2018年6月23日

雷ゴロゴロ

 ロプノールは生来臆病な性格である。子犬の頃は何にでも怖がり身を竦めていた。音や光、振動するものや車などが視界に入ってくると尻尾は垂れまくり、心臓はバクバクしていた。散歩の途中でも前方に何か不穏な雰囲気があれば、そこから一歩も動かなくなったのである。

その後、少し成長した頃から怖がるものが減って来たようで、来客や車には牙をむいて吠えながら威嚇できるようになって来た。ただそれも勢いだけのようであり、ある一定以上の距離まで近付かれると腰が引けてしまい、吠えながらも後ずさりしている。

また、背後に私がいるかどうかでも態度が全然違うのである。 他人を威嚇するときも、時々振り返って私の姿を確認するのである。私がいなくなると、吠えるのをやめて逃げる…(おい)。

そんなLop-Nurも落ち着きが出てきたのか、相変わらず怖がるものは少なくないが、それなりに対処出来るようになっている。まあ対処と言っても逃げるだけだが…。

先日、遠くの空に黒い雲が現れたと思ったら、あっと言う間に空が暗くなり雨が降ってきた。結構激しい雨だった上に、雷まで轟き始めたのである。これまでLop-Nurは雷でパニックになることは無く、小屋の中に隠れたり縁の下に潜ってじっとしている奴だった。

怪しい雲行き
雨が降ってきた
雨が降って来ても暫く外にいたのだが、雷が鳴り始めると一目散に縁の下へ潜り込んだのである。なかなか身のこなしの軽い奴…。
ここに隠れていれば安全
雷がゴロゴロ
今回の雷は結構近かったようで、光ってから鳴るまでかなり短かった。近いだけあって、音も相当大きく何度も鳴っていたのである。私はちょっと心配になったのでロプノールの様子を暫く観察していたが、犬の本能としての危険回避行動として身を伏せているだけのようで、やはりパニックにはなっていないようであった。

ここで安心はしたものの、どれほど怖がっているのか実験をすることにしたのである。

まずは呼んでみた。こっちをチラッと見るだけで縁の下から出ようとはしない。まあ犬の行動学的見地から当然の結果ではある。

次にロプノールの大好きなジャーキーを片手に再び呼んでみたのである。やはりこちらをチラッと見たのだが、手に持ったジャーキーを発見するやいなや、雷鳴轟く中をものともせずに一直線にやって来てパクッと一口で食べた。恐怖心より食欲が勝っているということだろうな…。

食べ終わるとすぐに縁の下へ逃げ込んだものの、その目は「もう無いの?」「もうひとつちょうだい!」とでも言ってそうである。念のためにもう一つジャーキーを見せると、先程と同じ行動をしたのであった。すごい食欲だな…。

さらに追加のジャーキーを持ち、「おすわり、お手、ハウス」をさせたが、これもちゃんとこなしてジャーキーをゲットしたロプノールであった。

この実験で分かったことは、ロプノールは雷より食欲が勝っていることと、雨の中でこんな実験をすると私がずぶ濡れになるという事実であった。

2018年6月22日

眺望トイレ

昨年、ブラッと東端の方へ行ったとき、国道を走っていると小奇麗なトイレが目に入ったのである。周囲には何も無く、特に目を引くような景観も無いようなところにトイレが突然現れたのである。別に用事があった訳では無いが、何となく入ってみることにしたのである。

忽然と現れたトイレの建物
 建物自体が新しいせいもあって、中も清掃の行き届いた清潔なトイレである。男性トイレの方へ行ってみると便器の前に不釣り合いな大きさの窓があった。ちょうど用を足していると真正面に来る高さである。

目線の高さにある大きな窓
 女性用がどうなっているか知る術も無いが、おそらくこのような窓は無いのであろう。

窓から見える景色
 ここから見えている海景色は、根室海峡を東方向に望む水平線である。そう、この日は思いっきり曇っていたが、晴れていると真正面に国後島が一望出来るのである。

根室海峡越しの国後島を眺めながら用を足すのか…。うむ、何と言えば良いのか……。

2018年6月21日

合流点

分水嶺のように別々に分かれる流れもあれば、それとは反対に合流するものもある。

例の大分水点から流れて来た川のひとつと、我が家の裏を流れる川が合流する地点がある。

左が流入河川、右が本流
本流である右側の濁った川は、本来であればこの川幅いっぱいに流れていたのだが、上流のダムがとんでもない量の取水を行うのである。この上流のダムこそが、例の謎の巨大建造物を通ってこの川の水を別の川へと文字通り横流ししているのである。そのせいで、この川には常にこの程度の水量しか流れていないのである。


ここでは詳しく書かないけれど、このような水系を跨いだ取水を行うことによって、台風などの豪雨時に甚大な被害が生じるのである。北海道建設部土木局(河川砂防課?)などは、この河川の氾濫を「想定外の降雨量で云々」などと言い訳しているのだが、これは起こるべくして起こった人災ともいえる災害だと思う。

