2020年12月24日

しさんかさんてつ vs. さんかだいにてつ

調理に使用するフライパンには色々な種類があるが、最近はホームセンターやネットショッピングでもテフロン加工のフライパンが多数を占めていて、いわゆる鉄のフライパンはあまり見かけなくなっている。

確かにテフロンのフライパンは焦げ付かないし、手入れも楽で便利ではある。しかしながら、高温調理が出来ない、差し水などの急激な温度変化を伴う調理方法がダメなど、調理に制限が多いのも事実である。

マーブルコートだの、デュラブルなんとか、ティファーなんとか、と言っても所詮フッ化炭素樹脂をフライパン表面に熱した上でギューッと押し付けて作っているだけであり、その謳い文句とは裏腹に高温に弱いのである。

直火調理の器具が熱に弱いというのはある意味致命的なのではないのか?

 この樹脂を発明したデュポン社の資料によると、260℃で劣化が始まり、350℃で金属表面から剥離するとなっている。通常調理の「平均温度」からすれば260℃に達することは少ない印象を受けるが、実際にはフライパンの局所的にはこの温度を超える部分が出て来るのである。ガスコンロであれば、丁度その炎の先端が当たる箇所などで、食材の隙間が出来て部分的に空焼き状態になっている箇所などである。

常に火加減に注意しながら使用していても、テフロン被膜の劣化した部分が生じて焦げ付き易くなってくる。古いレシピ本などを読んでいると、「フライパンを火にかけ、薄く油煙が出てきたら材料を入れます」などと書かれているが、テフロンのフライパンでこれをやるとダメージは計り知れない。

ティファ−なんとかなど、取っ手が取れーる前にテフロン被膜が取れてしまう。もっとも他のメーカー商品でも同じだけどね。

まあそんなゴタクはどうでも良いけど、やはり短期間で買い直しを迫られる調理器具というのに辟易し始めたので、ここは原点に立ち戻り、鉄のフライパンへ回帰しようと思ったのである。

まずは準備である。

購入したばかりのフライパンは表面に何らかのコーティングがなされているので、これを剥がすところから始めるのである。方法は原始的だけど、紙やすりでせっせと磨くのが一番綺麗に仕上がるようだ。番手は320番辺りが具合がよろしい。

紙ヤスリで磨いたフライパン    
 

透明のコーティングが剥がれ、地金が出て来たフライパン。目の細かいヤスリで磨いたので表面はかなりツルツルである。ここで削れた粉が出るが、乾いた紙などで拭き取るか、裏側から叩けば殆ど取れる。指で触ったり水分が接触しないようにしないと後々困ることになる。

ここから本格的に焼入れを始めるのである。かなりの高温が必要なので、安全装置の付いていない安物のカセットコンロがおススメである。キッチンのコンロで行うと必要温度に達する前に消火されてしまうので意味が無いよ。

 

強火で1分で薄っすら茶色に変化
 
ここまで結構煙が出て躊躇したくなるが、怯まずに強火で頑張って熱し続けるのが肝要である。フライパンの取手は熱でダメになってしまうので、事前に取り外しておくのは勿論である。
 
茶色から青っぽい色へと変化

青い部分が広がる
 
フライパンのサイズにもよるが、3〜5分でここまで変化する。

ちょうど5分でここまで変化した

青い部分が底面全体に広がる

縁の部分まで含めて全体が同色に変化   
 
写真の写り具合で青味がかった色に見えないけれど、フチを含めた全体が先程よりは薄いものの青光りしている状態である。全体にムラが無い状態が重要である

油をたっぷり入れて馴染ませる

火を止めてフライパンがある程度冷えたら植物油を投入する。熱いままだと発火するので注意が必要である。薄っすらと煙が出る程度が良いのではないかと思われる。

ここで油を使い被膜をフライパン表面に形成させるのだが、これは重合反応を利用するので、使用する油は二重結合の数が多い方が有利であり、二重結合を3つ含むリノレン酸、2つ含むリノール酸などの順に良く、オリーブオイルのように二重結合が1つしか無いオレイン酸を多く含む油は適してないよ。まあスーパーの特売のキャノーラ油で十分である。
 
ここでの重合反応は、空気中の酸素とフライパンの熱によって二重結合が切れ他のリノール酸分子と結合して重合反応が進むのを利用しているので、フライパンの温度、馴染ませる時間などが重要になってくる。
 
