった。 平均年齢がたっぷりの大人達が事前に得ていた情報に基づき、車に分乗して我先に例の場所へ向かうのである。中には収穫を期待してトラックでやって来る者までいる始末である。

その情報の精度は高く、さすが高度な情報収集能力と設備、そして大掛かりな組織を持つ者共である。現場に到着するやいなや早速アレを発見するのであった。
豊作なアレ
ここにもあそこにも!
トラックの荷台に積み込む
もう取り放題、積み放題である。ものの40分程で辺り一帯のアレを取りまくり、根こそぎ取ってトラックに積み込んだかと思うと、足早に次の現場へ向かうのであった。


ここにもたっぷりある
次の現場は先程とは違い、見晴らしが良い開けた場所なのである。おまけに道路沿いなので通行人の目が気になるのである。ドキドキ、ハラハラ…。
突然やって来たパトカー
収穫も佳境に入った頃、どこからともなく一台のパトカーがやって来たのである。私は反射的にアレの葉の陰にそっと身を潜めるのであった。

さて、さらに次の場所でも大量に収穫出来たので重量を計ってみると、2台のトラックで運んで来たブツは、なんと275Kgもあったのである。

豊作!

ぼやぼやしている場合では無いので、すかさず次の作業に入る私達であった。

次の作業とは、「刻む」のである。

この植物は生のままだとどうしようも無いので、ある程度乾燥させた後は、切り刻んで細かくするのである。今回は275Kgという途方も無い量なので、重機を使って粉砕機の入り口まで運ぶのである。粉砕機に入ったアレは、轟音と共に細かく砕かれ、燃やして楽しむのに適した葉っぱの大きさになって出て来たのである。

トラックの荷台から粉砕機までつまんで運ぶ重機

粉砕されたアレをトラックで運ぶ

そして、粉砕されたアレを大量に積んだこのトラックの行き先は…。
他の焼却ゴミと共に奈落の底へ…
大きな口を開けた底が深い穴の中へと放り込まれたのである。

そう、ここはゴミの焼却場である。そして放り込まれたアレとは、「大麻」であった。


なぜこんなことをしているのかと言えば、それは「野生大麻撲滅運動」という、毎年行っている町内に自生する野生大麻をみんなで頑張って絶滅を目指し、警察官、保健所職員、役場職員達の立ち会いの元で、採取からゴミ焼却場で焼却するまでを行ったということである。

参加してみて初めて野生大麻がどんな物なのか理解が出来ました。

私は植物の見分け方がさっぱり分からなかったので、最初はどれが大麻か良く分からず、適当に引っこ抜いて持って行ったら「ああ、それはヨモギだよ」と言われ、並べて見ると全然似ていないヨモギと大麻を混同する私の行動に一抹の不安を覚えながらスタートしたが、ものの10分程でちゃんと見分けが付くようになったのであった。

この日以降、草むらの近くを通ったら何となくアレが生えていないかと目が追ってしまうのである。

2019年7月30日

豊作 (2)

世の中には分かるようでわからない名前の食材がある。そのひとつが「豆苗」であった。見た目はスプラウトの一種だと分かるんだが、スプラウトなら「ブロッコリースプラウト」「アルファルファスプラウト」「大豆もやし」などと種別が明記されている。

「豆」って一般名で特定の種類を示すものではあるまい。さらに「苗」と名乗り、成熟していないという意味以上の何物でもないという「豆苗」、さらに他のスプラウトより何だか大きくて不気味であった。そのせいで、普段からスーパーで見かけるものの、敢えて購入しようという気が起こらなかったのである。いったい何なんだ?
 
豆苗  (c)村上農園

ある日、「キューピー3分クッキング」 という3分で調理が出来る訳でも無く、放送時間も3分を大きく超えるという何が「3分」なのかさっぱり分からない番組を見ているときに、かの豆苗が取り上げられていたのである。油と相性の良いシャキシャキ野菜という位置付けの植物(食物?)だそうだ。

ちなみに「キューピー3分クッキング」は異なる二つのバージョンがあって、北海道で放送されているものと東京で放送されているものは、レシピも登場人物も全然違うのである。市販されているテキストも微妙に違う…、ってもはや別の番組なのでは?

謎番組で紹介された謎食物、これはいっちょう勇気を出して食べてやろうと決心したのであった。

恐る恐るパッケージを開けたが、特に変な匂いも無く触感も普通の植物っぽい。ベーコン、ガーリック、オリーブオイルと共に炒めてみると、大変美味しゅうございました。

普通に美味しかったことに加え、さらに驚くことには知人に教えてもらった所によると切った残りを水に浸けておくと再びもとの豆苗になるということであった。パッケージを良く見ると「料理に使用した後、残った根だけが水に浸るようにして育てれば再び新しい芽が成長して再収穫ができます!」という但し書きがパッケージに書かれていたのである。

ということで実際に水耕栽培もどきを試みると、ものの見事に再生したのである。
この後、元の大きさの8割まで育った
 さて、これのどこが「豊作」なのか?