まあ簡単に言えば、普段大した量の水を流していない河川はその平均水量に比例した量の水しか下流へ流すことが出来ないのである。川幅が広くたって残念ながらほとんど関係が無いのである。したがって、豪雨時だけに大量の水を流すような愚行は、局所的に河道閉塞と同じような現象を起こしてしまい、ついには堤防決壊などを引き起こしてしまう。
合流後も両者は混ざらない
ずっと混ざらない
さて、このように我が家の裏に流れている川はその上流に町営水道の水源となっていることからも分かるように、大変きれいな水質である。オリゴとベータの中間程度の水質階級だと思われる。我が家の水道も、もちろんその町営水道から引き込んでおり、味はまあまあ美味しいと言える。その水源は、例の動物標識のすぐ裏にある(だからどうした?)。

2018年6月19日

謎の機械

先日、某所からちょっと気になる機械を入手したのである。それは私が幼少の頃に欲しくてたまらなかったものであるが、今となっては代わりがいくらでも溢れているご時世なので、もらって帰るべきかどうか0.6秒程考えてやっぱり持って帰ったのである。

それは、
KENT TY-5P!!

その形と言い、色と言い、怪しさ満点の機械だが、これは電源装置なのである。

電源装置とは、読んで字のごとく電気を供給する機械である。つまり、商用電源から受電し、この装置の中で降圧、整流して出力端に供給する装置である。 

もっと簡単に言えば、、いわゆる家庭のコンセントから電気をもらって乾電池と同じような種類の電気に変換してくれる機械である。今だとACアダプタと呼ばれる手の平に乗る大きさの装置が同じ働きをする。まあスマホの充電器もこの一種だと言った方が分かり易いかも知れない。

この機械はかれこれ40年以上前に製造されたものである。 今のACアダプタと比べると、大きく、重く、消費電力が大きく、持ち運びが不便で、取扱いが面倒と、まったく良いところ無しである。

まあそんなことはどうでも良くて、早速中を分解してみるのである。もちろん、分解する必要は無いし、目的も無い、 効果も無い、おそらく意味も無い、というのはいつもの通りです。

セレン整流器!
分解してみると、 やはりというか整流器にはシリコンダイオードではなくセレン整流器が使われていた。巨大なオレンジ色に輝くその部品は薄くて四角い部分が放熱板であり中心の棒状のものが本体である。

私が子供の頃には既に使われなくなっていた部品であり、名前は知ってはいたものの実物を見るのはこれが初めてかも知れない。今だと博物館に行かなきゃ見られないのではないだろうか?

これが4連接続で全波整流になっている。今風に言えばダイオードブリッジか?いや、今時ダイオードも単体で使うことは無いからもはや死語か…。

回路図も全波整流
ケースには回路図が記載されており、分解してみた中身と同じであった。なかなか誠実な製品作りである。というのも、最近は等価回路しか無い場合が殆どだものなぁ…。

さて、これを組立て直して、例の装置に接続して設置してみると…、ただの怪しい物体である。友人に見せたら「時限爆弾の起爆装置?」と好評であった(違う)。

あの場所に設置した
  一応、電圧が可変なのでその時々で変化を楽しめるようになっている。

こういうものが部屋の中にあると、何かうれしいのである。

レンズ雲

久しぶりに晴れたと思ったら、空一面に例の奇妙な雲が現れたのである。それも一つや二つではなく、これでもかと言わんがばかりの数であった。

レンズ雲だらけ

移動、合体を繰り返す
 これはレンズ雲と呼ばれる雲の一種で、アメリカに住んでいた時にはLenticular cloudsと呼ばれていた。かなり珍しい雲だと聞いた気がするのだが、今住んでいる場所では比較的頻繁に見かけるのである。ひょっとしてこの場所自体が珍しい存在なのか?

3年前にも壮大なレンズ雲が裏庭に現れたし、普通サイズ(普通って?)のものだと、時々お目にかかる。もはや珍しくも何ともないので写真に撮ることもほとんど無いのである。

合体を繰り返す
巨大ハート型になったが…
 今回の雲がおもしろかったのは、合体を繰り返すうちに巨大なハート型になったことだが、ボーッと見ているうちに形を変えてしまい、シャッターを押したときにはハート型には見えないような形になっていた、残念。

その後、1週間ほど曇り空が続き、濃霧&低温で散歩が面白くない日が続いたのであった。

2018年6月18日

オオジシギ

 最初この鳥の名前を聞いたときは「王子シギ」だと思っていた。しかし、「おうじ」ではなく「おおじ」だと知り、漢字を調べてみると「大地鴫」であった。英語圏ではSandpiperとかLatham's snipeなどと呼ばれており、別名Japanese snipeだそうだ(ゴルゴ?)。

snipeにはシギの意味もあるが、もともとは狙撃の意である。関連があるのかどうかは知らないけれど、オオジシギの飛行音は非常に攻撃性のありそうな大きな音を立てるのである。最初に聞いたときは、後ろから何かが襲って来たのかと思わずしゃがみ込んだ記憶がある。まさか鳥だとは想像出来ないような音であった。