 あとは冷えるまで放置したあと、残った油はかなり酸化してしまっているので捨てる。その後、表面の油をティッシュなどで拭き取れば完成である。
 
この青黒くなったフライパンの表面は、鉄が四酸化三鉄と呼ばれる鉄と酸素が結合したものであり、この作業によってフライパンの表面に均質にコーティングされた状態になっている。この「しさんかさんてつ」というのはかなり強固な被膜であり、多少の衝撃にはびくともしない上に、この過程を見れば当然であるが高温に対してめっぽう強い。さらに、化学変化にも耐性があるので、中性洗剤などでゴシゴシ擦ってもビクともしない被膜である。
 
焼入れ温度が低いとこの四酸化三鉄が形成されず、通常の酸化第二鉄が出来てしまうのである。いわゆる錆という奴である。「しさんかさんてつ」vs.「さんかだいにてつ」……。
 
肝心の使い勝手であるが、 ほぼ理想に近いのではないかと思う。タマゴもパンケーキも餃子も中華炒めも思いのままである。

テフロンフライパンと異なり、鉄板と食材の間に皮膜があって浮き上がっている感じはしないが、焦げ付くことも引っ着くことも無く、まさに鉄板の上に食材が踊っている感じが伝わってくる感じである。

使用後は熱いまま水を掛けてじゅわーと音を立てて洗い流せば良いし、洗剤を使おうが固い材質のもので擦ろうが全然平気である。あとの手入れもあまり気遣いは要らない。油を塗って置かなくても四酸化三鉄の被膜が地金を守り、酸化第二鉄であるサビが発生することは無い。
 
あー、すっきり調理が出来るフライパンが手に入ったよ!

2020年12月23日

改造車

 早いもので、今の車を購入してから23ヶ月の月日が流れ、2年に一度の車検を受けなければならない日がやって来たのである。

今回はディーラーで入念な24ヶ月点検整備作業を行ってもらい、 そのあと私が車検場へ持って行って自力で車検を通そうと目論んだのである。いわゆるユーザー車検と呼ばれる、所有者が自ら車両検査工程へ持ち込み検査を受けるというものである。

なぜ、ユーザー車検を行うのか?

ひとつはただの興味本位であるが、もうひとつの理由は、今回車の改造を行ったのでそれに伴い必要となった構造変更申請という手続きを自ら体験してみたかったのである。

構造変更申請とは、車両の改造などを行い、その結果車検証に記載されている内容に変化が起こった場合に、改めて検査を行いその変更が安全性が担保できる範囲内であり、合法であるかどうかを確認する作業である。当然、申請日から車検証に記載されている有効期限満了日(いあわゆる車検の切れる日)までの分は無効になり、申請日からあらためて24ヶ月の有効期限が設けられる。

ディーラーでの点検整備は午前中から午後3時にかけて、細部に至るまで多数の項目を検査して整備を行ってくれた。最後は車内清掃や洗車まで行ってくれて、当然であるが自分では何もしない内に無事に終わったのであった。

ディーラーの整備工場

ライトの光軸調整コンピュータ


ドライブレコーダのスイッチを切り忘れていたので、作業の一部がしっかり録画されていた。しかし、こんなに丁寧に作業するものだとは知らなかったよ。そりゃ時間がかかるよな…。

このあと、整備をしてくれたエンジニアと光軸調整や軸重計量の話をして、変更申請の下準備を行う。

 翌々日、ネットで構造変更申請の予約を行い、検査場へ向かったのである。窓口が分からずウロウロしながらも、親切な係の人々のお陰で無事に受付が終了し、早速検査ラインへ並ぶように指示された。

検査場の入り口に並ぶ

検査用の機械が並んでいる

光軸検査合格の表示が画面に表示される
 

都会の検査場と違って、並んでいる車の数は段違いに少なく、数台だけであった。並んでいる人は例外無く業者の格好をしており、何をするにも実に手際が良い。場違いな雰囲気満点の私は、ここでも係の人に懇切丁寧な指示と説明を受けながらひとつひとつ検査を受けて行ったのである。

構造変更申請は、通常の車検(継続検査という)と異なり、車の高さ幅長さ、室内サイズ、ガソリンタンク容量、残存ガソリン量などを計測した上で、前輪および後輪にかかる重量を計測されるのである。ここで計測された値を新たに発行される車検証の記入するのである。

さて、私はいったい何を改造したのでしょう?