実はこの豆苗の驚きはここからなのであった。

2度目の収穫が終わり、豆粒と切り取られた茎をただゴミ箱に放り込むのも躊躇われるので、庭の隅に穴を掘って軽く埋めておいたのである。手入れする気は全く無いし、育てる自信も無い、さらに植えたことを覚えている可能性も無いというただの放置状態の豆苗であった。

ところが、本当に忘れた頃に見てみると再びその残骸から芽が出てきて、さらにヒゲのようなものまで出てきたのである。 仕方が無いので、その辺にあった棒を地面に挿して「あとは自力で棒にしがみついて勝手に育ちなさい」と諭して再び放置しておいた。

すると、
豆?
たくさん?
結構なスピードで成長し、花が咲いたかと思ったらあっという間に結実していたのである。その後、日に日に実は成長しその数も20個を超えたのである。
ひょっとして収穫期?

 本日、恐る恐る収穫してみると
これは誰?
中身がある!
  この豆は「さやえんどう」という種類の豆で、中身は「グリンピース」である。共に、私の大嫌いな食べ物である……。 

あれ以来、豆苗が気に入って何度も購入し、その度に庭へ撒き散らした豆苗の残骸たち。今後、しばらく続くであろう豊作……、困った。

2019年7月25日

豊作 (1)

今年はいろいろと豊作の予感がするのである。いや、特に何かを育てている訳では無いのだが…。

この家を入手した時から、庭の中にスモモの大きな木と小さな木が生えていた。そして2〜3年に一度のペースで結実するのである。豊作と不作の年があるようで、8年前には数千個の実がなって処理に困ったことがあった程である。

そして今年はと言うと、まあそれなりに結実している様子である。
たわわに実っている
ぶどうのような実の付き方
 まだまだ実は青いものの、たわわに実っている。

 風か鳥の影響だろうか、いくつかは地面に落下してしまっている。ロプノールは興味深げに落っこちた実と戯れていたが、そのうち飽きて寝転がって虚ろな目で実を眺めていた。

どこかで見たような
 ロプノール「あーあ、僕も昔はこんなのが股にぶら下がっていたような気が…」

そう、4年前までは確かにあったね……。

2019年7月12日

侵入者と捕獲器

晴天が少ない割には雑草の伸びが大変早くて草刈りが追いつかないのである。だからと言ってやらない訳にも行かず、黙々と草を刈る今日この頃である。

我が家の周囲の畑では牧草の刈り取り作業も一段落したこともあり、いつもにも増して静寂が漂うのであった。そんな中、庭を散歩していると不意に視線を感じたのでそちらの方向を見ると、そこには庭に侵入を試みる若い鹿がこっちを見ていた。

庭先でばったり出会う鹿
仲間を呼ぶ鹿とゲンヤー号の荷台

しばらくお見合い状態だったが、相手は逃げる訳でもなく、かと言って尻尾を振ってすり寄って来ることも無い。 数分間のにらめっこのあと、こいつが「ピューぃ」と鳴いたかと思ったら、仲間を呼んだのかどうか知らないが横から別の子鹿が現れたのであった。
二頭
先日もロプノールが夜中に吠えていた時、フラッシュライトで庭先を照らすと、そこにはキラキラ光る8個の目玉があってとてもびっくりしたことがある。あいつらはちょくちょく我が家の庭で遊んでいるようである。時々、足跡も残っている、糞も残っている。


草の伸びも早いが、木々の茂りも盛んである。そしてダニ類も活発に行動しているので油断ならない。草刈り時も私は首や襟元、足元に気を付けて注意深く行っているが、ロプノールは鹿を追いかけて茂みの中や森の中を走り回るのである。そして、当然のようにダニを引き連れてのご帰還である。


新兵器!
バールのような物
これまではダニ取り用のピンセットを使ってチマチマ取っていたのだが、先日セリアという百円ショップで面白そうな道具を見つけたのである。

それは、家屋に侵入したりATMをぶっ壊したりする時に大活躍するらしい「バールのようなモノ」である。ただし私が購入したものは、その道の専門家達が使う物とは大きさが全然違うのである。まあその目的も違うので何ら問題は無いのだが、その大きさは短辺が13mm、長辺が135mmというピンセット位の大きさである。こんな小さいバールが何の役に立つのだろう?まさか釘を抜くのに使うのだろうか?

まあそんなことはどうでも良くて、私がこれを買ったのはダニ取りに使えそうな気がしたからである。先端の楔の大きさといいその形といい、まさにダニのお腹を挟んで捻り取るのに丁度良い感じだったのである。

半信半疑で試してみると、これが面白いように取れるのである。 ロプノールの肌についているダニのお腹辺りに先っちょのV字を差し込み、柄の部分をクルクル回すとスッとダニが取れるのである。ピンセットより数段楽に取れる。特にロプノールの場合は毛足が長いのでピンセットに絡まってしまってダニを捻りにくいのである。しかし、これだと毛が絡まずダニだけが回ってくれるのである。

108円のダニ捕獲器、なかなか良い買い物だったなぁ。