 このオオジシギだが、こいつは渡り鳥のようで日本とオーストラリアを行き来しているのである。わざわざ赤道を越えなくても適した越冬地くらいありそうなものだが、この鳥は毎年せっせと南半球と北半球を往復しているのである。

さて、この鳥はどこにいるのかといえば、実は我が家の周辺に少なくない数が生息しているのである。

敷地の中の電柱にいる
毎日ここから私を観察している…
 私が朝の散歩から戻るときに、必ずどこかから現れてこの電柱の上で変な声で鳴くのである。散歩に行くときはいないことから、こいつは私が散歩に行くのを何処かから観察しているのだろうか?

先日、こいつが大きな特徴的な羽音を立てながら上空から急降下して来たと思ったら、そのまま庭に降り立ったのが見えたのである。一瞬見失っただけかと思っていたら、なんとちゃっかり我が家の庭に舞い降りて餌を啄んでいた。なんてことは無い、しっかり庭に住み着いていたのであった。

オオジシギの生態を調べてみると草原に生息しているらしい。じゃあ何でこいつは草原じゃなくて我が家の庭に棲んでいるんだろうと思ったけれど、良く考えてみたら我が家自体が草原(牧草地)のど真ん中にあるのであった。 きっとオオジシギの方こそ、何で人間が草原の真ん中に住んでいるんだろう?と不思議がっているのかも知れないな…。

その後、こいつはどこかに行ってしまう訳でもなくずっと庭にいるのである。どうやら数羽いるらしく、地面を啄みながら庭をウロウロしているのを良く見かける。 

割と近づいても逃げない
餌を探している
2羽で餌探し
 ほぼ毎日顔を合わせているので新鮮味も無いが、愛嬌のある顔と不釣り合いなくらい長い嘴を使って虫か何かを啄んでいる様子は微笑ましいものである。呼んでも来る訳ではないが、あまりこちらに警戒心を持っている訳でも無さそうである。

まあ、適度な距離を置いたお付き合いですね。

2018年6月12日

大分水嶺


大分水嶺、大分県にある水嶺ではなくて、大きな分水嶺のことである。

分水嶺という言葉は、登山や農業をしていれば馴染みがあるかも知れないが、一般的な会話ではあまり登場しないと思う。分水嶺とは文字通り水を分ける嶺である。学術的には分水界と呼ばれておりその定義は、「異なる水系の境界線」を指す地理用語ということになっている。

分かり易く図解すると、
右と左へ泣き別れ…、なのか?
このように、地形的な要因で降水が山の嶺などを起点に別々の方向へ流れて行き、それぞれ別の河川など(正確には水系)に流入することである。上図ではミシシッピー河とミシガン湖へ分かれて行く水の流れを図示している。

日本列島は南北に細長く、東西を太平洋と日本海に接しており、列島の中央付近を山脈がどーんと居座っているので、ここに降った雨はいずれ日本海か太平洋へ流れて行くことになり、この中央部分を線で結ぶと長大な分水嶺が現れるのである。

下図、社団法人日本山岳会の調査資料の赤線で示したラインが日本列島を縦断する分水嶺である。このラインを境に、降った雨が日本海に注ぐか太平洋へ流れ出るかが決まるのである。

(c)日本山岳会
では、北海道はどうなのかと言うと、おもしろいことに3つの海、つまり太平洋、日本海、そしてオホーツク海に面している。 そして中央部には大雪山系の山々がそびえ立っている。ここから層雲峡、旭川、滝川、札幌近郊を経由して日本海に注ぐ石狩川があり、また留辺蘂、北見、網走方面に向かってオホーツク海へ注ぐ常呂川がある。さらに、十勝平野へ向かって上士幌町、帯広市へ流れ、十勝川へ合流した後、太平洋へ注ぐ音更川がある。

驚いたことに、この3つの河川はそれぞれ異なる海へ流れ出るにもかかわらず、水系の境界点が同じなのである。つまり、それぞれの分水嶺がなんと一点で交わるのである。3つの分水嶺が交差する所なので大分水嶺である。でも点だから大分水点か……。

その点のある場所が、下図の赤丸で囲った部分である。名前を三国山という。


この赤丸の中

こんな地形

赤丸が大分水嶺、黄色線がそれぞれの流れる方向
上図の赤丸で囲った山頂が、太平洋、オホーツク海、日本海の3つの分水界であり、このような分水界は日本ではここ一ヶ所だけである。ここに登って、コップの水を地面に垂らすとその水は3方向に別れてそれぞれの海に向かって流れて行くのである。

大分水点!!
 そしてこの地点は、私の住む町と隣町の町境上にある。つまり私は大分水点のある町に住んでいるということである、何だか意味もなくうれしい。