それは「乗車定員」を4名から2名へと変更したのである。この変更に伴い、左右の後部座席を取り外し、シートベルトも左右共に取り外したのである。これで完全な2シーター車になりました。

ではなぜ定員を変更したのでしょう?

それは、全くの無用の長物である後部座席を消し去りたかったからである。

これで、夜中に走っていて、ふとルームミラーを覗くと後の座席に見知らぬ髪の長い…、という事態が避けられるのである!!

安いな…

 

検査費用は法定料金で1,400円、これに重量税の6,600円、自賠責保険の21,140円を入れて、総額29,140円で構造変更申請と車検が完了しました。安い!!

 

 

2020年11月6日

森林伐採

 昨年は北側の広大な森林が伐採されたが、今年は東側の森の伐採が始まったのである。

 北側の伐採は、冬期の風向きが微妙に変化して雪の吹き溜まりが出来易くなるなど、あまり好ましい変化では無かったのだが、東側の伐採はどちらかと言えば歓迎すべきものであった。

この辺りでは年間を通して西風が多く、時々北風が吹くといった具合なので、東側の森が無くなったところで生活に大きな変化は無い。それどころか、その森が遮っていた風景が良く見えるようになるという嬉しい副次的な恩恵がある。

それは、

我が家の東側に見えるはずの阿寒富士

 雄阿寒岳、雌阿寒岳、阿寒富士の3つが我が家の東側に位置するのだが、我が家とこの山々との間にはやや標高の高い場所に森があり、そのせいでさっぱり見えないのである。

冬になると、落葉のせいで森に隙間が出来るせいなのか、なんとなくその姿を見ることが出来たのであるが、まあ見える内に入らないな…。

9月のある日、何となく東側の方から木を切るような大きな音がし始めた。音はするけど姿は見えず、どこをどうやってきるのかさっぱり分からなかったのである。

数日後、巨大な伐採マシンの姿が見えたと思ったら、あれよあれよと言う間に視界に入る木々が伐採されて行ったのである。

やや高い所にある森林

何となく間引かれたよう

さらに木が減った

斜面に道が出来ていた

森の手前側の伐採が終わった頃から、斜面の辺りが姿をあらわして作業車が見えるようになり、さらに斜面を掘削して重機が通ることが出来る道幅の道路が出来ていた。道路が出来ると後は一気に伐採が進み、かなり視界が開けた状態になったのである。重機ってすごいな…。

さて、最大の関心事である阿寒富士の眺望だが、こんな感じ…。

刈り残しの木が邪魔

 期待通り、玄関を開けたら目前に阿寒富士が姿が見えるようになった。しかしである、その姿は数本残った木々に邪魔されてしっかりとは見えないのである。なんであそこだけ切り残したのかな…。

よく見ると、カラマツなどの木材としての価値のある木々だけが伐採対象だったようで、雑木である広葉樹はそのまま残して行ったようである。

このまま冬になれば邪魔な広葉樹の葉も落ちてもう少しだけ見通しが良くなるかもね。

 

2020年7月25日

自由を求めて…

今朝、散歩へ行こうとしたらロプノールが急に庭の西端の方へ向かって吠えだしたのである。

以前も猫やキツネが来たり、大きな物だとエゾジカが来たりした時も同様に吠えていたので、きっと何かの動物でも来たのだろうと呑気に構えていた。あまりにも執拗に吠えるので、なんか嫌な予感がしながらも庭の端へ行ってみると、そこに見えたものは大きな動く物体であった。

十数頭の大きな動物が一斉にこちらを見ながらゆっくり近付いてくるではないか!

一瞬、何だか良くわからなかったが、良く見るとそれは100m先からこちらを見ている牛達であった。

100m先に何かいる
隣接する畑の中に…

こっちを睨む十数頭のウシ達

牛そのものは見慣れてはいるが、そこは普通の畑であり放牧地では無いのである。そんなところに牛がいる訳がないので驚いたのである。ひょっとして急遽放牧地にでも変更したのかとも思ったが、周囲に柵らしきものは見当たらないし、少なくとも昨日の時点では工事などは行われていなかったのである。

謎の牛たちは我が家の手前で進路を南に変えて、群れでゆっくり畑から畑へと移動して行ったのである。

周囲には人の姿も、運搬車らしきものも見当たらない……。どこから来た牛なんだろう?何故そこにいるのだろう?何をしているんだろう?

そのまま私とロプノールは牛達と平行する道路を歩いて散歩へ出かけ、同じ方向に動いている牛達と200m程距離を保ったまま、1Kmほど一緒に移動していた。

牛と共に平行移動中

さらに隣の畑へ侵入する牛達

面白そうなので、十字路を右折して牛のいる方へと進んでいると、前方から慌てた様子で2台の4WDバギー車に乗った作業員らしき人が前方から血相を変えてやって来た。どうやらこの牛達はどこかから脱走してこの畑に入り込んだというのが真相みたい。

バギー車に追い立てられる牛

2台のバギー車に挟み撃ちされる牛

結局、ものの10分程で2台のバギー車が牛をまとめて畑から追い出し、車道へと追いやったのである。その後、どうやって連れて帰るんだろうかと心配になっていたが、牛も慣れたもので路上で待機していた軽トラに先導され、後方から追うバギーに挟まれるようにして車道をゆっくり歩いていた。ハーメルン…?

車道を隊列を組んで移動する軽トラ・牛・牛・バギー

この牛達は、この先にある公共肥育牧場からやって来たようで、ここまで3Km近くもの道のりを観光客の車と接触することも無く、のんびり脱走劇を楽しんで来たみたいである。そこで道路脇の牧草畑を見つけて侵入して道草を食っていたということだな。モグモグ食ってたぞ。

ちなみにこのバギー車は4WDで悪路もへっちゃらな大排気量車で広大な牧場では大活躍なのだが、実は公道走行が認められていない車両である。ウインカーも無いし、もちろんナンバープレートも無い。当然、保険も未加入だし安全装置もついていない。こんな車で3Km先から堂々と公道を通ってやって来たのか…。

2020年5月31日

絡む

周辺では相変わらず凄まじい勢いで植物が成長している。もう辺り一面、緑一色である。

いつもの散歩道の傍らに、これまたすごい勢いで成長している奴がいるのである。それは、蔓植物の何か、恐らくツルウメモドキではないかと思うのだが定かでは無い。

こいつもツル植物の例に漏れず接触屈性を持っており、成長と共に手当たり次第に相手に巻き付くのである。高くしっかりした樹木を見つけることが出来た奴は幸せなのだが、掴んだ相手が悪いと空振りであったり相手と共倒れになったりするのである。そして、この散歩道にいる奴が掴んだのは、ただの枯れ木それもとても細いものであった。当然、身を委ねることも出来ず、道端で共倒れになり、方向性を失ったまま漂流としか形容の出来ない状態になっていたのである。

それでも立派というか根性があると言うのか、こいつの先端部分は今度は自分自身に巻き付き始め、発見した時は毛糸玉のような縺れまくった状態だったのである。

放っておいても良いのだが、なんだか気になって先端部分を丁寧にほぐした上で、周辺にこれ以上丈夫なものは無いであろう道路標識に添わせてあげた。
丁寧に巻き付けてあげた
ほぐした先端部分は、植物の成長ホルモンであるオーキシンがあっちゃこっちゃに出て、接触部分と非接触部分がごちゃまぜになってしまい、天然パーマのような状態に変形していたが、成長途中ということもあってそれなりに柔軟性が残っており、なんとか金属棒にそって巻き直すことが出来た。これで秋まで元気に成長できるであろう。

根元に枯れ枝もついて来た…
この作業をじっと見ていた奴がいる。そいつはオオジシギであり、毎年同じ電柱のてっぺんに登り、毎日じっとこっちを見るのである。まあ我が家の庭に住んでいる同居鳥だからそれほど不思議では無いが、何か目的があって見ているのかな?

定位置にいるオオジシギ
フフフ、蔓を助けていましたね、見てましたよ…
翌日、散歩の途中でツルウメモドキを確認したが、標識の支柱から外れてしまうことも無く、無事に定着した様子である。先端部分も心なしか更に伸びているような気がする。きっと喜んでいるんだろうな。

はっ!今夜あたりやって来るのだろうか?

恩返しに…。

ツル(鶴)なら機織りしてくれるけど、ツル(蔓)はどうするんだろう?やっぱり夜中にやって来て玄関の戸を叩くんだろうか?

まあ、鶴のように家の中に入って来て部屋を占領された上に「覗いてはいけません」と言って夜通し大きな機械音を立てて機織りされるのもあまり嬉しくは無いが、玄関を開けた途端、無闇やたらと絡んでくるだけだったら嫌だな…。

2020年5月25日

春の芽吹き

普段の生活と巷で流行っている自粛生活との境目が朧気な今年の春である。

連休明けからいつものように春の芽吹きが凄い勢いでやって来た。スモモと山桜、ツツジと千島桜が同時に咲き始め、裏庭には絶滅希望種のフキノトウ、昨年の伐採からのサバイバーであるタラノメなどが無数に顔を出している。

どっちだろう?
スモモ
山桜かな?
タラノキの巨木とサバイバー達
昨年、剪定を失敗したチシマザクラ
今月10日頃には南側の庭の行者ニンニクが食べ頃になり、50本のうち1/3程を収穫し美味しく頂きました。

南の庭
さらに20日頃になると、今度は北側の庭から100本程のニョキニョキと出て来た。
あたり一面の行者ニンニク
中には密集して生えている奴等も…
45本を洗って、サッと湯がいて
クルクルッ
食べやすいように、葉を一枚毎に割いて葉から順にクルクルと巻いて行く。そしてそのまま漬け汁へと投入し、茎の中まで味が染み込むまで冷蔵庫で寝かせれば、極上のおツマミの完成である。

北海道の人は「めんみ」という北海道限定品のめんつゆに漬け込むことが多いが、これは口当たりは悪くないものの、甘みが強すぎて酒の邪魔をするのである。私は濃縮タイプのカツオだしを加えることによって甘みを抑えている。

中までしっかりと味が染み込んだら、他の材料と合わせておツマミにするのだが、最近はグリュイエールチーズと合わせて食べるのがお気に入りである。

もう、ワインが凄い勢いで減っていく…。

2020年3月31日

雪上偵察

先日の雪はかなり積もったのである。

我が家の玄関は町道から124m入ったところにあり、もちろんその124mは私有地なので本来であれば自力で除雪する必要がある……はず。

しかし、この町は親切にも私道であろうが公道であろうが隅々まで除雪してくれるのである。問題は、その除雪車が巨大過ぎるということくらいである。

さて、今回も道の両脇に雪山を築きながら玄関前まで除雪をしてもらったのである。その結果、敷地内の道路には両脇に高さ1〜2mの雪壁が出来てしまい、私の視界を遮るのである。

ところが、この雪山はロプノールにとっては絶好の場所なのである。おそらくいつもの目の高さとは大きく異なり遥か遠くまで見渡せるので、とってもお気に入りの様子。

2mを一気に登る
ふ、ふ、ふふ、ふーん!

見渡す限りボクの庭さ!
ロプノールは隣家までの1Kmくらいまでが自分の縄張りだと思っているようで、この範囲に誰かが来ると吠えまくるのである。それ以上だと、特に気にする訳でもないので、やはりコイツのテリトリーがその範囲なんだろうな。

固定資産税が大変ですねぇ。

2020年2月29日

天空影絵

ここしばらく快晴が続き、風の無い日は外気温がマイナス5〜6℃程度でも本当に心地が良い。

夕方にかけ、一気に気温が下がっては来るが、やはり風さえ無ければ比較的軽装で散歩に行っても寒さをあまり感じないで済むのである。さらに、穏やかな天候の夕刻などは、しばしば息を飲むような美しい景色が目の前に現れるのである。

夕日が山肌をかすめるように沈んで行く
夕日が沈みかけたと思ったら、丁度右側から湧き出るように雲が現れ、まるで沈む夕日を覆い隠すのが使命とでも言わんがばかりの勢いで漂って来た。

部分的サンピラー?
 写真には綺麗に写らなかったが、ほぼ沈み切った夕日から真上に細く長く雲を突き破るように伸びており、肉眼で見る限り、それはやや幻想的とでも言える光景であった。条件が良ければ、立派なサンピラーになったのにね。

夕日が沈むにつれ、山の向こう側から手前の山を照らし出す格好になった太陽光は、その影をこの雲に映し出している。まるで、天空の幕に光を当てて影絵を楽しんでいるかのようである。

まあ、それを裏側から見てるわけなんだけどね…。

シルエット
 さらに時間が経過すると、太陽はやや右側に向かって沈んでいるため、山のシルエットがちょうど山の真上に移動したかのように見える。

雲の位置、山との距離、太陽の角度からその拡大率は決定されるので計算するのは難しくは無い。しかし、そんなことをするより、ただ単に「大きな影絵だなー!」と感心しておくのが、この景色の正しい楽しみ方かも知れないな。
さらにジェット機雲
わずか10分程の天空影絵ショーだったが、静寂の中で繰り広げられるこの景色を見ている人は私以外にいたんだろうか?独り占めだったのか?なんて贅沢なんだ!

シルエットが最大になったタイミングで、澄み切った青空に飛行機雲を描きながら、まさに山のてっぺんを一機のジェット機が横切って行った。

どこの飛行機だろう?航空機は識別信号を発信しながら飛行しているので、それを受信してみると…

Aircraft type (B77L) Boeing 777-FB5 
Registration HL8044
LAX to ICN Los Angeles to Seoul
Calibrated altitude 35,000 ft
へー、高度10,660メートルか…。

あの飛行機からは、この景色がどのように見えているんだろうか?

2020年1月5日

むさぼり食う奴

我が家のリビングの窓のすぐ側に小鳥用の給餌台があり、庭に目をやるだけでバードウォッチングが出来てしまうのである。

上段は風雨を避ける防水屋根付き給餌皿があり、その下に脂身などを網で囲った餌場を設けている。どちらも小鳥用なのだが、時折中型の鳥もやって来るのである。ミヤマカケス、ヒヨドリ、カラスなどである。中型の鳥は概ね警戒心が高く、あまり給餌台の上にいるところを見かけない。

かたや小型の鳥はというと、最初は警戒心らしきものを持っているのだが、そのうち人が近付いても逃げたり逃げなかったりと微妙な距離感を保つのである。コガラ、シジュウカラ、ゴジュウカラなどである。これらは、腹が減っているときだけなのかは知らないけれど、手に餌を持ってじっと立っていると、あたかも飼鳥のように手に乗ってくるときさえある。なかなか愛嬌のある鳥である。


2段構えの給餌台
ここにやって来る鳥は概ね種類が決まってしまっているのだが、今年はアカゲラがやって来たのである。人間の目に触れにくい庭の隅などいるのは知っていたが、今年は食べ物が少ないからなのか、警戒心の欠如した個体がやって来たのかは知らないが、いつもと異なる顔ぶれにちょっと楽しくなってしまったのである。

アカゲラ(キツツキ)
最初の頃はそれでもある程度警戒心をむき出しにしていたのだが、背に腹は代えられないのか至近距離まで近づかない限り逃げなくなったのである。お陰で簡単にアップで写真が撮れたよ。

眉毛が凛々しい
なんか眉毛が凛々しいアカゲラである。そう言えば、こいつも眉毛が凛々しかったお陰で保健所から保護されて生き延びたんだよな…。
眉毛のお陰で命拾いしたぜ!
この給餌台は設置する場所をやや間違えてしまい、ロプノールの手の届く所に立ててしまったのである。過ちに気がついた時は既に地面が凍結しており、場所の移動が困難になっていたのである。ま、いいか。

必ず逆立ちで食べるゴジュウカラ
ロプノールと鳥は、食べ物を取り合う間柄では無いので、互いに至近距離まで近付いても基本的には知らん顔をしている。コガラなどは、地面に落ちた餌などもロプノールを気にせず食べているが、このゴジュウカラだけはロプノールの何かに引っかかりがあるようで、ゴジュウカラにだけは吠えるロプノールである。

逆立ち食いが気に入らないのか?
行儀の良いコガラ
食べ物を取り合わないと書いたが、先日の強風のとき、この網が風で落下したことがある。そのときロプノールは棚ボタ式に上空から脂身が降って来たので、必死でこの脂身を貪り食い、さらにその残りを穴を掘って埋めていたのである。

最初、私は脂身はカラスか何かに持って行かれたのだと思っていたのだが、お昼過ぎの彼のオヤツの時間なのかロプノールは地面から脂身を掘り出しておもむろに食べ始めたのである。もちろん、私に思いっきり怒られて脂身も取り上げられ、鳥に返却させられたのである。とても不満そうな顔をしていたが、鳥のおこぼれをもらうんじゃない!

それはそうと、この脂身にしろナッツ類の餌にしろ、小鳥相手の時は消費量も大したことは無く、時々餌を追加してやるだけで済んでいたのだが、このアカゲラが来るようになってから様子が変わったのである。

アカゲラは小鳥と違い、まるでロプノールのように脂身をむさぼり食うのである。お陰でかなり頻繁に餌を追加しないと追い付かないのである。

うむ、バードウォッチングを優先するべきか餌の消費を考慮すべきか…。